読書の部屋、今日の本はこれ!第六天の魔王なり 吉川永青/著

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1.概要

吉川永青の信長ものです。60爺は、この人の書いた三国志の諸葛亮孔明が破天荒で大変好きなのですが、三部作を書いた後、三国志物は2冊出していますが、孔明はあまり登場しませんね。

さて、本書ですが、信長の戦をほぼ全て出しているようです。桶狭間の戦いから本能寺の変までを描いています。本書の信長は、実はとても情に厚い男にしています。天下布武のため、おのれを押さえつけて苦悩する信長がいます。

日本史上、最も怖れられた男は生まれながらの魔王か、それとも――。直臣すら辿り着けなかった男の内面を、気鋭の歴史作家が渾身の筆を持って暴く!

本能寺の変では、作者の新しい解釈を見出しており、信長と光秀の間には、断ち切れない絆があったことがわかります。光秀も主のことを考えてことを起こし、後々のことは考えられなかったに違いありません。

2.裏切られる人生

信長の人生は、裏切りが続く人生ですね。始めは、(この物語には出てきませんが)弟の信行に始まり、妹のお市の方の婿である浅井長政、まあ、足利義昭はしようがない(承知していて泳がせていた感じがします)としても、松永久秀や荒木村重がいます。

中でも、浅井長政の裏切りには愕然としたようで、ここから、信長の考えが大きく変わったようです。情を見せれば、ついてくると思ったものがひっくり返り、自分を捨て、恐怖で縛るようになっていきます。家臣たちは、こんな信長がわからなくなり、離れていくものが出ていったのでしょうか?

それにしても、情を出したからダメだと考え、苛烈になることで皆を従えていくのですが、百姓達民にはひどく優しい面も見せています。入場料を取って、安土城の中を開放する信長がいます。

その反面、自分に逆らったものには、物凄い報復を見せます。織田家を裏切った岩村城を任せていた自分の叔母(おつやの方)や自分を狙撃した杉谷善住坊に対する厳しい刑罰、苦境の際、開き直った佐久間信盛に対する長年の恨みをはらす追放状など、目を覆いたくなるほどです。信盛親子は、殺されてしまうと恐れおののき、慌てて逃亡しています。

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3.ちょっと疑問

小説ですので、はしょる部分があるのは仕方ないのですが、家臣に祭り上げられ、信長に対抗した弟の信行についてどのように考えていたのでしょうか。尾張を統一するために自分を裏切った家臣が多数いたはずですが、彼らに対してはどうだったのでしょう?

この辺りに触れていれば、義弟となった長政に対し、いくら戦がうまいと言っても、無条件で信用することになったのかをつなげられたのではないかと思いました。

また、佐久間信盛の追放ですが、この時期には、他に何人もの家老(小説には登場しませんが林佐渡など)が追放されています。彼らに関して物を申すと本題から外れてしまうこともあるのでしょうが、この辺りどうなんだろうと思いました。

60爺としては消化不良のような感じでしたが、上述した本能寺の変の新しい解釈もあり、そこそこ読ませてくれると思います。

是非、ご一読を。

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