傘をさすを漢字で書くと?その意味をベースにすると自ずと見えてくる

2023年9月30日

今回は、久しぶりに、普段、何気なく使っている言葉ですが、漢字にするとどうなるのかをみてみます。

日本人は雨が降ると、間違いなくほとんど全員が傘をさすんですが、どうやら外国では、そうでもないようですね。

60爺

夏の暑い季節では、ご婦人方だけではなく、最近は、少数?ですが、男でも日傘をさすようになっています。

今回の対象は、この「傘をさす」の漢字表記です。「さす」には、いくつもの表記がありますが、意味をベースとして、どう書けばいいのか見ていきましょう。

それでは、ご一緒に内容をご覧くださいね。

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傘をさすを漢字で書くとどうなる?

この場合の漢字表記は次のようになります。

傘をさすを漢字で書くとどうなる?

傘を差す

そうなんです。「差す」が答えなんですね。その意味は、次の通りです!

手で物を上の方に上げる。かざす。(参考 明鏡国語辞典)

「さす」の漢字表記には、ぱっと思いつくだけでも「指す」「差す」「刺す」「射す」等があります。

「差す」以外のそれぞれの表記については様々な意味を持っていますが、簡単に言ってしまうと次の通りです。

  • 指す:指などで目標とする事物や場所・方向などをそれと示す。指し示す。指さす。
  • 刺す:ある物の内部に先のとがった物を突き入れる。突き刺す。
  • 射す:光が発現する。

「傘をさす」に対しては、上記で述べた「手で物を上の方に上げる。かざす。」というどんぴしゃりの意味を持つ、「差す」と書くのが正解なんですね!

なお、「差す」には、他にもたくさんの意味を持っていますので、使い方も含めて、ご覧になっていただきましょうか。

「差す」の持つ他の意味と使い方

「差す」には、大別すると次の意味があるんですよ。

  • 自然の現象が直線的に作用する意
  • 差し込んだり、加えたりする意

これらの表す意と使い方を順にみていきましょう。

自然の現象が直線的に作用する意

まずは、その意味を見ていただくと理解が早まると思います。

意味

  1. 光が発現する。
  2. 潮が満ちてくる。また、水が入り込んでくる。
  3. 色などが表面に現れる。
  4. 〔慣用句的に〕その気分や気持ちが起こってくる。

これらの意味があります。どんなイメージが湧いたでしょうか?

次の使い方をご覧ください。

使い方

それぞれの意味ごとに、どのように表現するかを出してみました。

  1. 雲が切れて日が差す、二階は西日が差して非常に暑い
  2. 潮が差す、床下まで水が差す
  3. 頰ほおに赤みが差す、取り澄ました顔に一瞬苦悩の色が差した
  4. 眠けが差す、魔が差して盗みを働いてしまった
60爺

それぞれの使い方をみてピンと来ましたか?

1の使い方は、太陽光が漏れて来るのに使う場合ですね。なお、この使い方をする際は「射す」という表記も可能です。

3でいっている「赤みが差す」等も聞いたことがあるでしょう。4の「魔が差す」などは小説などを読んでいるとよく出て来ますよね。


差し込んだり、加えたりする意

次は、表題にあるような動作を伴う意味ですね。ザっと並べます。

意味

  1. 舞で、手を前方に伸ばす。
  2. 相撲で、相手のわきの下に手を入れる。
  3. 競馬で、ゴール間近で先行する馬を追い抜く。
  4. 手で物を上の方に上げる。かざす。
  5. 刀剣などを腰の帯の間にはさみ入れる。
  6. 物の間にはさみ入れる。差し込む。
  7. 舟を進めるために、棹さおを水底に突き立てる。
  8. ある物に他の物を加え入れる。
    ㋐ 杯に酒をそそぎ入れる。つぐ。
    ㋑ ごく少量の液体をある部分にそそぎ入れる。点ずる。
    ㋒ 液体などを少し(ずつ)加え入れる。補い加える。つぎ足す。
    ㋓ いろどりを添える。

こんなに、色々な意味を持つんですね。そのうち、既に述べましたが、4が、今回のテーマの答えとなる意味でありますな。

60爺

3は競馬用語と言ってもいいんですかね。

7では、「さおさす」なんて表現を聞いたことがあります。

こちらも、使い方を見ると合点がいくでしょう。早々に見ていきましょうか。

使い方

たくさんの意味がありましたが、それぞれに対応する使い方を見てください。

  1. 差す手引く手
  2. 左を差して寄る
  3. 1番人気の○○がゴール前で先行馬を差して逆転でトップとなった
  4. 傘を差す
  5. 刀を差す
  6. 状差しに手紙を差す、鉛筆を筆立てに差す
  7. 流れに棹を差す → さおさす
  8. ㋐差しつ差されつして酒を飲む
    ㋑目薬を差す、機械に油を差す
    ㋒花瓶に水を差す、吹きこぼれないように水を差しながらゆでる
    ㋓頰ほおに紅を差す

1では、舞の動きで「差す手引く手」なんてのは聞いたことがあるのでは?この場合の表記は「指す」も可能です。

2は相撲中継を聞いていると、しょっちゅう出てくる表現です。「差す」を使うんですねエ。

5で使う表現は、「挿す」も使われるようです。6も同様です。

7の意味で使用する場合には、「刺す」が使用されることもあるようですね。

8も、こういう例を出されると、「あー、あったね。そういう表現」と納得されたのではないでしょうかね。

8での使い方ですが、表記液体には「注す」、紅には「点す」と表記する場合もありましたが、今は一般に「差す」でまかなっていますね。

参考:明鏡国語辞典

さて、意味と使い方を理解したところで、次に「傘をさす」を言い換えると、どんな言葉あるのか見ていきます。

漢字の「差」について

この傘を「差す」の「差」ですが、漢字自体の意はどうなっているのでしょうか。

漢字の「差」

結論から申しますと、「差」自体には「傘をさす」に該当する意はありません。

ただし、日本語だけの意味・用法、複数あるのですが、この中に、「傘をさす」が入っています!

