寂しいと淋しいに違いはあるのか?辞書を巡って調査した結果をご報告

2023年4月3日

最近、子供たちがようやくというか働き出して、昼間は嫁さんと二人きりになる場合が多くなりました。

これ、いいことなんですが、子供たちの声がなくなると、少し、寂しいんですよね。

この寂しいという言葉なんですが、パソコンで、漢字変換してみると、他にも「淋しい」という漢字が出てきます。そうなんです。日本語では、同じ読み方をする言葉が多々あります。

そして、この「寂しい」「淋しい」のように漢字表記が複数あって、使い方が決まっているものもあれば、どちらを使っても構わないなど、いろいろ決まりがあるんですね。

過去にも、いくつか同じ読み方をする漢字の違いについて見てきました。今回の対象は「寂しい」と「淋しい」の違いです。

さて、「寂しい」と「淋しい」に違いはあるのでしょうか?違いがあるならどう違うのか、辞書を駆使して調査してみました。

その結果を報告しますので、是非、ご一緒に見ていってください。

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寂しいと淋しいに違いはあるのか?

寂しいと淋しいに違いはあるのでしょうか?まずは、その結論からお知らせしますね。

寂しいと淋しいに違いはあるのか?

寂しい:常用漢字
淋しい:常用外漢字

違いはこれだけですね。それ以外に、「寂しい」と「淋しい」に違いはありません。

公用文書でない限り、どちらの表現を使用しても全く問題はありませんヨ!

なぜ、こう言い切れるのかを細かく見ていきましょう。

たくさんの国語辞典を巡る

たくさんの国語辞典で「さびしい」を引いてみて、「寂しい」と「淋しい」の使い分けに言及しているかを調査しました。

その結果をお知らせします。

たくさんの国語辞典の内容

寂しい」と「淋しい」の使い分けに対する言及がない!

6つの国語辞典で「寂しい」と「淋しい」の使い分けについて言及しているか確認しました。

その結果、使い分けに言及している辞書は一つもありませんでした。

即ち、「寂しい」と「淋しい」の使い分けは不要ということです。但し、上述していますが、淋しいは常用漢字でないので、公文書では寂しいを使わねばなりません。

辞典名「さびしい」漢字表記寂しい・淋しいの使い分け
広辞苑寂しい・淋しい言及なし
大辞林寂しい・淋しい言及なし
大辞泉寂しい・×淋しい言及なし
日本国語大辞典寂しい・淋しい言及なし
明鏡国語辞典寂しい(▼淋しい)言及なし
三省堂国語辞典寂しい・×淋しい言及なし

ご覧のように、6つの国語辞典全てにおいて、寂しい・淋しいの使い分けに対して言及がないんですよ。

大辞泉及び三省堂国語辞典の淋しいの前にある×と、明鏡国語辞典の「淋しい」の前にある▼は常用漢字外の意ですね。

「寂」「淋」の持つ意味

次に、「寂」「淋」の持つ意味を見てみましょうか。

寂の意味と字源

意味
さび・しい。しず・か。音がしない。ひっそりとして、さびしい。

字源
寂=「叔(=縮。小さい・細い)+宀(いえ)」家の中で物音が細く小さくなった状況を示す。

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

淋の意味と字源

意味
した・たる。水がたらたらと絶えず垂れる。また、そのさま。

字源
淋=「林(リン。並ぶ)+水(みず)」林は「ℍの形に並ぶ」というイメージ。これが連鎖して、「点々と連なる」というイメージに展開。淋は水が点々と滴る情景。

日本語だけの意味・用法
訓読みとして、さび・しい、さび・しみ、さび・しむ、さみ・しい、さむ・しい。
(注意)「さびしい」は「寂しい」とも書く。

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

ご覧のように、「淋しい」には、「寂しい」にあるような意味を持っていないんですよ。

日本語だけの用法として、注意にあるように、「さびしい」は「寂しい」と書けるんですね。

60爺

ここから言えるのは、「寂しい」が主流で、「淋しい」と書いても間違えではありませんよということだと思います。

次に、「寂しい」の由来を見てみます。


寂しいの由来

語源辞典に由来が載っていました。

元々は、「サブシ」という言葉だったんですね。これが、「サビシ」となり、現代の「寂しい」につながったんですね。

元々の「サブシ」の「サブ」は、「古くなる、衰える」という意味を持っていて、これが転じて「寂しい思いをする」という意味でも使われたということですな。

日本語は難しい!

上代とか中古について確認しました。

上代(※1)
上代(じょうだい)とは、日本史上の時代区分のひとつ。一般的には古代のうち平安時代前で日本の文献が残されている時代、すなわち飛鳥時代後期(白鳳時代)から奈良時代を指すが、単に奈良時代以前を指す場合もある。

引用 wiki 上代

中古(※2)
中古(ちゅうこ)とは、時代区分に用いられる表現の1つで、上古・中古・近古の三分法を用いた際の2番目、あるいは上古・上代・中古・近古の四分法を用いた際の3番目に相当する。
本来は、中世と同じ意味であり、日本文学史においては「中古六歌仙」・「中古三十六歌仙」などの語が存在する。そのため、国文学界においては平安時代(794年 – 1185年)を指して用いられる。

引用 wiki 中古

再び寂しいと淋しいの違いについて

寂しいと淋しいについて違いはないと言い切りましたが、以下のサイトでは、寂しいと淋しいの違いを述べているのを見つけました。

「寂しい」と「淋しい」の意味の違い
「寂しい」は、物足りなさ、ひっそりした様子、孤独感などの幅広い意味を表す語。
「淋しい」は、人が孤独を感じているニュアンスで用いられる語
です。

引用 実用日本語表現辞典

このサイトでは、淋しいに関して以下のように言っていますね。

日本でだけ、この字に「さびしい」の意味や読みが生まれた理由としては、本義の「流れる」から、涙が流れる様子を連想したことが考えられます。日本語には、「袖を絞る」「枕を濡らす」「涙の雨」のように、涙の量で悲しみの深さを想像させる言葉がたくさんあるからです。

引用 実用日本語表現辞典
60爺

うーむ。淋しいは、「人が孤独を感じているニュアンスで用いられる」とありますが、涙が流れるほどの孤独を感じて淋しい状況を想定できないんですなア~!

先程のサイトでは、心理的な孤独の意味での「淋しい」についての例文もありますが、60爺としては、それをうまく説明することが出来ないんですよ。

申し訳ありません。

上記の内容を読んで、皆様が、それを吸収していただけることを切にお祈り申し上げます。

最後に

寂しいと淋しいについて違いはあるのか、もし、あるなら、その使い分けはどうするのかを見てきました。

国語辞典6つ、漢字源を駆使した結果、そこには何の違いもないことがわかりました。

強いてあげれば、淋しいは常用漢字でないので、今までも出てきましたが、公文書では使えないんだよということぐらいですかね。

サイトを見ると、淋しいについて、水の滴る所から、涙を連想する場合は「淋しい」を使うという論法もありましたが、辞書的には根拠がないんですよね~。

※気づけば「違い」の記事も増えてきました

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

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Posted by 60爺