にんベんに専で傅・傳を総特集【意味・読み方・成り立ち・名前など】

今回、「にんべんに専」と書く「傅」という漢字を題材に取り上げようとしました。

これ、にんべんに○○である、カテゴリ「にんべんの漢字」に属する漢字ですが、ネットで調べていたんですが、いつもと勝手が違うんですよ。

60爺

つくりの部分が、少し違うぞと感じていたんですよね。

実は、「傅」の漢字の他に「傳」を紹介している記事も多く含まれるんですよね。

そういうことなので、この記事では、にんべんに専で「傅」と「傳」の2つの漢字を総特集します。意味・読み方・成り立ち・名前or名字など関連する情報をご紹介しますよ。

それでは、内容をじっくりご覧ください。

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にんべんに専で傅・傳!漢字の意味・読み方をチェック

はじめに、傅及び傳の意味と読み方を順番に確認します。これらの二つの漢字について、ちょっと比較もしておきます。

傅の読み方と意味

画数 :12画
音訓:フ(日本語だけ)いつき いつ・く かしず・く めのと
意味
①{名詞}ぴたりとそばについている、補導役。おもり役。②フタリ{動詞}おもり役としてそばに付き添う。③姓の一つ。
日本語だけの味・用法
(訓読み)いつき いつ・く かしず・く めのと

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

傳の読み方と意味

画数 :13画
音訓:デン つた・える
意味
①{名詞}宿場で中継ぎして、旅客や手紙を送りとどけること。また、その人や馬。②{名詞}昔からつたえられた古い書物。③{名詞}経書や詩の注釈。④{名詞}人物の言行や一生を書きつたえる文章。⑤姓の一つ。⑥{動詞}つたえる(つたふ)。つたわる(つたはる)。申し送る。⑦{名詞}つたえ(つたへ)。いいつたえや書きつたえ。
日本語だけの味・用法
(訓読み)つて づた・い でん・する
(名付)ただ、つぐ、つた、つたう、つたえ、つとう、つとむ、のぶ、のり、よし

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

傅のつくりは「甫」の下に「寸」、傳のつくりは「專」ですね~。まあ似ていますが、拡大してみると、その違いがよくわかりますね。

パット見、傅・傳共に「にんべんに専」に見えますね!

そういえば、糸へんに広いで、今回のように似た漢字を特集しました。

個別に漢字を見ていきましょう。

まず、「傅」ですが、音読みは「フ」、訓読みはありません。「傳」の音読みは「デン」、訓読みは「つた・える」です。

日本語だけの訓読みをともに持っており、「傅」は、「いつき」「いつ・く」「かしず・く」「めのと」の4つ、「傳」は、「つて」「づた・い」「でん・する」の3つですね。

意味をみると、「傅」は「そばについている補導役」、「傳」は「つたわる(つたはる)。申し送る。」となっています。

そして、「傳」は「」の異体字※なんです。

異体字※
漢字の字体のうち標準字体以外のもの。異体文字、別体字、変体字ともいう。広義の・・・一定しないが、(1)略字(・・・暦・歴→厂、幅→巾など)、(2)合字(・・・麻+呂→麿、菩+薩→など)、(3)分字(・・・米→八木など)、(4)古字(古文ともいう。・・・)、(5)俗字(・・・曜→など)、(6)譌(か)字(誤字と認められるもの)

引用 コトバンク 異体字

そして、「傅」は、今示した「傳」のように別の漢字の異体字ではありません

「傅」には「師傅(シフ):天子の顧問や皇太子の教育係をし、名誉ある高官であった。」という言葉があります。

そして、「傳」には、次の言葉があります。標準体の文字ですが。

  • 駅伝:①宿継ぎに用いる馬。②宿場から宿場へ公文書や物品を送り届けること。宿場中継の制度。
  • 伝記:①個人一生の事績を中心とした記録。②あることについて語り伝えられてきた記録。
  • 列伝:①「史記」で、天子(本紀)・諸侯(世家)以外の人々の伝記。②多くの人々の伝記を別々に書いて並べたもの。
  • 伝道:①言いつたえ。伝説。②聖人君子の教えを伝える。③宗教の教えを伝え広める。
60爺

さらに、「傅」「傳」共に「姓の一つ」の意があることから、傅さん、傳さんがいらっしゃるようです。

もうわかったと思いますが、「傅」と「傳」は全く違う漢字です

書き順

次に、「傅」の書き順を示しておきます。

にんべんと甫と寸を順に書くだけです。書き順を間違えることはないでしょう。

標準字体の「伝」の書き順も載せておきます。

にんべんに云を順に書けば完成です。「傅」より、はるかに簡単な書き順ですね。

最後に「傳」の書き順です。

この漢字は、つくりがやや複雑です。上記の書き順を見ながら、間違えないように書きましょう。


傅・傳の漢字としての成り立ち、熟語など

ここでは、漢字としての成り立ちを順にみていきます。

傅はの解字を見ていきます。

「傅」=「甫と寸(フ くっつく)」+「人(ひと)」で成り立っています。これで、「ピッタリと付き従うおもり役」の意を表しています。

次に「傅」を使用した言葉を探してみました。

傅のつく言葉読み意味
傅育フイクそばについていて身分の高い人の子を守り育てる。
傅説フエツ①星の名。後宮で子を求めるときにまつるという。②《人名》殷(イン)の武丁(高宗)のときの賢臣。殷の高宗が夢に見て、道路工事の人夫の中から捜し出したという。
傅会フカイ①むりに理屈をつけてこじつける。②物と物とをつなぎあわせる。③文章の論旨を通して文章をまとめること。
傅玄フケ゛ン《人名》217〜78 西晋(シン)の人。字(アサ゛ナ)は休奕(キュウエキ)。武帝のとき諫官(カンカン)となった。著に『傅子』がある。
傅婢フヒそばについておもりをする女の召使。
傅母フホ゛⇒傅姆。人の子を守り育てる婦人。

傅育(フイク)は聞いたことがあるような気がしますが、知っているのは「扶育」になっちゃいますね。でも、傅育(フイク)は、日本語にも存在するんですよ。

他の言葉は、人名は別として国語辞典には載っていませんね。

傳の字源を見ていきます。

「傳」=「專(セン 丸く回る)」+「人(ひと)」で成り立っています。專は「〇の形に回る」イメージが「○○○○の形に点々と移る」というイメージに展開します。

そこから、傳は人から人へ物を移して伝える状況を表すようになりました。

この漢字には同源語として、「伝」「転」「専」「団」等があります。

「傳」こ言葉は標準字体「伝」を使用した言葉にかえて紹介します。

伝のつく言葉読み意味
伝呼テ゛ンコ①次々に呼び伝えて知らせる。②身分の高い人が通行するとき、先に声をかけて道をあけさせること。先払い。
伝授テ゛ンシ゛ュ伝え授ける。奥義を教え伝えること。
伝説テ゛ンセツ①昔からいい伝えられてきた話。②うわさ。
伝統テ゛ントウ①血統や学問の系統を受け継ぐ。②古くから伝わってきた道徳・生活・様式などの総称。
伝聞テ゛ンフ゛ンうわさなどを人づてに聞く。また、そのうわさ。
伝法テ゛ンホ゜ウ・テ゛ンホ゜ウ㊀(テ゛ンホ゜ウ)方法を授け伝える。㊁(テ゛ンホ゜ウ)①《仏教》仏法を授け伝える。②《日本語での特別な意味》悪ずれがして乱暴なこと。③《日本語での特別な意味》女が男だてをまねること。
伝来テ゛ンライ①外国から伝わってくること。②祖先から、代々伝えられていること。
伝令テ゛ンレイ{伝命(テ゛ンメイ)}命令を伝える。また、その役の人。

ほとんど、聞いた記憶のある言葉が並んでいますね。こんなのは初めてだ!

トップの「伝呼」のみ、聞きなれないですな。

次の章では、名前や苗字に使えるのか確認します。

名前、苗字の使われ方について

傅・傳を名前ないし名字でどう使われるかを見ていきましょう。

この「傅」は、どんな名前があるんでしょうか。と思ったら、なんと、この漢字は人名漢字に入っておりませんので、名前に使うことは出来ません

そこで、「傅」一文字の苗字があるかを見ていきます。

【名字】傅
【読み】でん,つたえ,ふ,つとう
【全国順位】 22,640位
【全国人数】 およそ180人

参考資料 名字由来net

この苗字は、普通とは言わないまでも、そこそこの人数が全国におられますね。

読みが「でん」「つたえ」「ふ」「つとう」の4つですね!

都道府県別にみるとどうでしょうか?

都道府県人数
東京都およそ70人
千葉県およそ30人
大阪府およそ20人
北海道およそ10人
鹿児島県およそ10人

参考資料 名字由来net

ベスト5で、およそ140人ですから77.8%、残りの22.2%が他の道府県に散らばっているんですな。

さて、この「傅」に他の漢字を付けた苗字は、次のように多数ありました。

久傅(きゅうでん)、三傅(さんでん)、傅川(つたがわ)、傅住(でんずみ)、傅田(でんだ)、傅刀(でんどう)、傅道(でんどう)、傅野(でんの)、傅甫(でんぽ)、傅法(でんぽう)、傅法谷(でんぽうや)、傅馬(でんま)、傅谷(でんや)、福傅(ふくでん)、門傅(もんでん)、余傅(よでん)

読みは、「でん」と読ませる苗字がほとんどでした。唯一、「傅川(つたがわ)」のみ、「つた」と読ませていました。

さて、異体字である「傳」は名前に使われているでしょうか。

傳は人名漢字です。ですから、名付けに使えます。しかも、読みとして「ただ、つぐ、つた、つたう、つたえ、つとう、つとむ、のぶ、のり、よし」の10種類が使えます。

「傳える」という意味もある所から、次のような願いを込めることが出来ます。

  • ご先祖を大事に思える人に
  • 大切なものを受け継いでいける人に繋がりを大切に出来る人になってほしい

男の子の名前60爺ベスト3

  1. 傳(つたう)
  2. 克傳(かつのり)
  3. 忠傳(ただよし)

読みは、1が漢字一文字で「つたう」、2は「のり」、3は「よし」と全て違うモノを採用しました。

女の子の名前60爺ベスト3

  1. 傳花(よしか)
  2. 傳代(ただよ)
  3. 傳子(のりこ)

女の子も、男の子と同様、全部違う読みです。1が「よし」、2が「ただ」、3が「のり」ですね。

この漢字は、画数も多く、男の子向きかと思います。実際、ネットでは、女の子の候補は余り載っていないようですね。

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最後に

にんべんに専と書く傅・傳について確認してきました。一見、よく似ているようですが、拡大してみると違いがよくわかります。

傅のつくりは「甫」の下に「寸」、傳のつくりは「專」ですね~。ぱっと見、同じ形に見えちゃいます。

この記事では、「傅」及び「傳」それぞれの漢字について確認を行いました。傳は伝の板字でアることが分かりました。

傅・傳ともに、あまり見かけない漢字です。後者は「伝」で使われますので、当たり前なんですが、これらの漢字を使う言葉を探してみましたが、傅には見かけない言葉が並びました。

※気づけば糸へんの記事も増えてきました

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら