「とても」に漢字表記がある!意味・語源もまとめて大特集しちゃう
「とても」という副詞ですが、割と便利な言葉なので、文章の中でかなり使います。
私は、記事の中で良く用いていると思います。
どのくらい使っているか見てみたら、600強の記事の中で90強で使用していました。
約15%の記事で使用しているんですね。「とても懐かしい・・・」だとか「とてもとてもありがたい」とか「非常に・・・である」の意で用いていることがほとんどです。
さて、この「とても」に漢字表記があると聞いてびっくり。
そこで、「とても」に漢字表記を見ていくとともに、その意味や語源など幅広く大特集しようと思い立ちました。
ご一緒にご覧になっていって下さいね。
「とても」の漢字表記と意味
最初に、「とても」の漢字表記を紹介します。
「とても」の漢字表記
迚も
おおー!こんな漢字表記があったんですね。初めて知りました。
この漢字「迚」は「国字」なんですよ。国字とは和製漢字のことです。即ち、日本で作られた漢字なんですね。
「迚」の解字をみると「辵+中」(会意)で、「途中まではともかく、しまい(実現)まではいきつけないことをあらわす。」とあります。
わざわざ、国字を作っているんですが、この漢字って余り知られていないのでは?
この「迚も」ですけど、今まで見てきた数々の文章や読み物で出会った記憶がないんですよ。
それこそ、昔の文献なんぞにはあるのかもしれませんが…。
次に「とても」の意味です。
「とても」の意味
意味は広辞苑から引っ張ってきました。
「とても」は「とてもかくても」の略。
- (否定を伴って)どんなにしても。なんとしても。とうてい。
- どうせ。ともかく。所詮。
- 非常に。たいへん。
1は、「否定を伴って」とあるように、どのようにしても実現しない気持ちを表しているんですね。ですから、「とても無理な相談だ!」「とてもできない」みたいに使います。
2は、最終的にはうまくいかないだろうという投げやりな気持ちを表しているんだそうです。ただ、この意味で「とても」を使うことは余りないのではないでしょうか。
3は、程度がはなはだしいさまを表します。「空がとてもきれいだ」なんて使い方ですね。60爺は、基本的に、この意味で「とても」を使っている気がしますね。
広辞苑には3つの意味が載っていましたが、「どうせ。ともかく。所詮。」の意味で、「とても」を使う方は、恐らくいらっしゃらないのではないかと思います。
上述したように、このブログでは、もっぱら3の意味で「とても」を使っているような気がしますね。
日常生活では、1の意味で「とても」を使用することはあるかもしれませんが…。
「迚も」の漢字表記で例文を書いてみた
さて、「とても」の漢字表記「迚も」と意味三つを見てきました。
この漢字表記は、これら三つの意味どれに使っても当然問題はないはずです。ですので、それぞれの意味で例文を出してみましょう。
■(否定を伴って)どんなにしても。なんとしても。とうてい。
既に、いくつか例を指していますが、新たに漢字を使って例文を出してみましょう。
- そうは言っても、迚も僕には出来ない
- 気を遣っていただき恐縮ですが、迚も食べられない量ですね
- そんなひどいことは迚もできない
■どうせ。ともかく。所詮。
この意味の例文を作るのは難しそうなので、辞書から引っ張ってきました。
- 謡曲、関寺小町「迚も今宵は七夕の、手向けの数も色々の」(広辞苑)
- 「我は迚も手負うたれば,ここにて討死せんずるぞ/太平記 5」(大辞林)
■非常に。たいへん。
こちらは、一般的に使いますなあ。
- 今日は迚も暑いね!この夏一番みたいだよ
- あれは、迚もよく効く薬だから、飲んでおいた方がいい
- あの角にある絵は、迚もすてきな作品だ
うーん、無理矢理、この漢字表記を使って例文を出してみたんですが、ちょっと違和感があるかな。
明鏡国語辞典に、『「▼迚も」とも書くが、かな書きが普通。』と出ていますね。
「迚」苗字がありました
「迚」を使った苗字がありましたよ!
【名字】迚
【読み】とて
【全国順位】 90,570位
【全国人数】 およそ10人
参考資料 名字由来net
「迚」さんの読みは「とて」なんですね。順位が90,570位で人数も、およそ10人と少数民族ですな。
奈良県に在住しているようです。他都道府県にはいらっしゃらないと思えます。
迚に他の漢字をつけた苗字も見てみましたが、唯一「迚野」さんが見つかりました!
【名字】迚野
【読み】とての
【全国順位】 37,417位
【全国人数】 およそ70人
参考資料 名字由来net
こちらの苗字は、「迚」さんの7倍の人数ですね。
都道府県 | 人数 |
---|---|
新潟県 | およそ20人 |
東京都 | およそ20人 |
兵庫県 | およそ20人 |
奈良県 | およそ10人 |
大阪府 | およそ10人 |
5都県で、およそ80人とトータルを越えちゃいました^^;四捨五入の関係で、おかしくなったかな。この5都県以外に「迚野」さんはいないと思われます。
「とても」の語源
さて、「とても」の語源を見てみます。
上述したように、「とても」は「とてもかくても」の略なんです。
「とても」の使われ方について、その歴史を簡単に見てみましょう。
- 中世ごろ
- 陳述副詞(「どうせ」「いずれにしても」「どうあろうと」のような意味)として用いられていました。
- 明治頃
- 不可能を表す語句を伴う用法に限定されたようで、この用法は現代でも続いています。
- 大正10年頃
- 肯定的文脈で用いられる程度副詞(「大変」「非常に」のような意味)の用法の「とても」が聞かれるようになったようです。
- 昭和10年頃
- 上述の程度副詞の用法は、(時に俗語扱いされながらも、)既に国語教育の場では容認され、後半には共通語の中に定着していたと見られます。
当初の「とても」は、陳述副詞(「どうせ」「いずれにしても」「どうあろうと」のような意味)として用いられていたんですね。
そのうちに、肯定的文脈で用いられる「大変」「非常に」のような意味を持つ「とても」が用法として認められ始めたんですね。
この用法は、最初は、「訛語」「俗語」として嫌われていたようで、昔の文学者からは次のように散々な言われようだったようです。
- 「標準語(東京語)」の用法とは異なるという判断
- 「東京の言葉ではない」
- この用法を「誤用」視する記述
しかし、次第に、この用法も認められていき、現在では辞書にも普通に載るようになっていますね。
私の使う「とても」の用法は、比較的新しい時代になって認められたモノなんですね。
最後に
「とても」に漢字表記があると聞いて調べてみました。
確かに存在しましたが、今まで見たことのない漢字でしたね。「とても」という言葉は、色々と目にしますが、この漢字表記で書かれている「とても」には遭遇していないと思います。
合わせて意味を見てみましたが、3つある意のうちひとつは、ほとんど使う方がいないのではないかと思いました。
そして、この語源を見てきたんですが、いつも60爺が使用している用法は、昔だったら、「誤用!」だと言われていたことを知ってビックリしちゃいましたよ。
よく使う言葉も調べてみると面白いですなあ!
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