戯れるとは?意味から読み方・類語・古の由来まで全部まとめて総特集
「戯れる」という言葉を耳にしたことはありますか?
文学作品や日常の会話、あるいは詩的な表現の中で、ふと目にしたことがあるかもしれません。
この言葉には、どこか柔らかく、軽やかで、そして少しだけ艶やかな響きが漂います。
けれども、その本当の意味や使い方をしっかりと理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
古語や漢字の成り立ちに目を向けてみると、その奥深さに驚かされることもあるでしょう。
では、いったい「戯れる」とはどのような言葉なのか……その読み方、意味、類語、さらには語源や由来に至るまで、この記事では徹底的に掘り下げていきます。
読み終えるころには、あなたの語彙力が一段階深まっているかもしれません。
「戯れる」とは?
始めに、「戯れる」の意味から見ていきます。
「戯れる」の意味
この「戯れる」ですが、なんと2つの読み方があるんです。
- たわむれる
- じゃれる
ただ、パソコンで「じゃれる」を入力して「変換」キーを押下しても、「戯れる」とは出てきません。
スマホでは、変換候補に表れますが、テプラでは出てこないことを報告しておきます。
それでは、順に、これらの読み方の意味を見ていきましょう。
まず、「たわむれる」の意味を辞書で引いたところ、3つの意味が出てきました。
遊び興ずる | 楽しげにふざけあって遊ぶこと |
ふざける | おどける。興に任せて面白半分に物事をする |
異性に対するいたずら | 異性に楽し気に(または、冗談半分に)色恋をしかける |
それぞれの意味は、全くニュアンスが違いますね。
「遊び興ずる」は、「こどもや犬・猫が道具や人と遊ぶ」ことで「無邪気に」という意があります。
「ふざける」は、「本気で遊んではいない」ことを示しています。
最後の「異性に対していたずらをする」は、「いちゃいちゃしている」イメージがありますね。
次に、「じゃれる」の意味です。
- なれてたわむれる。ふざけかかる。まつわりついてたわむれる。
こちらは、「たわむれる」の1番目の意味と考えていいでしょう。
広辞苑では「ザレルの転」とあったので、「ざれる」という言葉も見てみました。
意味は、「(古風な言い方で)ふざける。たわむれる」とありますので、今言ったことが間違いではないことが分かります。
「戯れる」の類語
「戯れる」の類語を一覧にします。
始めは、「遊び興ずる」の類語からです。
遊戯 | あそびたわむれること |
遊び | あそぶこと。なぐさみ |
娯楽 | 楽しむこと |
じゃれる | なれてたわむれる。ふざけかかる。 |
「遊戯」は、子ども同士が遊ぶことなので、「戯れる」に近いモノがあります。
「遊び」は、やはり、子どもや小動物と遊ぶ場合に使えますが、一般的には大きな意味合いを持ちます。
「娯楽」になると、少し、「戯れる」からは離れてしまうかな……。自分で挙げておいてスミマセン^^;
「じゃれる」は、まさしく「戯れる」と同じ意味でしょう。
次に「ふざける」の類語です。
からかう | 冗談を言ったり、おもしろ半分で相手を面白がらせる |
はしゃぐ | 興奮したり、大騒ぎしたりする |
悪ふざけ | 遊び心やいたずら心で、おもしろ半分で軽々しく行動する |
茶化す | 相手の言動をからかったり、冗談にしたりする |
「ふざける」の類語には「はしゃぐ」、「悪ふざけ」などがあります。
また、相手をからかったり、茶化したりする場合、「からかう」、「茶化す」なども類語として挙げられるでしょう。
最後に「異性に対するいたずら」です。
浮気 | 他の男(女)に愛情が映る |
いちゃいちゃ | (男女が)人前でたわむれる様子 |
まあ、こんなものですかね。
「戯れる」の由来は
「戯れる」の由来なんですが、読みは「じゃれる」の方になります。
この「じゃれる」ですが、古の言葉から来ているんですよ!
じゃれる(戯れる)の由来は
平安時代から見られる古語「戯(ざ)る」、「さ(戯)る」の語頭が濁音化した語です。
共に、「しゃれて気が利く」「垢抜けしている」「男女の事に通じている」「ふざける」などの意味があります。
「じゃれる(戯れる)」は、「戯(ざ)る」が転じたもので、「ふざけ戯(たわむ)れる」意味で使用されます。

ホウホウ、「じゃれる」と聞くと、ふざけているイメージしかなかったんですが、もともとの語には、その他にも、色々な意味があったんですね~
「しゃれて気が利く」、「垢抜けしている」ているなんて、すごくいい意味ですよ。
また、「男女の事に通じている」なんて、「ふざけている」という意味から大きく離れているじゃないですか!
なぜ、「じゃれる(戯れる)」の意味が「ふざけ戯(たわむ)れる」となっていったのか由来をもう少し、詳しく見ていきましょう。
平安時代からの言葉とはずいぶん古い時代からあった言葉なんですね~。
※そういえば、こちらの由来も、随分と古くて驚いたモノです!
じゃれるの由来を詳しく見ていこう
上記の「さ(戯)る」から「戯(ざ)る」への語頭が濁音化は他にも以下のような同様の例が見られます。
- タレル(垂)からダレル(弛)
- ハレル(晴)からバレル(露)
- フレル(振)からブレル(揺)
この例を見ればわかるように、もとの形と比べると、濁音化した形の方が好ましくない意味になっていることが多いんですよ。
そして、中世の末期頃に「さ(戯)る」「戯(ざ)る」が拗音化※して「しゃれる」「じゃれる」になったわけです。
※拗音化
日本語の音階のひとつで、現代語では「きゃ」「きゅ」「きょ」のように「や」「ゆ」「よ」の仮名を小さく他の仮名に添えて表す音。引用 暮らしのことば新語源辞典
当初は、上記で示したこれらの言葉の意味ですが、次の2つの意味を担うように分かれていったと思われています。
しゃれる:「しゃれて気が利く」「垢抜けしている」
じゃれる:「ふざけている」
※カテゴリ「言葉の意味」の記事群を一覧にまとめた記事を新たに作成しました。
他の拗音化の例
「戯(ざ)る」が拗音化して「じゃれる」になったと述べましたが、同じような例に次のような語があります。
- 鮭 ⇒ シャケ
- さみせん(三味線)⇒ シャミセン
- クサメ(嚏) ⇒ クシャミ
- サレコウベ(髑髏)⇒ シャレコウベ

小さい頃から、鮭をシャケと呼んでいたんですが、ようやく、その意味がわかりました!
シャミセンも同様、拗音化だったのですね。クシャミ、シャレコウベまでも同じ仲間に入るとは思いませんでした。
最後に
まずは、じゃれるの由来から見てきました。
しゃれて気が利く、垢抜けしている、男女の事に通じている、ふざけるなどの4つの意味がありましたよ~
基本、「ふざける」の意味だと思っていたのに、意表を突かれましたね。
そして、元々あった語が、「しゃれる」「じゃれる」になったこともわかりました。
最後に、漢字表記(戯れる)から「たわむれる」についても少々調べを入れてみましたので、ご覧になってくださいね。
参考
広辞苑
明鏡国語辞典
新明解語源辞典
※気づけば、「言葉の意味」の記事も増えてきています
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