与えるの旧字は?その意味から画数の謎・名前のつけ方まで総特集
「与」は、日常的にも名前にもよく使われる漢字ですが、その旧字を知っている人は少数派だと思います。
この「与」の旧字は、画数が辞書によって違う珍しい漢字です。
本記事では、まず「与」の旧字はどのようなものがあるのかを探り、正式な画数と数え方の違いがどこにあるのかを明らかにします。
さらに、「与」という字に込められた意味や成り立ちを通して、漢字としての背景や文化的な価値にも目を向けます。
「与」や、その旧字は名付けにも使えるものなどで、その名付けのポイントにも触れていこうと思います。
「旧字」「画数」「意味」「名付け」「出し方」をキーワードに、「与」の旧字について徹底的に掘り下げていきます。
どうか、最後までご覧ください。
「与」の旧字は
「与」には、旧字(旧字体)の「與」があります。

この旧字「與」の基本情報です。
画数 | 14画 |
音読み | ヨ |
訓読み | くみ・する、とも・に、~と、 ~と…と、よ・り、 あた・える、あず・かる |
主な意味 | ①くみ・する。力を合わせる ②仲間 ③とも・に。一緒に。連れだって。従属の意 ④~と。対象の意 ⑤~と…と。並列の意 ⑥よ・り。比較して選択する意 ⑦あた・える。 ⑧あず・かる。参加する ⑨疑問の意。反語の意。詠嘆の意。 |
名付け | あたう、あたえ、あと、あとう、 くみ、すえ、ため、とも、のぶ、 ひとし、、もと、もろ、よし |
音読みは「ヨ」で、訓読みは上記のようにたくさんあります。
意味も、読みに合わせ、いっぱいあるんですね。
②の意では「与党」。⑧の意で「参与」という言葉があります。
その他に「姓の一つ」があるので、中国では「與」の姓があるようです。
与は3画、與は上述した14画の漢字です。
この「與」ですが、与謝野晶子(よさのあきこ)、与謝蕪村(よさぶそん)の「与」の旧字に当たるります。
この標準字体「与」は「與」の真ん中部分を取出した省略体で、昔からよく使われていたんです。
その書き順を見てください。

標準字体に比べ、旧字はややこしく難しい漢字です。
「與」の画数
さて、書き順の画数に気が付いた方はいらっしゃいますか?
Sugoi!(大谷翔平がホームランを打った時のアメリカ人)
そうなんです。
基本情報では14画となっているのに、書き順と13画になっているんですよ。
14画とすると、一息に書いた2画目の部分をどこかで区切って2つに分けるしかなさそうです。
「與」を14画とするのは、『康熙字典(こうきじてん)』(18世紀中国:現在の漢和辞典の源流)以来の伝統だそうです。
この辞書には、「與」と同字として図のような漢字が4画として掲載されています。

