「元に」と「基に」の違いは?意味や漢字表記を見つつ大特集しちゃう

2023年1月26日

「~もとに」という表現ですが、この「もと」に対してどんな文字を使用しますか?

現状では、この表現はあまり使わないのですが、在職中は資料を作成する際、この表現をかなり使っていたことを思い出しました。

60爺

その際、使った漢字は「元」ではなく、「基」を使用したことが多かった記憶があります。

在職中は、余り深く考えることなく、「元に」や「基に」を使用していたんですが、今回、読みは同じでも表記が違うシリーズを始めたことで、この違いや意味が気になっちゃったんですね。

そこで、いつものように、この「元に」と「基に」の違いや意味や漢字表記を、辞書を片手に調べまくってみました。

その結果をシェアしますんで、ご一緒に確認していってくださいませ。

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「元に」と「基に」の違いは?

まず、これらの違いは何か一言で表しますね!

「元に」と「基に」の違いは?

漢字表記意味
元に物事が生じる始まり。以前。近くの場所。もとで。
基に基礎。土台。根拠。

「元に」と「基に」の違いは上記の通りです。

「元に」は、「見習うべき元がある」と考えていいでしょう。それに対して、「基に」は、基準・基礎となる基がある」と考えればいいでしょうか。

それぞれの違いが分かる助けとなるよう例文を出しておきます。

  • 編集前の元の画像を調べる
  • 使った道具を元に戻した
  • これまでの経験を基に起業することにした
  • 検査結果を基に今後の治療方針を決める

それぞれの漢字表記の意味と、どんな使用例があるのか見ていきましょう。

元に

複数の辞書を見て、どのような説明をしているか確認してみました。但し、「元」を調べています!

辞書意味
広辞苑①はじめ。起源。
②以前。
③(「因」とも書く)原因。
④もとで。元金。資本。
⑤元値もとね。原価。
明鏡国語辞典①物事の起こり。起源。
②それが生じるところ。また、それを生じさせるところ。
③原因。
④もとで。資金。また、原価。
⑤原料。材料。
三省堂国語辞典①起こり。始まり。
②それが出てくる・(それを出した)ところ。
③以前。むかし。
④はし(箸)・筆などの、手に持つところ(に近い部分)
⑤原因
⑥原料
⑦酒を発行させるもとになるこうじ
⑧もとで。
⑨元値
⑩素性
光村国語学習辞典①以前。前の。
②それが出てくる場所。
③元手。資本。
④原因。
⑤原料。材料。

「元」の意味はたくさんありますな!三省堂さんなんかは10の意味が出ていましたよ。

このたくさんある意味につながる場合に、「元に」を使用するんです~。「元に」を使った使用例をいっぱい挙げちゃいましょう。

  • 子供の頃の思い出を元にしてコミックを描く
  • やってしまったことは元に戻らない
  • 火の元に注意
  • いなくなったネコが飼い主の元に帰ってきた
  • 信頼関係が元に戻ってしまった

基に

それでは、「基」も同様に見てみることにします。

辞書意味
広辞苑物事の主要な部分。根幹。基礎。もとい。
明鏡国語辞典物事の根本となるところ。基本。基礎。
三省堂国語辞典土台。基礎。もとい。
光村国語学習辞典土台。基礎。

こちらは、どの辞書も一択でした。

全部の辞書で「基礎」と言っています。他にも、もとい(=基:土台。基礎。また、物事の根本。)や土台が複数の辞書で挙がっていますね。

ここでも、使用例を見ておきましょう。以下のように、根幹と成すものがある場合に「基に」を使用するんですよ~。

  • あのデータを基にして説明資料を作った
  • 奴のいつもの行動を基に私たちは張り込むことに決めた
  • この小説は事実を基に書かれている
  • 前年度の成績を基に年収を決定するシステム

次の項では、「元に」「基に」の漢字表記「元」「基」に焦点を当てて、その意味などを見ていきます。


「元」と「基」の漢字表記について

「元に」と「基に」の漢字表記について着目して、その内容を見てみましょう。

まず、「元」について、読み方と意味を見てみましょう

「元」の読み方と意味


画数 :4画
音訓:ゲン ガン もと
意味
①まるい頭。②ものごとの最初の。はじめの。③はじめ。もとのもの。もとの。④おおきい。⑤根本となる日。⑥王朝名。蒙古(モンゴル)属が南宋を滅ぼして国名を元と称した。⑦姓のひとつ。⑧中国の貨幣の単位。
日本語だけの意味
方程式の未知数。

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

意味がたくさんありますが、「元に」で関わるのは③「はじめ。もとのもの。もとの。」しかありませんね。他の意味では話が通りませんよね!

まずは、語源を見ておきましょう。

元は丸・円などと同源で、「丸い」というコアイメージがある。頭の形態的特徴による命名。元の意味はコアイメージからではなく、頭の人体における位置関係から、トップ(かしら)の意味、始めの意味、物事のもとの意味に展開。

引用 上級漢和辞典 漢字源 学研

元の意味がストレートに書いてあります。次の3つですね。

  • トップ(かしら)の意味
  • 始めの意味
  • 物事のもとの意味

次は、字源です。

元=「ー(あたま)+兀(人体)」。胴体の上にある頭を示した図形。

引用 上級漢和辞典 漢字源 学研

こちらも明確ですね。頭とは、語源で出てきたトップ、始め、物事のもとを指しています!

「基」について、読み方と意味を見てみましょう

「基」の読み方と意味

画数 :11画
音訓:キ もと・もとい
意味
①建物の四角の土台。②物事が成立つための基盤となるもの。③それをよりどころとする。④刃の四角いすき。⑤姓の一つ。

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

意味が5つありますが、「基に」で関わるのは②「物事が成立つための基盤となるもの。」③「それをよりどころとする。」の2つかな。その他の意味は関係ないようです。

語源を見ておきましょう。

基は期・旗と同源。其のグループは箕(み)(穀物を振るってごみをふるい分ける道具)から発送された語で、「四角い」というコアイメージがある。建物は四角い土台で柱を支えている。また、たいてい四隅に土台を設置する。だから建物の基礎を基という。

引用 上級漢和辞典 漢字源 学研

基は、建物の基礎のことを指しているわけですか。

最後に字源を見ておきましょう。

「基」=「其(四角い)+土(みる)」。其の最古の字は箕みを描いた図形(象形)。のち、箕の形に丌(台の形)を添えた字体に変わった。箕も台も形状が四角なので、其は「四角い」というイメージを示す記号となる。基は建物の四角い土台のこと。

引用 上級漢和辞典 漢字源 学研

字源においても、明確に「建物の基礎」のことを指していますね。

その他の「もとに」

さて、「元に」と「基に」の違いを見てきましたが、その他にも「もとに」と書く言葉があります。

それは、「下に」と「本に」です。これらの意味と使い分けを見ていきましょう。

「下に」「本に」の意味

もと意味
1①根元のところ。何かの下の・ところ(あたり)
②そのはたらき・支配力のおよぶところ。
③(「の-に」の形で)…する(した)という状態で。…で。
2①はえ出るものの(いちばん下の)太いだいじな部分。ねもと。つけね。
②ものごとの中心になる、いちばんだいじにところ。根本。
③和歌の上(カミ)の句。

参考:三省堂国語辞典

それぞれ上述の意味があります。

「下に」は、②の意味である「そのはたらき・支配力のおよぶところ」をベースに使用します。「本に」も、やはり②の意味である「ものごとの中心になる、いちばんだいじにところ。」を軸に、使用することになります。

「下に」「本に」の使用例

「下に」の使用例です。

  • 法の下に平等
  • ある条件の下で成立する
  • 一撃の下に倒した
  • 真実を白日の下にさらす

次は、「本に」の例です。

  • その発言は何を本にしたものなのか
  • 生活の本を正す
  • 本を立つ必要がある
  • 本を正せば、全てあなたが悪い

「本」を「もと」と読む場合、「元」とほぼ同義ですが、日常的には「元」の方がよく使われるようですね。

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最後に

今回は、「元に」と「基に」の違いを見てきました。

調べてみると、「元に」には意味がたくさんありましたが、「基に」は「土台、基礎」という意味たったひとつでしたね。合わせて、使用例を載せましたので、その違いと共に、もう間違うことはないでしょう。

そして、漢字表記を調べてみたところ、その語源、字源から、見事に裏を取ることが出来ました。

今回も、意味や漢字を調べて、日本語はまだまだ面白いと感じた次第です。

60爺

引き続き、知識を増やしていきまっせ!

※気づけば「違い」の記事も増えてきました

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

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Posted by 60爺