金が3つの漢字「鑫」!読み方から意味・各機器での打ち方まで総特集
日常ではあまり見かけませんが、一目見たら忘れられないインパクトを持つ漢字、それが、今回の題材である「鑫(きん)」です。
「金」という漢字が三つも重なってできており、見た目にも豪華なこの文字は、どんな読み方で、はたまた、どのような意味を持っているのでしょうか。
また、この漢字を使った言葉などはあるのでしょうか?
この記事では、「鑫」の読み方や意味に加え、どんなところで使われているのか、そして、パソコンやスマホ及びテプラなど各種機器での入力方法まで、徹底的にご紹介していきます。
「鑫」の読みや意味を知りたい方、そして入力方法で困っていた方にはピッタリです。
どうか、ご一緒に最後までご覧くださいませ。
「金3つの漢字」=「鑫」!まずはどんな字なのか確認

誰もが知る「金」という漢字が、まるで宝石のように集まって構成されているこの字。
そう、これこそが今回主役となる「鑫」です。
究極の縁起文字「鑫」の基礎情報
まず、この字の基本的な情報と、ユーザーが最初に抱く疑問を解消していきましょう。
| 部首 | 金 |
| 画数 | 24画 |
| 音読み | キン |
| 訓読み | - |
| 意味 | ①金や財産が多い ②姓の一つ |
| Unicode | U+946B |
この 「鑫」は、同じ「金」という字が三つ集まって構成されています。
このような漢字は「品字様(ひんじよう)」と呼ばれ、意味を強調したり、物事の多さを表現したりする際に用いられます(この仲間たちについては、後ほど詳しく解説します)。
【重要】 「鑫」は表示できているか?文字化けの可能性について
ここで、読者の皆様が、よく抱く疑問について触れておきます。
「私のスマホやパソコンで 「鑫」という字は正しく表示されているだろうか?」
この漢字は、日常的に使う常用漢字ではありません。
そのため、古いOSや特殊な環境では、四角や記号(いわゆる文字化け)になって表示されない可能性があります。
しかし、ご安心ください。
現在お使いのスマートフォンやWindows、Macなどの主要なOSでは、標準的なフォント(明朝体やゴシック体)で表示可能です。
もし、今、あなたの画面でこの字が正しく表示されているなら、この後の記事内容も問題なくお読みいただけます。
もし、表示されていない場合は、OSのアップデートやフォント設定の変更が必要なケースもありますが、基本的にはデザインや専門的な利用を除き、閲覧に大きな支障はありません。
「鑫」は、その形が持つ縁起の良さから、現代では店舗の屋号やロゴマーク、デザイン文字としても非常に人気が高まっています。
まずは、この字が持つ圧倒的な「富のイメージ」をしっかりと頭に入れておきましょう。
※前回の「惢」の記事です。
⇒ 心3つの漢字「惢」!読み方から意味・各機器での打ち方まで総特集
※次回は「猋」です。
⇒ 犬が3つの漢字「猋」!読み方から意味・変換の仕方まで総特集
読み方:日本語と中国語で違う?意外と知らない発音事情
「鑫」という漢字は、日本国内では非常に珍しい存在ですが、中華圏では財や商売の繁栄を願う文字として広く使われています。
そのため、日本語と中国語では、その読み方や社会的な位置づけに大きな違いがあります。
日本語の読み方
日本語における 「鑫」の読み方は、基本的に音読みで「キン」(訓読みはありません)となります。
これは、漢字の音の基となる中国語の発音に由来しています。
ただし、この漢字は、私たちの日常で使う「常用漢字」には含まれていません。
さらに、子どもの名前に使用できる「人名用漢字」にも指定されていないJIS第3水準漢字です。
そのため、現在の日本の法律や公的な手続きにおいて、「鑫」の字を子どもの名前に使うことはできません。
もし、デザインや屋号として使用する場合は問題ありませんが、個人名や法人登記の名前に使う際は、文字の持つ「縁起の良さ」と「法律上の制約」を理解しておく必要があります。
※「鑫」自体が問題になるわけではありませんが、商号全体としての制約は受けます。
中国語(拼音)の読み方
中国語(標準語)における 「鑫」の読み方は、「xīn(シン)」です。
中国語圏において、「金」は「財産」「富」「お金」を意味する最も重要な漢字の一つです。
それが3つ集まった 「鑫」は、「財産が多く集まる」「富が盛大である」「利益が潤沢である」という意味合いを極限まで強調した、大変縁起の良い文字として知られています。
そのため、 「鑫」は古くから「富」や「栄える」を連想する単語として、人名や企業名、特に商店の屋号として積極的に使用されてきました。
たとえば、企業名に「鑫」の字を用いることで、「わが社には金が集まる」「商売が繁盛する」という強い願いとアピールを込める文化が定着しています。
なぜ金が3つ?「財産が多く集まる」縁起の良い漢字
「鑫」という漢字がなぜこれほどまでに強力な「富の象徴」として扱われるのか。
それは、そのユニークな構造と、そこに込められたアジア圏特有の縁起の良い思想に深く関係しています。
漢字の成立の背景
漢字には、形をかたどった「象形文字」や、意味の近い字を組み合わせた「会意文字」など、いくつかの分類があります。
「鑫」は、「金」という字を三つ組み合わせた「会意文字」です。
会意文字とは、既にある二つ以上の漢字の意味を組み合わせて、新しい意味を表す文字です。
「鑫」の場合、単体の「金」が持つ「財産」「貴重なもの」という意味を、三つ重ねることで、「非常に多くの財産」「金が豊富に集まる様子」という、極めて強調された意味を生み出しています。
「金が重なる=富が重なる」という思想
東洋の文化、特に中華圏では、同じものを重ねることで「多さ」や「強さ」を表現する思想があります。
例えば、「木」が二つで「林(はやし)」となり、三つで「森(もり)」となって、樹木が多い様子を表すように、「金」が三つ集まる 「鑫」は、単純に金が多いというだけでなく、「富が次々と重なり、絶え間なく続く繁栄」を象徴します。
この「金が重なる=縁起が重なる」という思想は、人々が抱く「財運向上」への強い願望を形にした、究極の縁起文字と言えるでしょう。
商売繁盛の象徴として大人気!ロゴ・屋号への採用
その強烈な「富」のメッセージ性から、 「鑫」は古くから商売人が好んで使用してきました。
店舗の屋号(会社名)やロゴマークに 「鑫」を採用することは、「わが社(わが店)は金運に恵まれ、繁栄が永遠に続きますように」という願いを、顧客や取引先に対して強力にアピールすることに繋がります。
そのため、現代においても、特に中華レストランや金融関係、ジュエリーショップなど、富や高級感を連想させたいビジネスでロゴデザインに取り入れられ、絶大な人気を誇っています。
屋号にある「鑫」

名前や名字では見つからなかった「鑫」ですが、店舗では何軒か見つかりました。
| 店名 | 日本語読み | 場所 |
|---|---|---|
| 鼎鑫飯店 | ていしんはんてん | 横浜中華街※2022年閉店 |
| 台湾料理鑫成 | たいわんりょうりしんせい | 別府 |
| 鑫福隆 | きんふくりゅう | 横浜中華街 |
| 鑫燃焼肉 | きんねんやきにく | 上野店 |
| 新鑫 | しんしん | 東京都葛飾区立石 |
| 鑫福 | しんふく | 台湾料理|近鉄日本橋 |
| 鑫隆楼 | しんろんろう | 東京目黒 |
やはり、中華(台湾)料理屋が多いですね。
「金や財産が多い」意から、名字はなかったですが、「人名・屋号に用いる字」ということでした。
なお、焼き肉以外は、「鑫」を「シン」と読んでしますが、こう読むのは、上記で言ったように中国音なんです。
他に、「xin」と読む字には「新」や「心」などがあり、まさしく「シン」であることがわかります。
中国における「鑫(シン)」の利用実態
見ていただた通り、「鑫」は日本ではなじみのある漢字ではないですが、その発祥地である中国では、現在に至るまで富と繁栄を象徴する、非常に縁起の良い文字として広く使われています。
中国語では、特に、商売や財産に関わる企業名に好んで採用されているとのことで、少し、追いかけてみました。
具体的な企業名としての利用事例
「鑫」の商売繁盛の願いは、さまざまな分野の企業名に見られます。
- 太陽光発電・エネルギー分野:協鑫光電(世界的な太陽電池メーカーのグループ企業名)
- 機械製造・ハイテク分野:広東鑫信智能装備有限公司(精密金型や自動設備を製造する企業)
このように、「鑫」の字は、上記ハイテク産業の他にも、食品加工(濰坊鑫盛食品有限公司)、さらには、飲食店(鑫海匯)まで、広く活用されているようです。
いつから使われている?成立の歴史と文化的背景
「鑫」は非常に縁起の良い漢字ですが、その歴史的な使われ方は少し特殊です。
古代の文献ではあまり見られず、主に商業の発展とともに広まっていった背景があります。
古典文学における使用は稀
「金」が三つ集まったこの字は、その意味の強さから「古くから使われてきた」というイメージがあるかもしれません。
しかし、日本の和歌や古典、中国の古い経典や詩文を探しても、 「鑫」の使用例は非常に少ないことがわかっています。
これは、古代の文献においては、単なる「富の強調」よりも、文字の持つ哲学的な意味や、詩的な表現が重視されたためです。
また、この字を構成する「金」自体が、古代には銅などの金属全般を指すことが多く、現代のような「通貨」としての意味が強くなったのは比較的新しい時代になってからです。
※『説文解字(せつもんかいじ)』:後漢時代(2世紀頃)に編纂された、最古かつ最も権威のある漢字の字書に 「鑫」の記載はありません
※平安時代に作られた字書『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』などを見ても 「鑫」は記載されていません
中国の近代以降:商売繁盛を願う「商人文字」へ
「鑫」が本格的に使われ始めたのは、中国の清代以降の近代に入ってからです。
商業が発展し、富を蓄えることが個人の成功と結びつくようになると、ストレートに「財」を表現する 「鑫」のような漢字が、商人や企業家にとって非常に魅力的な文字となりました。
特に、商売を始める際に「この店は必ず繁盛する」という願いを込めて、縁起の良い屋号や看板に採用する文化が定着しました。
この時代から、 「鑫」は「財運を呼び込む文字」としての地位を確立していきます。
各機器での「鑫」の打ち方
それでは「鑫」を各機器(パソコン・スマホ・テプラ)で、どう出すかについて見ていきましょう。
パソコン
パソコンでは、環境依存文字ですが何とか出すことができます。
- 文字変換での打ち方
- Unicodeを使った打ち方
それぞれの手順を示します。
文字変換での打ち方
「きん」と入れて文字変換することで「鑫」を出すことができます。

