ビールの和風の言い方は?各国語の名称も語源を含めて詳しくご紹介

2023年4月20日

テレビをつけると当然CMが流れますが、その中で頻繁に登場しているのがビールではないでしょうか。たくさんの著名な俳優などがビールをグッと飲み干し「うまいね!」というのが定番です。

60爺

私はあまり飲めないので、こう手のCMには賛成しかねます。ビールって、よほどのどが渇いていた時は、一杯目だけは「うまい」と感じますが、2杯目以降は・・・。

このビールなんですが「和風の言い方はないのか」というのが、そもそもの疑問です。そして、このビールの語源にも興味がわきました。

そこで、これらの疑問にこたえるべく、ビールの和風の言い方から始めて、なぜ、ビールと呼ぶのか、その語源についても追及していきます。

その内容をシェアしますので、ご一緒に見ていきましょう。

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ビールの和風の言い方は?

ビールの和風の言い方は何でしょうか?

ビールの和風の言い方は?

麦酒(ばくしゅ)です。

聞いたことはありますよね。キリンビール株式会社の商号は「麒麟麦酒株式会社」です。また、パソコンで「ビール」と入力して変換をクリックすると「麦酒」に変換できますよ。

この麦酒ですが、いつ頃から使われているのでしょうか?

ビールが日本の文献に初めて登場するのは、享保9(1724)年『和蘭(おらんだ)問答』(阿蘭陀(おらんだ)通詞・今村市兵衛と名村五兵衛が編集)にある次の記述と言われています。

麦酒給見申候処、殊の外悪敷物にて何のあぢはひも無御座候。名はビイルと申候。

現代語に訳すと「思ったよりおいしくなく、何の味わいもない。名前はビールというらしい。」となるんですかね。あんまり、おいしくなかったようですな!

なお、ビールはオランダ語の bier からの借用語※です。

借用語※
ある言語体系から別の言語体系へ取り入れられ、日常的に使われる外国語・古語・方言など。外来語と同義にも用いる。

引用 wiki 借用語

麦酒は中国語の漢字を使った意訳※語でもあるんですね。

意訳※
原文の一語一語にこだわらず、全体の意味に重点をおいて訳すこと。また、その訳したもの。

引用 広辞苑

ビールの語源

最初にビールの意味を書いておきます。

醸造酒の一つ。麦芽を粉砕して穀類・水とともに加熱し、糖化した汁にホップを加えて苦味と芳香とをつけ、これに酵母を加え発酵させて造る。発酵過程で生ずる炭酸ガスを含む。ビヤ。

引用 広辞苑

日本の初めてのビールは、江戸時代にオランダ人がもたらしたものです。

上述したように、名称のビールは、オランダ語の bier からの外来語※ですね。

外来語※
外国語で、日本語に用いるようになった語。狭義では、漢語を除く。伝来語。

引用 広辞苑

ビールの呼び名の変遷を、ちょっと見てみました。

  • 1724(享保9)年 麦酒、ビイル 『和蘭問答』
  • 1788(天明8)年 びいる 『蘭説弁惑』(蘭学者・大槻玄沢)
  • 1798(寛政10)年 ビール 『蛮語箋』和蘭辞典

最初の文献から、74年後に初めて現代と同じ「ビール」と発音されたようですね。

この bier のもとは、「飲む」の意のラテン語 bibere から出た語だということです。

現代では、ビールと呼ぶのが一般的ですよね。

英語の beer は、明治時代にビア、ビヤーという語形で用いられていましたが、現在では単独では用いられておりません。

ビア・ガーデン、ビア・ホール等の複合語は残っています。

各国語のビールの名称と語源を見ておきましょう。

各国語のビールの名称と語源

日本語のビールの語源がわかったところで、今度は世界に目を向けて、各国でビールがどう呼ばれているのかを語源を含めてみてみましょうか。

ビールの呼び方には、いくつかのグループがあるようです。

英語のbeerから来たもの

この beer も、上述した「飲む」の意のラテン語 bibere から出た語だということです。

言語スペル発音
英語beerビア
オランダ語bierビア
ドイツ語Bierビア
ルーマニア語Bereベレ

英語のaleから来たもの

インド・ヨーロッパ祖語※の、alu-(「酔う」「魔術的な」など)が語源です。

言語スペル撥音
英語aleエオ(ア)?
エストニア語oluオロ
デンマーク語ølユイ?
ノルウェー語ølオイ
スウェーデン語ölアウ

インド・ヨーロッパ祖語※(インド・ヨーロッパそご)
インド・ヨーロッパ語族(印欧語族)の諸言語に共通の祖先(祖語)として理論的に構築された仮説上の言語である。

引用 wiki インド・ヨーロッパ祖語
60爺

発音が聞きづらいのばっかりで困りました。皆さんも、是非、聞いてみてください。

スラヴ語派諸国

スラヴ祖語pivoの派生系を使います。

言語スペル発音
ロシア語пи́воピーバ
セルビア語пи̑воピーボ
ポーランド語piwoピーボ
ポーランド語piwoピーボ

スラヴ祖語(スラヴそご)はスラヴ語派に属する言語の元になった祖語。インド・ヨーロッパ祖語(上述)から発展した。文献はなく言語の比較によって再構した体系による。

引用 wiki スラヴ祖語

ロシア語だけ、「ピーバ」と聞こえました。あとの4つの言語、セルビア語、ポーランド語、ポーランド語は「ピーボ」でした。

こうしてみると、旧ロシア圏なんですね。

ラテン語cervisiaから派生

言語スペル発音
スペイン語Cervezaサルベーサ
ポルトガル語Cervejaサルベージャ

ヨーロッパでは、この2国が「Cerve」で始まるスペルでしたね。最後というか、後ろから2番目の文字が違っているだけでした。

スペインは、zaですが「サ」と読ませます。ポルトガルは、jaで、そのまま「ジャ」でした。

その他の国

言語スペル発音
日本語ビール
中国語啤酒ピージョ
フィンランド語olutオルト

中国語は、ドイツ語の Bier からの借用と中国語「酒」の合成と思われます。

フィンランド語は、上述「英語のale」から来たと思ったんですが、実は、「ゲルマン祖語 *alu かバルト語からの借用語」とのことです。

借用語(しゃくようご)
言語学の用語で、他の言語から別の言語にそのまま取り入れられた語彙である。

引用 wiki 借用語

麦酒の類義語

ビールの類義語って言ってもあまりないんですよ。

  • 麦酒(ばくしゅ):麦をかもした酒、すなわちビール。
  • ビア:=ビール
  • ビヤ:=ビール
  • エール:イギリス産の上面発酵(常温性の酵母を用いる発酵)ビールの総称。
  • 生ビール:醸造したままで、殺菌のための加熱を行わないビール。なま。
  • ラガービール:貯蔵タンクで熟成させたビール。日本では、多く、醸造後に加熱殺菌して貯蔵に適するようにしたものを指す。貯蔵ビール。
  • 黒ビール:ビールの一種。焦がした麦芽を用いるので暗褐色をしている。 

うーむ、余りに類義語が少ないので、無理矢理ひねり出しましたが、生ビール以降はビールの一種であって類義語ではないですな!

こんなところで、ご勘弁を!

最後に

ビールの和風の言い方と、他の国ではビールをどう呼ぶか、その語源が何かを見てきました!

日本では、和風の言い方をすると「麦酒(むぎしゅ)」でした。キリンビール株式会社の商号は「麒麟麦酒株式会社」でしたね。「ビール」を変換と「麦酒」に変換できますよ。

日本のビールは、江戸時代にオランダ人がもたらしたもので、オランダ語の bier からの外来語であることもわかりました。

外国でのビールの名称は、グループが複数あって、それらグループで名称がほぼ決まっており、他のグループとは違うこともわかりました。

いやー、雑学としての知識が増えましたね。

※気づけば言い方・呼び方の漢字の記事も増えてきました

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら