当の旧字は何か?その字体と成り立ち・各機器での出し方まで総特集
「当」という漢字は、私たちの生活に広く浸透している身近な文字です。
看板や新聞、書籍のタイトルなど、さまざまな場面で日常的に出会いますが、実はこの「当」には旧字体が存在します。
この旧字体は、実際、お目にかかることがあるかと思いますが、言われてみると「ヘェ!!」と思ってしまうでしょう。
本記事では、この旧字の成り立ちや意味の由来に触れながら、どのようにして今の字体に簡略化されていったのかを紹介していきます。
さらに、現代のパソコンやスマートフォン、タブレットなどで旧字体を表示・入力する具体的な方法も紹介します。
漢字に興味がある方や、旧字体を正確に扱いたい方に向けて、実用的な内容をお届けします。
「当」の旧字とは?
「当」には、旧字の「當」があります。


この漢字、一見、「富」に見えますが、部首は「うかんむり」ではなく「なおがしら」なんです。
この旧字「當」の基本情報です。
部首 | 小(![]() |
画数 | 13画 |
音読み | トウ |
訓読み | あ・たる、あ・てる、まさ・に(日本語のみ)わ |
主な意味 | ①面と面とがぴたりと当たる。まともに対抗する ②まともに引き受ける「担当」 ③相当する。あてはまる「該当」 ④その時、その場に当面する「当時」 ⑤まさに…べし ⑥姓の一つ ⑦ぴたりと合う。ちょうどよい「相当」 ⑧ちょうどそれに当たっているさま「当年」 ⑨ぴたりと当てる面 ⑩借金に引き当てる物品。しち。しちぐさ「抵当」 |
平らなものが隙間なくピッタリあたることを「當」と言います。
これが、上記にあるそれぞれの意味に展開していきました。
當の意味 | 言葉 | 言葉の意味 |
---|---|---|
① | 対当 | 二つのものがぶつかる |
② | 担当 | 仕事や任務に向き合う |
③ | 該当 | ちょうど当てはまる |
④ | 当時 | ちょうどその場や時にぶつかる |
⑦ | 相当 | ぴったり合う |
⑧ | 当地 | ちょうどそれに当たっている |
「当」と旧字「當」の書き順を見てください。

書き順は、どちらも簡単です。
「当(當)」の語源
當=「尚(ショウ)」+「田」で構成される漢字です。
尚=「向」+「八」で構成され、向は「空気を出し入れする窓」、八は「左右に分かれる」意から、尚は「室内の空気が抜けて空中に分散する状況を想定した図形」となります。
この「分散」に視点を置くことで、尚には「平らに広がる」イメージがあるのです。
さらに、このイメージが「平らな面」「面が重なるようにピッタリ当たる」「2つ(A,B)のものの形がぴったり合う」というイメージにも展開しました。
ここから、當は田の売買の場面をイメージして、Aの田の面積とBの田の面積がぴったり重なり合う状況を示しています。
あるいは、田の面積と価値がぴったり合うと解釈してもいいでしょう!
新字体について
見比べるとわかりますが、新字体「当」は旧字体「當」を大胆に省略しています。
この新字体、草書体で、この形に近く略しているモノもあるようです。
※「カテゴリ:漢字の旧字」に収録した漢字の中で、旧字が存在するのは「羽」「寿」「実」「来」「会」「真」「恵」「広」です。
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さて、上記の漢字は、「羽」以外「新・旧字対照表|立命館大学」に載っています。
次の章からは、旧字「當」のパソコン・スマホ・テプラでの打ち方を紹介します。
パソコンでの「當」の打ち方
文字変換とUnicodeによる打ち方の2つをご紹介します。
文字変換による「當」の打ち方
それでは、文字変換による「當」の打ち方を紹介します。
変換をかける文字は「はね」です。
手順は次の通りです。
- 「あたる」入力
- 日本語で「あたる」と入力します。

- 変換候補から「當」を探す
- 変換キーを数度押すと変換候補が現れます。
見つからずに「単漢字…」まで来たらクリックします。

- 変換候補から「當」を探す
- 「當」が見つかったらクリックします。

- 「當」入力完了
- 「當」が入力されました。

「あてる」でも、同じ操作で実施可能です。
「とう」でやると、変換候補が多すぎて見つけるまで時間がかかるので止めた方がいいです。
Unicodeによる「當」の打ち方
Unicode4桁を打ち込んで変換をかける打ち方です。
手軽ですけど、Unicodeを覚えるのが面倒です。
- 「7576」入力
- 日本語で「7576」と入力します。
F5キーを押します。

- 変換候補から「當」を探す
- 変換候補が現れますので「當」を探します。
見つけたら、クリックしましょう。

- 「當」入力完了
- 「當」が入力されました。

日本語でUnicodeを入力してF5キーを押すだけです。
注意点は「日本語で」という部分!
これだけで、望む漢字を入力できます。
ただ、上述したように、いつまでもUnicodeを覚えていられませんよね!
スマホでの「當」の打ち方
スマホででも文字変換によで「當」を出すことが出来ます。
変換をかける文字は、パソコンとは異なり「とう」です。
- 「とう」入力
- 日本語で「とう」と入力します。

- 変換候補をタップ
- 変換候補をタップしましょう。

- 旧字発見
- 変換候補の中に旧字「當」があります。
見つけたらタップします。

- 「當」入力完了
- 「當」が入力されました。

「あたる」「あてる」で行うと、変換候補が「當たる」「當てる」となり、2文字を削除しなければならないので面倒です。
テプラでの「當」の打ち方
ここでは、テプラ(TEPRA PRO SR300)における「當」は打てるでしょうか?
文字変換
まずは、文字変換でやってみます。
- 「あたる」入力
- 「あたる」と入力し、変換ボタンを押します。

- 変換候補を探す
- 変換候補が表示されるので「當」を探します。

- 「當」押下
- 「當」が候補に表れますので「選択」ボタンを押します。

- 「當」入力完了
- 「當」が入力できました。

「あてる」でも同様の手順で出すことができます。
「とう」でも出せますが、(パソコンほどではないですが)変換候補が多いのでお勧めしません。
JISコードを指定する打ち方
次は、JISコードを指定する打ち方です。
まずは、TEPRA SR300の取扱説明書で「當」を検索しました。

旧字の「當」を検索できました。コードは「6536」です!
実際にやってみましょう。
- 「シフト」+「あ・ア」キー押下
- 「シフト」を押しながら、「あ・ア」キーを押します。
コード入力画面が表示されます。

- 「6536」入力
- コードに「6536」を入力します。

- 「當」押下
- 「當」が候補に表れますので「選択」ボタンを押します。

- 「當」入力完了
- 「當」が入力できました。

旧字「當」を出力することが出来ました。
テプラで難しい漢字を入力する方法を紹介した記事があります。
最後に
本記事では、「当」の旧字体である「當」について、その字形や意味、成立ちについて紹介しました。
「當」は、「尚」+「田」で構成される漢字でした。
他の面積と価値がぴったり合うという意味を旧字が持っていることが分かりました!
また、パソコンやスマートフォン及びテプラの各機器で「羽」の出し方を紹介しましたが、どの機器でも「當」を出力することが出来ました。
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。
参考資料
・上級漢和辞典 漢字源
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