変換キーを何度も押すと、変換候補に「単漢字」が出てくるのでクリックし、新たに表示された変換候補に「鑫」が表れるのでクリックします。



「鑫」が入力できました。

Unicodeでの打ち方
パソコンでは、Unicode変換でも「鑫」の入力ができます。
入力の手順です。
- 日本語で「946B」と入力
- 日本語で「946B」と入力します。
右のように「946b」となりますが問題ありません。

- F5キー押下
- F5キーを押します。
候補が表示されるので、「鑫」をクリックします。

- 「鑫」入力完了
- 「鑫」が入力できました。

スマホ
文字変換ではダメだったんですが、なんと手書き入力で、「鑫」を出すことが出来ました。
その手順は次の通りです。
- 手書き画面で「鑫」と入力
- 手書き画面で「鑫」と入力します。

- 変換候補から「鑫」をタップ
- 候補が表示されるので、「鑫」をタップします。

- 「鑫」入力完了
- 「鑫」が入力できました。

他にも、本サイトの「鑫」をコピー&ペーストする方法か、漢字登録する手もあります。
※コピー&ペースト・漢字登録は次の記事を参考にしてください。
⇒ 魈という漢字の出し方!パソコン・スマホで変換できない時の解決策
テプラ
テプラPRO SR300で「すい」で文字変換しましたが「鑫」は候補にありません。
そこで、取扱説明書で「鑫」を検索しましたが、こちらもヒットしません。
そこで、上位機種であるTEPRA PRO SR530でも探してみたのですが、「鑫」を見つけることは出来ませんでした!
どうやら、パソコンあるいはスマホに接続できる機器でないと「鑫」を印刷することはできません。
まとめ
パソコンでは、文字変換及びunicode変換で「鑫」の入力が可能でした。
スマホでは、手書き入力から、入力が可能です。
その他、コピー&ペースト・漢字登録で表示は可能です。
残念ながらテプラ(PRO SR300,SR530)では登録されていないため、入力できませんでした。
品字様(ひんじよう)
「鑫」のように、同じ漢字を三つ重ねて構成される文字を、「品字様(ひんじよう)」と呼びます。
これは、文字の並びが「品」の字に似ていることに由来します。
品字様漢字の役割は、単一の文字が持つ意味を「多い」「盛ん」「力強い」といった形で、極限まで強調することにあります。
財の象徴である『鑫』の魅力をより深く理解するために、その興味深い仲間たちを見てみましょう。
| 漢字 | 構成 | 読み | 意味 |
|---|---|---|---|
| 鑫 | 金 | シン | 財産が多い、富が盛んなこと |
| 森 | 木 | シン、もり | 木が深く生い茂っている様子、多くの木 |
| 淼 | 水 | ビョウ、ミョウ | 広々として水があふれるさま、水が非常に多いこと |
| 犇 | 牛 | ホン、ひしめく | 多くの牛が恐れて走り出すさま、集団で急ぐこと |
| 垚 | 土 | ヨウ | 土が非常に厚いこと、山が高く積み重なっている様子 |
これらの品字様漢字は、共通して「3つ=多い」という視覚的なインパクトを持ちながら、それぞれが持つ原義(木、水、牛、土、金)の特性を最大限に引き出し、文章やデザインに深みと力強さを与えているのです。
※上記の品字様の漢字のうち、次の漢字について記事を書いています。
⇒ 牛が3つの漢字「犇」!読み方から意味・変換のやり方をお届け
⇒ 水水水で構成される漢字「淼」!読み方と各機器での入力方法をご紹介
最後に
「金」が3つも集まった漢字「鑫」の内容をみてきました。
随分、豪華なイメージのある漢字ですが、日本では馴染みがなく、やはり、環境依存文字でした。
意味は、「金や財産が多い」で、金が集まって出来た漢字そのものでしたね。
機器での入力は、パソコンでは何とか打て、スマホでは、手書き入力から表示できたのには正直驚きました。
テプラでは案の定、パソコンと接続できる機器以外では打ちようがありません。
参考
『康熙字典』(金部・二十四画に記載):漢程汉语 康熙字典 鑫字解释
上級漢和辞典 漢字源
白水社 中国語辞典|Weblio
※カテゴリー「同じ漢字3つで構成される漢字」の記事です。









60爺




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