画数 :10画
意味
大きく三つの意味があるんです。
㊀①{名詞}違い。そろわないで生じた違い。②{名詞}引き算の答え。③{動詞}たがう(たがふ)。同じにそろわない。じぐざぐになる。等級をつける。④{動詞}いえる(いゆ)。ようすが少し違ってくる。病状がかわっていくらかよくなる。⑤{副詞}やや。いくらか。⑥{形容詞}《俗語》劣っている。違いがついているさま。
㊁{形容詞}ちぐはぐで、そろわないさま。
㊂{動詞}つかわす(つかはす)。
日本語だけの意味・用法
①さす。先方に進める意を含む動詞の接頭辞。「差し出す」
②さす。先方へ入れる。こちらにはいる。「水を差す」「光が差す」「潮が差す」
さす。かさを頭上にかざす。また、刀を腰の帯にはさみ入れる。
④さす。舞のしぐさで、手を前のほうに出す。また、将棋で、こまを進める。「差し手」

「差」は、いわゆる「違い」という意ですな。これから、㊀の中にある、「引き算の答え」「等級をつける」「病状がかわっていくらかよくなる」「いくらか」「劣っている」につながるのです。

日本語だけの意味・用法では、たくさんの意味があり、そのうちの一つが、まさに「ド真ん中!」だったわけです。

そして、日本語だけの意味・用法は、イコール、上述した「差す」の意になってますね。

「傘をさす」の言い換え

「傘をさす」とは、「傘を開いて頭の上に広げること」を示します。

これを言い換えると、次の表現があります。

  • 傘をかざす
  • 傘をかかげる

うーむ、余り使わないかな?下記のような意があるので間違いではないんですが・・・・・・。

  • かざす:手または手に持った物を上げて、あるものにさしかける。頭上にかかげる。おおうようにする。
  • かかげる:高くあげる。さしあげる。

やはり、「傘を」というと「差す」が第一候補になりますなあ。

次に、言い換えは言い換えでも、英語では何というのか見ておきましょうか。

英語では何という

「傘を差す」を英語で表わすと次のような表現があります。

  • open an umbrella
  • put up an umbrella

openは「開く」ですから、傘を差すときは「開く」ので、この表現が使えるようです。

put up an umbrellaでも同様に表現出来るようです。

これらの表現を使用した例文を見てみます。

  • 雨が降ってきたので傘をさした:I opened an umbrella as it began to rain.
  • 私は傘ををっていなかったので、友達が傘をさしてくれた:I didn’t have an umbrella, so my friend put up one.

なお、日傘は、「umbrella」ではなく「parasol」になるようです。

参考 ジーニアス英和和英辞典

「傘をさす」の意味

「傘をさす」で方言だとか、隠語だとか調べる方がおられるようなので、これらについて少し追いかけてみましょう。

「傘をさす」は方言?

「傘をさす」は方言?

「傘をさす」は方言ではないですね。

「傘をさす」の方言がいくつかあるようです。

  1. 「傘をかける」と言う方がいますね。西三河在住の方です。
  2. 「私は傘をかぶると言います」という人もいました。
  3. 「かさをきる」という表現もあるようです。長野の方?

いずれも、地方での表現だと思われます。

2.については、漱石の小説の中に、この表現が出て来るようですね。

3.は、「童謡 おひゃくしょうさんのうた」の中に出て来ます。

「傘をさす」は隠語

「傘を差す」の意味には、昔、別の意味が隠されていたという、いわゆる隠語だという説ですね。

これ、コミック「この世界の片隅に」の中で使われていたセリフです。

イト「ほんでの。向こうの家で、祝言あげるじゃろ。その晩に、婿さんが傘を1本持ってきたか?言うてじゃ。ほしたら、にいな(新しい)の1本持ってきましたと言うんで」
イト「ほいで、さしてもええかいの?と言われたら、どうぞ言う」

引用 【この世界の片隅に】傘の意味とは?…

おばあちゃんによる説明なしの性教育ですね。

「傘をさす」には、昔、そんな意味があったんだくらいのことを覚えておいてもいいでしょう。

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最後に

「傘をさす」といった場合に、漢字表記はどうなるのかを見てきました。

正解は「差す」でしたね。この場合は、「手で物を上の方に上げる。かざす。」意です。

ただ、「差す」には色々な意味があり、「自然の現象が直線的に作用する意」と「差し込んだり、加えたりする意」があって、その中には実に様々な意味がありました!

言い換えは、日本語の他に英語での表現を見てきましたが、こちらもたくさんの表記があって感心しました。

※思えば、「○○を漢字で書く」記事も増えてきましたよ

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら