「ぎこちない」の意味・語源を総特集!類語に関しても詳しく解説

2023年4月11日

先日、草サッカーの試合を見ていたら、チームの監督であろう方が、「あいつ、今日はぎこちないなー」みたいなことをポツリと一言。

60爺

選手の誰かに対して言った言葉でしょうが、この中の「ぎこちない」という表現がセンサーに反応しました。

この「ぎこちない」ですが、いろいろなシーンで使われていますよね。

そこで、この「ぎこちない」について、意味と語源を総特集しちゃいます!合わせて、類語に関しても解説してみますので、乞うご期待!

それでは、その内容ご一緒にみにいきましょう。

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「ぎこちない」の意味と語源

初めに、「ぎこちない」の意味を出した後、語源を見ていきますね。

「ぎこちない」の意味

「ぎこちない」の意味を辞書から引いてきました!

「ぎこちない」の意味

いくつかの辞書を見たんですが、新たな発見をしてしまいました。なんと、広辞苑には「ぎこちない」がないんですよ。しかし、「ぎごちない」が載っていました!

ぎごち‐な・い
〔形〕[文]ぎごちな・し(ク)
(ギコチナイとも。「ぎこつなし」の転)
①無骨ぶこつで洗練されていない。動作などがなめらかでなく、不自然である。「―・い挨拶」
②(着物などが)体にうまく合わなくて、ぐあいが悪い。「―・い着付け」

引用 広辞苑

学研国語大辞典も同様です。「ぎこちない」がないんですが、「ぎごちない」が載っています。

大辞林、大辞泉、日本国語大辞典、明鏡国語辞典は、その逆で、「ぎこちない」があって、「ぎごちない」が載っていないんです。

ぎこち‐な・い
[形][文]ぎこちな・し[ク]《「ぎこつなし」の音変化。「ぎごちない」とも》(1)動作や話し方などが滑らかでない。「―・い運転」「―・くあいさつをする」(2)からだに合わなくて、ぐあいが悪い。「薄綿もめん蒲団(ふとん)のたださえ―・いに」〈緑雨・おぼろ夜〉

引用 大辞泉

広辞苑と大辞泉で言っている意味は全く一緒です。

即ち、「ぎこちない」の意味は次の2つです。

  1. 動作などがなめらかでなく、不自然である
  2. 体にうまく合わなくて、ぐあいが悪い。

1は、動作が不自然であるという意味で、冒頭で出した例の意ですね。2は、着物が身体に合わないことを言ってます。こっちの意は知らんかったですな~。

さて、「ぎこちない」と「ぎごちない」の件ですが・・・。

NHKアナウンサーのことばの拠り所である『NHKことばのハンドブック』では次のようになっています。

  • 1992年(平成4年)「ぎごちない」が第1の読みなのである。第2の読みとして「ぎこちない」
  • 2005年(平成17年)「ぎこちない」が第1の読み、「ぎごちない」が第2の読み

これを見ると、わずか10数年の間に「ぎこちない」派が優勢になったことがわかります。

参考:「ぎこちない」か「ぎごちない」か ?

1992年時点では、「ぎごちない」がメインだったんですね。60爺は、濁る方は聞いたことがありませんでした。

「ぎこちない」で検索した際に、「ぎごちない」との違いを言う記事をいくつか見たんですが、何かの間違いだろうと思ってたんですよ!知らないことが多いですなア!

まあ、現時点では、「ぎこちない」が主流になっているとのことで一安心です。


「ぎこちない」の語源

次に、「ぎこちない」の語源を見ていきます。

「ぎこちない」の語源

中古※
コチナシ=コチ(「骨」の呉音)+ナシ(形容詞を作る接尾語)

コチゴチシ(骨々し)=無作法←骨のようにゴツゴツしている
コチナシ=無作法←骨のようだ
中古※
コチナシ(無作法)+漢語「気骨」 ?未詳
中世※
キゴツナシ ?正体不明
近世※以降
キゴツナシ(ギコツナシ、ギゴヅナシ):無作法
現在
ぎこちない(ごごちない)

コチナシは、「骨」の呉音であるコチに形容詞を作る接尾語ナシが付いたモノです。

コチゴチシ(骨々し)という言葉があって、「骨のようにゴツゴツしている」の意から「無作法だ」の意になったと考えらます。

同様に、コチナシも「骨のようだ」の意から「無作法だ」に展開したと思われます。

この「コチナシ」(無作法)と漢語「気骨」あたりが混合したものが「キゴツナシ」になったと考えられますが、はっきりしていません。また、この「キゴツナシ」という言葉は中世から見えますが、その正体はわかっていないんです。

近世以降に使われた「無作法だ」という意味のキゴツナシが変化したのが「ぎこちない」です。

参考:暮らしのことば新語源辞典 ぎこちない

60爺

「ぎこちない」の語源は、江戸時代まではわかっているんですが、それ以前は未だはっきりしないようです。

※中古、中世、近世

上代奈良時代とそれ以前
中古平安時代
中世前期院政・鎌倉時代
中世後期室町時代
近世前期江戸時代前期
近世後期江戸時代後期
現代明治以降

ぎこちないの類語

「ぎこちない」の類語について、どんな言葉があるか一覧にしてみました。

類語意味
スムーズでない動きが滑らかでない。
滑らかでないスムーズでない、すんなりいかない。
板につかない動作がしっくりしていない。
不自然自然でないこと。わざとらしいこと。
たどたどしい動作・話し方などがなめらかでないさま。
ぎくしゃく動作が滑らかでないさま。
ぎくぎく言語・動作の円滑でないさま。ぎくしゃく。
どろくさい土くさい。洗練されていない。やぼである。
やぼ洗練されていないこと。風雅な心のないこと。無風流。
ぶこつごつごつしていて、洗練されていないこと。

10ほど挙げてみました。

基本的に、主に、動作が滑らかでないという意味の言葉です。「どろくさい」以降は「洗練されていない」という意味で挙がりました。

「ぎこちない」の類語に、「下手」や「拙い」を含む方がいますが、滑らかなでないこととはイコールでないと感じます。

記事を終わる前に、「ぎこちない」を使用した例文を挙げておきます。

「ぎこちない」を使った例文

「ぎこちない」には2つの意味があったので、それに対応した例文を挙げて見たいと考えました。まず、その意味を再掲します。

  1. 動作などがなめらかでなく、不自然である
  2. 体にうまく合わなくて、ぐあいが悪い。

上記の意味に、それぞれに対応した例文を挙げてみます。

  1. 彼女は、あまりの緊張で、いつものプレーには程遠いぎこちない動きをしていた。
  2. 新入社員たちは、新品のスーツをぎこちなく着てかしこまっていた。

1番の彼女は、緊張が激しいせいでしょうか、いつも彼女がやっているいるプレーには程遠い、滑らかでない動きをしているんですね。

2番の例文は、入社式に臨んだ新入社員たちの姿を描写したものです。着慣れない新品のスーツを着ているんですが、余りにあっているとは言えないようです。

以上、簡単に解説しました。

最後に

「ぎこちない」について見てきました。

60爺

今回、一番驚いたのは、「ぎごちない」が昔は主流だったということです。私は、産まれてからこれまで、「ごこちない」しか知りませんでしたが、濁る方は、今回の調査で初めて知ったんですよ!

また、意味に「着物が合わないこと」とあるのも初耳でございました。今回の調査では、様々な勉強が出来て良かったです!

語源も、何かよくわからないカタカナから始まったんですね。しかも、古い時代のことは未解明だということでしたね。

新たな勉強になるので、また、違う言葉を探す旅に出かけます。

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

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Posted by 60爺