20日の読み方は「はつか」?「にじゅうにち」?【決定版】正しい使い分けと語源の由来を徹底紹介
カレンダーの「20日」なんですが、皆さんは、どう読みますか。
これ、日本語特有の変わった読み方ですよね。
え、「20」なんだから「にじゅうにち」だろうとおっしゃる若い方もいるんですね。
今回、20日の読みは一択だと思っていたのですが、実際に調べてみると、今いった「にじゅうにち」も選択肢の一つに入っていてびっくりしました。
実際に、日付を表す日本語は、和語を使った独特の読み方が多く、20日も、その仲間なんですよ。
この記事では、「20日」の最も基本となる正しい読み方と、ビジネスや日常生活で迷わないための使い分けのルールを、まず簡潔にまとめてお伝えします。
複雑な和語の読み方ですが、その違いさえ分かればもう大丈夫。
まずは、この結論からご覧ください。
| 質問 | 20日の正しい読み方は? |
|---|---|
| 日付(20日) | はつか |
| 日数(20日間) | にじゅうにち または はつかかん |
| 使い分けの基本 | 日付は「はつか」、それ以外は「にじゅうにち」と読む傾向がある。 |
20日:「はつか」と「にじゅうにち」の使い分けと具体例

冒頭で述べた通り、20日の読み方には「はつか」と「にじゅうにち」の2種類があり、どちらも間違いではありません。
しかし、日本の言葉の慣習として、使うべき場面が明確に分かれています。
この使い分けを理解することが、ビジネスや日常生活で迷わないための鍵です。
はつか:日付(特定の日)を示す読み方
「はつか」は、カレンダー上の特定の日付を指す場合に使う、和語由来の特別な読み方です。
この読み方は、10日までの「とおか」や「みっか」と同じ流れを汲んでいます。
| 用途 | 読み方 | 使われ方 |
|---|---|---|
| 日付 (The 20th day) | はつか | 9月20日、毎月20日、20日付 |
具体的な使用例を見てみましょう。
| 場面 | 使い方 | 読み方 |
|---|---|---|
| 特定の日付 | 9月20日(の会議) | くがつはつか |
| 期日 | 20日付(の書類) | はつかづけ |
| 記念日 | 毎月20日(はお客様感謝デー) | まいつきはつか |
「〇〇月20日」のように、何月何日という形式で「日付」を指す場合は、ほぼ例外なく「はつか」と読みます。
にじゅうにち:日数(期間)や抽象的な場面で使う読み方
「にじゅうにち」は、漢語由来の読み方で、日付ではなく「20という数」が指す日数を表す期間や、慣習として「はつか」が使われない文脈で使われます。
| 用途 | 使い方 |
|---|---|
| 日数 (A period of 20 days) | 20日間、20日後、20日の休み |
こちらも、具体的な使用例を見ていきます。
| 場面 | 使い方 | 読み方 |
|---|---|---|
| 期間 | 20日間(の出張) | にじゅうにちかん |
| 後日 | 20日後(に納品) | にじゅうにちご |
| 回数 | 20日(出席) | にじゅうにちしゅっせき |
例外的なケースも存在します。
「20日間」は、古い言い方や和風の表現では「はつかかん」という読み方も存在し、間違いではありません。
ただし、現代の日常会話やビジネスでは「にじゅうにちかん」が最も一般的で分かりやすい表現でしょう。
なぜ「にじゅうにち」も許容されるのか?(NHKの見解)
現代においては、日付を表す際にも若い世代を中心に「にじゅうにち」と読む傾向が見られます。
これは、11日から19日、21日以降が全て「じゅういちにち」「にじゅういちにち」のように「数字+にち」で統一されているため、「20日」だけが特殊な読み方をするのが不自然に感じられるためです。
この背景から、権威ある機関も時代の変化を認めています。
「NHKことばのハンドブック第2版」の「数字の発音・用例集」には、状況によっては「にじゅうにち」と発音してもいいという記述が見られます。
NHKことばのハンドブック第2版|数字の発音・用例集
しかし、公的な文書や厳密な場、または年配の方との会話では、日付は「はつか」と読むのが、現時点での日本語の標準的な慣習であることを覚えておきましょう。
なぜ20日は特別なのか?「はつか」の語源を紹介
前章で「20日」は日付なら「はつか」、日数なら「にじゅうにち」と読み分けるのが一般的だと解説しました。
しかし、なぜ「20」という数字だけが、「じゅういちにち」「にじゅういちにち」といった統一的なルールから外れ、「はつか」という特別な和語の読み方をするのでしょうか。
この「はつか」という読み方は、現代日本語に残る古代の数え方(和語数詞)の非常に貴重な名残です。
この語源を紐解くと、私たちが日常的に使う「2日(ふつか)」や「8日(ようか)」などの特別な読み方とも繋がる、非常に論理的なルーツが見えてきます。
ここでは、「20日=はつか」がどこから来たのか、その歴史的・言語学的な根拠を徹底的に追いかけます。
古代の法則:「数詞語幹+ウカ」のルール
この古代のルールとは、**「日数を表す語幹(和語数詞)」に「接尾語の『ウカ』」**を付けて、その後に音が変化するというものです。
この法則を理解すると、「20日」の読み方「はつか」も、決して特殊な例外ではないことがわかります。
| 日 | 語幹 | 接尾語 | 変化のプロセス | 現代の読み方 |
|---|---|---|---|---|
| 20日 | はた | ウカ | はたうか → はつか | はつか |
| 2日 | ふた | ウカ | ふたうか → ふつか | ふつか |
| 8日 | や(やち) | ウカ | やうか → ようか | ようか |
| 10日 | とを | ウカ | とをうか → とおか | とおか |
特に、「はつか」の成立過程は、「はた+うか」という構成から母音が脱落し、現在の形に変化するという、非常に興味深い言語的な変化をたどっています。
以下で、この「はつか」という読み方が具体的にどのような過程を経て生まれたのか、詳細な語源説をご紹介します。
古代日本語の数詞の構成を体系的に説明するために「ウカ」という接尾語が付くのです。
- 「はた」+「うか」
- 「はたち」の語幹「はた」に「うか」が付き「はたうか」となる
ローマ字で書くと「fata + uka ⇒ fatauka」
- 「はつか」
- 直前の母音が脱落して「はつか」となった
ローマ字で書くと「fat + uka ⇒ fatuka」
上記のように、「ウカ」という接尾語を付加すると、2日~10日、20日という日数詞の語構成が規則的に説明できるそうです。
ただ、この「ウカ」が、どのような語であるかは「不明」ということです。
※漢字自体は簡単でも読み方の難しい漢字は多々あります。「20日」は番外編で収録です。
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知識の引き出しを増やす:20日に関する関連知識
20日(はつか)の知識の引き出しを増やすため、関連する情報を2つほど挙げておきます。
「はつか」の漢字
「はつか」を漢字で書くとどうなるか紹介します。
二十日、廿日
この2つの漢字は、共に「熟字訓(2つ以上の漢字で構成された熟語を、訓読みとは異なる特別な読み方で読む)」に当たります。
後者の「廿日」ですが、「廿」には「にじゅう」「はた」「はたち」という訓読みがあります。