上述の2画目は、縦棒だけを引いて、そのあと、改めてカギ形を書く書き方だったと思われます。
そうであると仮定すれば、画数は1画増えて14画となる訳です。
ちなみに、漢字「与」(3画)は『康熙字典』には掲載されていない、いわゆる新字体です。
「与(與)」の語源
「与(與)」は「かみ合う」というコアイメージがあります。
「与(與)」の字源です。
「與」=「与(かみ合う)」+「昇(持ち上げる)」
「与」は「牙」と意匠が似ており、二つのものがかみ合うことを示す記号です。
「昇」は「臼(両手)」と「升(両手)」を合わせて「四本(二人)の手」を表しています。
ここから、「與」は二人が手を組み合わせて物を持ち上げたり、一緒に組んで行動するしたりする情景を示しています。
このイメージから「ともにする」「なかま」「あたえる」「あずかる」の意味が生まれました。
※「カテゴリ:漢字の旧字」に収録した漢字の中で、旧字が存在するのは次の漢字です。
- 当の旧字は何か?その字体と成り立ち・各機器での出し方まで総特集
- 「羽」の旧字は何か?パソコン・スマホ・テプラでの出し方もご紹介
- 寿の旧字体とは?その字形から意味・各機器での出し方まで総特集
- 実の旧字とは?その構成の意味と打ち方・新字のベースまで総特集
- 来の旧字とは?意味から異体字・その打ち方まで全部まとめて総特集
- 会の旧字とは?歴史や意味・異体字の打ち方まで全部まとめて総特集
- 「真」の旧字のパソコン・スマホでの打ち方は?異体字も合わせて確認
- 恵に旧字体はある!その表記の歴史からパソコン等への打ち方を総特集
- 広の旧字「廣」を知ってる?まだれに黄と書く表記の打ち方をご紹介
「祐」「羽」以外は「新・旧字対照表|立命館大学」に載っています。
與の部首と異体字
標準字体の「与」の部首は「一」に含まれます。
なお、「與」の標準字体である「与」に異体字は存在しません!
ちなみに、標準字体「与」は常用漢字、「與」は人名用漢字です。
さて、次の章では、旧字「與」のパソコン・スマホ及びTEPRAでの打ち方を紹介します。
各機器での「與」の打ち方
パソコン、スマホ及びテプラ等、各機器での「與」の打ち方を確認します。
パソコンでの「與」の打ち方
上述しましたが、この「與」は人名用漢字ですので、パソコンでは文字変換で出すことができます。
「よ」あるいは「あたえる」と入力して変換ボタンを押すと変換候補に「與」が表れますのでクリックしてください。
Unicodeであれば、日本語で8207と入力してF5キーを押せば出てきます。
スマホでの「與」の打ち方
「與」は人名用漢字だけあって、スマホでも文字変換で出すことができます。
その文字は「よ」か「あたえる」です。
変換候補に、「與」が出て参りますのでタップしましょう。
テプラでの「壽」の打ち方
ここでは、テプラ(TEPRA PRO SR300)で「與」が打てるか確認します。
テプラでも、パソコン・スマホと同様、文字変換で「與」を打つことができます。
変換用文字は「よ」「あたえる」です。
「あたえる」の方が変換候補を探すのが少なくて済むでしょう。
下位機種のSR300で登録されているので、上位機種でも当然登録されていますね。
テプラで難しい漢字を入力する方法を紹介した記事があります。
名前に使用する場合のポイント
あまり目にすることがないものの、「與」という漢字は人名用漢字であり、その古風で力強い印象から、名付けに取り入れたいと考える人も少なくありません。
標準字体である「与」よりも重厚感があり、書き姿にも品格があり、クラシカルな印象や他にはない個性を演出できます。
ここでは、「與」を名前に使う際のイメージや込められる願い、そして名付けのポイントについて紹介します。
「與」は、ただの漢字ではなく、「与える」「あずかる」等、大きな意味を背負っています。
この漢字は、特に「人との和」「調和」を大切にする意味を持つため、他者との協調や信頼を重視する家庭にはピッタリです。
まず、「與」を使うことで、どんな願いを込められるか見ていきましょう。
- 人に惜しみなく愛や知恵を与えられる人になってほしい
- 誰かと支え合って生きていける人に育ってほしい
「與」の持つ、「物を分け与える」「共にする」といった意味から、上記のような願いを込められます。
この漢字の名付けのポイントは、読みやすさと意味の伝わりやすさを考慮することが大切です。
「與」という字は一般的には読みにくい印象がありますが、その分、次のような多彩な読みが用意されています。
あたう、あたえ、あと、あとう、
くみ、すえ、ため、とも、のぶ、
ひとし、もと、もろ、よし
これらの読みを、他の漢字とうまく組み合わせて、唯一無二の名付けを目指してみてはいかがでしょうか。
名前の例を挙げておきます。
- 男の子:與徳(とものり)、與(ひとし)、與克(よしかつ)、喜與(よしとも)、與完(よしみつ)、與之(よしゆき)
- 女の子:佳與子(かよこ)、祥與(さちよ)、真與(まよ)、美與子(みよこ)、與子(よしこ)、梨與(りよ)
最後に
「与」の旧字「與」について、いろいろと見てきました。
この漢字は、画数が13画、14画と辞書やサイトによってわかれている珍しい漢字です。
今回は、その謎について少し追いかけました。
また、ちょっと難しい字ですが、人名漢字として登録されており名付けにも使われているので、そのポイントについても触れました。
最後に、いつもやっているように「與」の出し方をパソコン・スマホ・テプラでも確認しました!
参考資料
・上級漢和辞典 漢字源
・「与」の旧字「與」は総画数14だと辞典に出ていますが、どうしても1画少なく数えてしまいます。
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません