糸へんに広いは「絋」!読み方・意味と「紘」との違い
「糸へんに広い」と書く漢字は「絋」です。
読み方は「コウ」「わた」で、繭のくず糸から作った「わた」を意味します。
ところが、検索結果には「絋」だけでなく、よく似た「紘」も数多く出てきました。
最初は同じ漢字の異体字かと思ったのですが、絋と紘では、つくりだけでなく意味や名前に使えるかどうかも異なります。
また、絋は紘の旧字体ではなく、「纊」という漢字の異体字です。
この記事では、絋と紘の読み方や意味をはじめ、両者の違い、成り立ち、パソコンやスマホでの出し方、名前に使えるかまで分かりやすく解説します。
「絋」と「紘」の読み方と意味
「糸へんに広い」と書く漢字は「絋」です。
ただし、右側が「広」ではなく「厷」になっている「紘」も、見た目がよく似ているため一緒に検索されています。
ここでは、「絋」と「紘」それぞれの読み方と意味を確認しましょう。
「絋」の読み方と意味
「絋」の基本情報は、次のとおりです。
絋
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部首 | 糸(いとへん) |
| 画数 | 11画 |
| 音読み | コウ |
| 訓読み | わた |
| 意味 | 繭のくず糸を集め、ふんわりと広げて作ったわた |
| 漢字の種類 | 「纊」の異体字・JIS第2水準漢字 |
「絋」の音読みは「コウ」、訓読みは「わた」です。
繭のくず糸を集めて、隙間を空けながらふんわりと広げた「わた」を表します。
現在では日常的に使われることが少なく、「絋」を用いた一般的な言葉もほとんど見かけません。
なお、「絋」は「紘」の異体字ではなく、「纊」の異体字です。
「紘」を含めた三つの漢字の関係については、次の章で詳しく説明します。
「紘」の読み方と意味
「紘」の基本情報は、次のとおりです。
紘
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部首 | 糸(いとへん) |
| 画数 | 10画 |
| 音読み | コウ |
| 訓読み | つな、ひろい |
| 意味 | 冠のひも、張り渡した綱、広い、果て |
| 漢字の種類 | 人名用漢字・JIS第1水準漢字 |
「紘」の音読みは「コウ」、訓読みは「つな」「ひろい」です。
もともとは、冠の右側からあごの下を通り、左側へ回して結ぶひもを表しました。
そこから、張り渡した綱や大綱という意味でも使われます。
さらに、「広い」「大きい」「果て」という意味を持ち、「大地の八方の果て」を表す「八紘」という言葉にも用いられています。
名前では、「ひろ」「ひろし」などと読まれます。
広いという意味では、この漢字に似ています。
⇒ 広の旧字は「廣」
「絋」と「紘」の書き順
「絋」は11画で、左側の「糸」を書いてから、右側の「広」を書きます。

「紘」は10画で、左側の「糸」に続いて、右側の「厷」を書きます。

二つの漢字はよく似ていますが、右側が「広」なら絋、「厷」なら紘です。
書くときは、右側の形を取り違えないように注意しましょう。
にんべんに専でも、違う漢字が2つ検索されているようです。こちらは、下記の記事でどうぞ。
⇒ にんべんに専
「絋」と「紘」の違い
「絋」と「紘」は、どちらも糸へんの漢字で、音読みも「コウ」です。
しかし、右側の形だけでなく、意味や名前に使えるかどうかにも違いがあります。
「絋」は「わた」を表す漢字、「紘」は「ひも」「つな」「広い」などを表す漢字であり、両者は別の漢字です。
主な違いを表で比べてみましょう。
| 比較項目 | 絋 | 紘 |
|---|---|---|
| つくり | 広 | 厷 |
| 画数 | 11画 | 10画 |
| 音読み | コウ | コウ |
| 訓読み | わた | つな、ひろい |
| 主な意味 | 繭のくず糸から作ったわた | 冠のひも、綱、広い、果て |
| 異体字との関係 | 「纊」の異体字 | 「絋」とは別の漢字 |
| 名前への使用 | 現在の名付けには使えない | 人名用漢字のため使える |
二つの漢字を見分けるポイントは、右側の「つくり」です。
糸へんに「広」と書く11画の漢字が「絋」、糸へんに「厷」と書く10画の漢字が「紘」です。
特に人名では「紘」が使われるため、名前にある漢字を「絋」と書き間違えないように注意しましょう。
「絋」は「紘」の旧字・異体字ではない
「絋」と「紘」はよく似ているため、「絋は紘の旧字体ではないか」「二つは異体字の関係ではないか」と思われることがあります。
しかし、「絋」は「紘」の旧字体でも異体字でもありません。
「絋」が異体字に当たるのは、糸へんに「廣」と書く「纊」です。
三つの漢字の関係を整理すると、次のようになります。
| 漢字 | 関係 |
|---|---|
| 絋 | 「纊」の異体字 |
| 纊 | 「わた」を意味する漢字 |
| 紘 | 絋・纊とは別の漢字 |
つまり、「絋」と「纊」は字体が異なる同系統の漢字ですが、「紘」は意味も成り立ちも異なる別の漢字です。
「糸へんに広い」と書かれた形をそのまま探している場合は「絋」、人名などで使われる「ひろ」「ひろし」「コウ」という漢字を探している場合は「紘」である可能性が高いでしょう。
「絋」と「紘」の成り立ち
「絋」と「紘」は見た目がよく似ていますが、それぞれ異なる成り立ちを持つ漢字です。
ここでは、二つの漢字がどのようにできたのかを順に見ていきましょう。
「絋」の成り立ち
「絋」は、「纊」の異体字であることは述べました。
「纊」は、意味を表す「糸」と、音を表す「廣」を組み合わせた形声文字です。
「糸」は糸や繊維に関係することを表し、「廣」は「コウ」という音を表します。
また、「漢字源」によると「廣」には広げるという意味があり、「纊」は生糸のくずをふんわりと広げた「わた」を表す漢字となりました。
「絋」は、この「纊」の右側にある「廣」を「広」に置き換えた字形です。
したがって、単に「糸」と「広」を組み合わせて「広い糸」を表した漢字ではありません。
「纊」と同じく、繭のくず糸から作った「わた」を意味します。
「紘」の成り立ち
「紘」は、意味を表す「糸」と、音を表す「厷」を組み合わせた形声文字です。
「厷」は「コウ」という音を表します。
また、「漢字源」によると「外枠を張り広げる」という意から、「紘」は、あごの周りに枠を張るようにめぐらす冠のひもを表した漢字となったとのことです。
そこから、張り渡した綱や大綱という意味にも使われるようになりました。
また、「紘」には「広い」「大きい」という意味もあります。
これは「弘」や「宏」と同じように、「広い」という意味で用いられたものです。
このように、「絋」は「わた」、「紘」は「ひも」や「綱」をもとに成立した漢字です。
見た目と音読みは似ていますが、成り立ちから見ても別の漢字であることが分かります。
※糸へんに〇の漢字を一覧にしてクイズにしました。次の記事でチャレンジください。
「絋」と「紘」のつく言葉
「絋」と「紘」は、いずれも日常生活で目にする機会の少ない漢字です。
特に「絋」を使った一般的な言葉はほとんどなく、標準字体の「纊」を用いた難しい言葉がわずかに見られます。
「絋」のつく言葉
「絋」は「纊」の異体字であるため、辞書では主に「纊」を使った形で掲載されています。
代表的な言葉は、次のとおりです。
| 言葉 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 黈纊(黈絋) | とうこう | 黄色いわたを丸め、冠の両側に垂らしたもの |
| 繒纊(繒絋) | そうこう | 絹とわた。また、わたを入れた衣服 |
どちらも現代の日常生活では、ほとんど使われない言葉です。
「絋」には「わた」という意味がありますが、「絋」を使った身近な熟語はないと考えてよいでしょう。
「紘」のつく言葉
「紘」は、「広い」「大地の果て」といった意味を表す言葉に使われます。
代表的なものを見てみましょう。
| 言葉 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 朱紘 | しゅこう | 赤色の冠のひも |
| 八紘 | はっこう | 大地の八方の果て。天下、全世界 |
| 八紘一宇 | はっこういちう | 世界を一つの家のようにすること |
「八紘」の「紘」は、もともと大地に張り渡した綱を表します。
そこから転じて、「八紘」は「大地の八方の果て」や「全世界」という意味で使われるようになりました。
「八紘一宇」は「日本書紀」の一節をもとに作られた言葉ですが、戦時中に国家的な標語として使われた歴史もあります。
「絋」と「紘」をパソコンやスマホで出す方法
「絋」と「紘」は、どちらも一般的な文字変換で入力できます。
ただし、使用している日本語入力システムによっては候補に表示されないことがあるため、その場合はコピーやUnicodeを利用しましょう。
パソコンとスマホでの変換
パソコン・スマホでは、文字変換で簡単に出すことができます。
まず、パソコンから。
- 絋:「こう」変換、「わた」変換
- 紘:「ひろ」変換、「こう」変換
左に挙げたモノが第一候補で、早い段階で狙いの漢字に辿り着きます。
パソコンでは、Unicodeを使って入力することもできます。
漢字ごとのUnicodeは、次のとおりです。
| 漢字 | Unicode |
|---|---|
| 絋 | U+7D4B |
| 紘 | U+7D18 |
| 纊 | U+7E8A |
「絋」を出す場合は、日本語で「7D4B」と入力し、その直後にF5キーを押します。
同様に、日本語「7D18」の後にF5キーを押すと「紘」、日本語「7E8A」の後にF5キーを押すと「纊」に変換されます。
次にスマホですね。
- 絋:「ひろ」変換
- 紘:「ひろ」変換
「ひろ」を入力することで、どちらの漢字も候補として外套の漢字が現れると思います。
変換で出てこない場合の出し方
通常の変換で出てこない場合は、次の文字をコピーして使うのが最も簡単です。
絋 紘 纊
「絋」と「紘」は名前に使える?
「絋」と「紘」はよく似ていますが、現在の名付けに使えるかどうかには明確な違いがあります。
「絋」は新しい名前には使えませんが、「紘」は人名用漢字なので名前に使用できます。
「絋」は現在の名付けには使えない
「絋」は、常用漢字にも人名用漢字にも含まれていません。
そのため、現在は子どもの名前に使うことができません。
「糸へんに広い」という形の漢字を名前に使いたい場合は、「絋」ではなく、人名用漢字の「紘」を検討することになります。
「紘」は名前に使える
「紘」は人名用漢字に含まれているため、男の子にも女の子にも使えます。
音読みの「コウ」のほか、名前では「ひろ」「ひろし」などと読まれます。
「紘」には「つな」「広い」「大きい」といった意味があります。
そこから、人とのつながりを大切にする人になってほしい、広い心や視野を持つ人になってほしいという願いを込められるでしょう。
名前の例には、「紘(ひろし・こう)」「紘大(こうだい)」「紘平(こうへい)」「千紘(ちひろ)」などがあります。
「紘は名前に良くない」といわれる理由や、名付けに使う際の考え方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
⇒ 紘は名前に良くない?そんな理由を抽出し60爺の見解と共に大特集!
まとめ
「糸へんに広い」と書く漢字は「絋」で、音読みは「コウ」、訓読みは「わた」です。
「絋」は「纊」の異体字であり、よく似た「紘」の旧字体や異体字ではありません。
一方の「紘」は「コウ」「つな」「ひろい」と読み、冠のひもや綱、広いことなどを表します。
また、「絋」は現在の名付けには使えませんが、「紘」は人名用漢字なので名前に使用できます。
右側が「広」なら「絋」、「厷」なら「紘」と覚えておけば、二つの漢字を見分けやすいでしょう。
参考資料
上級漢和辞典 漢字源 改訂第六版(学研)
※気づけば糸へんの記事も増えてきました









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