「廿日鼠」は「ハツカネズミ」と読みますが、「甘口鼠」の誤記から、こうなったと言われています。
ちなみに、「甘口鼠」は噛まれても痛くないから名付けられたという説があります……。
「20日(はつか)」の英訳
「はつか」と言っても英語には、そのような言葉はありません。
この場合は、20日を英訳する形になります。
20th、twentieth
「7月20日に出張が入っています」というような場合は、次のように、日付に「on」をつけます。
I have a business trip on July 20th.
基本的に、日付は文末に置くそうです。
ただし、日付を強調したいときは、頭に持ってきます。
On July 20th,I have a business trip.
日付の読み方で迷いがちなポイント総整理
「20日(はつか)」の読み方が特殊であることを知りました。
そういえば、上記「古代の法則」に、20日の他に、2日、8日、10日に読み方がありましたが、これも特殊でした。
こうなると、「他の日付はどう読むのだろう?」という疑問が生まれますよね。
日本語の日付の読み方は複雑で、「1日~10日」、「20日」、そして、「14日・24日」が、特に特別な読み方をします。
これらの特殊な読み方を整理してみましょう
和語数詞を使う「特殊な日付」一覧
特に間違いやすい日付と、その和語(特別な読み方)を一覧で整理しました。
これらの日付は、原則として「日付」を示す際に使われます。
| 日付 | 読み方 (和語) | 非推奨 (漢語) |
|---|---|---|
| 1日 | ついたち | いちにち |
| 2日 | ふつか | ににち |
| 3日 | みっか | さんにち |
| 4日 | よっか | よんにち |
| 5日 | いつか | ごにち |
| 6日 | むいか | ろくにち |
| 7日 | なぬか | しちにち |
| 8日 | ようか | はちにち |
| 9日 | ここのか | くにち |
| 10日 | とおか | じゅうにち |
| 14日 | じゅうよっか | じゅうよんにち |
| 20日 | はつか | にじゅうにち |
| 24日 | にじゅうよっか | にじゅうよんにち |
読み方は、皆、何でこうなるのというモノばかりですが、特に注意すべきものを確認します。
「四日(よっか)」と「四日(よんにち)」の扱い
表を見て分かる通り、「4」のつく日付(4日、14日、24日)は、数字の読み方が「よん」ではなく「よ」の音で始まるのが特徴です。
「14日」を「じゅうよんにち」と読んでも間違いではありませんが、ニュースやビジネスシーンでは「じゅうよっか」が圧倒的に使われます。
「にじゅうよんにち」よりも「にじゅうよっか」が標準的です。
【関連】日付の読み方をさらに深く知る
当ブログでは、特殊な読み方をする日付の語源や詳細な解説を、それぞれ独立した記事で深く掘り下げています。
日付の読み方に関する疑問を完全に解消するため、ぜひこちらの記事もご覧ください。
- 7日は「なぬか」?読み方と由来を知れば思わず納得
- 8日の読み方は「ようか」だが何でそういうのか語源から探ってみた
- 9日ってなんて読む?読み方と由来を知って日本語力アップ!
- 10日の正しい読み方は?日常で役立つ語源も丁寧にご紹介
最後に
「20日」の読み方「はつか」は、日本語独自の数詞文化に由来します。
この言葉、最近の若い人は「にじゅうにち」と読むんですね!
「はつ」は古語の「二十(はた)」に「ウカ」が付いたモノで、直前の母音が落ちた形を意味します。
この形で、以前記事にした8日(ようか)や、2日(ふつか)、3日(みっか)、10日(とうか)なども同じように説明できるのです。
参考
NHKことばのハンドブック第2版|数字の発音・用例集
新明解語源辞典
※気づけば言い方・呼び方の漢字の記事も増えてきました









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