寿の旧字体とは?その字形から意味・各機器での出し方まで総特集
「寿」という漢字は、長寿やお祝いの場面でよく使われるおめでたい言葉ですが、その旧字体があることをご存じでしょうか?
「寿」の旧字体は、歴史的な書物や伝統工芸、特定の儀式などで今も使われることがあり、その字形には独特の美しさや深い意味が込められています。
本記事では、「寿」の旧字体について詳しく掘り下げ、その字形から由来などを詳しく見ていき、パソコンやスマートフォンなどの各種機器で旧字体を入力する方法についても紹介します。
日常ではあまり目にする機会が少ないかもしれませんが、知っておくことでより深く日本の漢字文化を理解できるでしょう。
「寿」の旧字体を正しく理解し、現在使われている字体の意を知っておきましょう。
「寿」の旧字「壽」
「寿」には、旧字の「壽」があります。

この旧字「壽」の基本情報です。
画数 | 14画 |
音読み | ジュ |
訓読み | いのちなが・し、とし(日本語のみ)ことぶき、ことほ・ぐ |
主な意味 | ①いのちなが・し。長命である。長生きしている ②とし。長生き ③年長の人に対する長命の祝い ④老人や長上におくる祝物 (日本語のみ)①ことぶき。めでたいこと。祝い ②こと・ほぐ。祝いのことばを述べる |
①では「上寿(壽)」、②では「長寿(壽)」、③では「寿(壽)辰」なんて言葉があります。
寿は7画、壽は既に述べたように14画の漢字です。
その書き順を見てください。

旧字の「壽」は実に覚えにくい漢字ですね。
この漢字、次のようなの覚え方があるんです。
「さむらい(士)のフエは一インチ(吋)」!これなら覚えられますね!

新字体の「寿」は、草書体の省略形です。
「壽(寿)」の語源
「壽(寿)」は「(空間的に)細長く延びる」というイメージを持っています。
それが。時間的なイメージにも転用され「命が長く延びる」意になったんです。
「壽」の字体は何度か変わっているんですが、「𦓆」というモノがありました。
「𦓆」は、「耂(老人)」+「(長く延びる)」
「(長く延びる)」という漢字は、声(言葉)を長く伸ばして祈る情景で、祈禱の「禱」の原字です。
その他にも、「耂(老人)」+「」の字体があり、こちらは「疇」の原字で、畦道がうねうねと長く曲がりくねった図形でした。
どちらも、「長く延びる」というイメージがあったのです。
このことから、「壽」は「命が長い」という意味で使われるようになりました。
※「カテゴリ:漢字の旧字」に収録した漢字の中で、旧字が存在するのは「来」「会」「真」「恵」「広」です。
- 実の旧字とは?その構成の意味と打ち方・新字のベースまで総特集
- 来の旧字とは?意味から異体字・その打ち方まで全部まとめて総特集
- 会の旧字とは?歴史や意味・異体字の打ち方まで全部まとめて総特集
- 「真」の旧字のパソコン・スマホでの打ち方は?異体字も合わせて確認
- 恵に旧字体はある!その表記の歴史からパソコン等への打ち方を総特集
- 広の旧字「廣」を知ってる?まだれに黄と書く表記の打ち方をご紹介
上記「実」「来」「会」「真」「恵」「広」が載っている「新・旧字対照表|立命館大学」には、「寿」もありました。
さて、次の章では、旧字「實」を色々な機器(パソコン・スマホ及びTEPRA)での打ち方を紹介します。
寿の異体字
「寿」には、旧字「壽」の他に下記の異体字があります。
夀 𦓆
左の異体字は下に、インチ(吋)があって旧字に似ている文字です。
右の異体字は、成立ちで説明しましたが、全く異なる字体です。
これらの漢字は、共に環境依存文字ですので、機器によっては見えない方がいる可能性があります。
環境依存文字ですから、当然、名付けには使えません。
この異体字は、Unicodeを使って入力できます。
- 夀:5900
- 𦓆:264C6
パソコンでの「壽」の打ち方
文字変換とUnicodeによる打ち方の2つをご紹介します。
文字変換による「壽」の打ち方
それでは、文字変換による「壽」の打ち方を紹介します。
変換をかける文字は「ことぶき」です。
手順は次の通りです。
- 「ことぶき」入力
- 日本語で「ことぶき」と入力します。

- 変換候補から「壽」を探す
- 変換キーを数度押すと変換候補が現れます。
「壽」がありました。
見つけたら、クリックしましょう。

- 「壽」入力完了
- 「壽」が入力されました。

簡単に打てました。
「ことぶき」の他に「じゅ」変換でも出すことができます。
Unicodeによる「壽」の打ち方
Unicode4桁を打ち込んで変換をかける打ち方です。
いつも言っているんですが、手軽ですなんだけど、Unicodeを覚えるのが面倒です。
この漢字の場合、文字変換で手軽に打てるので、Unicodeは覚える必要はないと思います。
- 「58FD」入力
- 日本語で「58FD」と入力します。
ご覧のように「58fd」となっても気にしないでください。
F5キーを押します。

- 変換候補から「壽」を探す
- 変換候補が現れますので、目指す「壽」を探します。
見つけたら、クリックしましょう。

- 「壽」入力完了
- 「壽」が入力されました。

日本語でUnicodeを入力してF5キーを押すだけです。
いつも言っている注意点は「日本語で」という部分!
これだけで、望む漢字を入力できます。
上述したように、Unicodeを覚えるていられませんよね!
スマホでの「壽」の打ち方
スマホででも「壽」を出すのに、文字変換による打ち方が出来ます。
変換をかける文字は、パソコンと同じく「ことぶき」ですね。
- 「ことぶき」入力
- 日本語で「ことぶき」と入力します。

- 旧字発見
- 変換候補を探すまでもなく、旧字「壽」を発見タップします。

- 「壽」入力完了
- 「壽」が入力されました。

今回は、変換候補を探すまでもなく「壽」が見つかったので簡単でした。
もし、「壽」がない場合は、「ⅴ」をタップして変換候補を出して見つけましょう。
テプラでの「壽」の打ち方
ここでは、テプラ(TEPRA PRO SR300)における「壽」の打ち方を紹介します。
次の2つの打ち方があります。
- 文字変換による打ち方
- JISコードを指定する打ち方
これらの打ち方を手順に従って、ご紹介します。
文字変換による打ち方
パソコン・スマホと同じく、文字変換によって「壽」を表示する方法です。
入力する文字は、パソコン、スマホと同じ「ことぶき」です。
- 「ことぶき」入力
- 日本語で「ことぶき」と入力します。

- 「変換」ボタン押下
- 「変換」ボタンを押して候補を表示します。

- 「壽」で「選択」ボタン押下
- 今回は「寿」の下に「壽」が表れましたので、「選択」ボタンを押すことで表示できます。

- 「壽」入力完了
- 「壽」が入力できました。

「壽」は、すぐに出てきたので楽ちんでしたね。
JISコードを指定する打ち方
次は、JISコードを指定する打ち方です。
パソコンでのUnicodeを指定する打ち方と似ていますが、テプラ独自のコードを使った打ち方です。
- 「シフト」+「あ・ア」キー押下
- 「シフト」を押しながら、「あ・ア」キーを押します。
コード入力画面が表示されます。

- 「5272」入力
- コードに「5272」を入力します。
SR300の取扱説明書から「實」を検索します。もし、見つからない場合、そのTEPRAでコードから「壽」を入力することは出来ません!

- 「壽」押下
- 「壽」が候補に表れますので、「選択」ボタンを押します。

- 「壽」入力完了
- 「壽」が入力できました。

コードから入力するのは、文字変換で出せない場合の、いわゆる最終手段でしょう。
テプラで難しい漢字を入力する方法を紹介した記事があります。
最後に
本記事では、「寿」の旧字体である「壽」について、その字形や意味、成立ちについて紹介しました。
「壽」は長寿や祝い事に関する深い意味を持ち、古くから書物や伝統文化の中で使われてきました。
また、パソコンやスマートフォン及びTEPRAの各機器で「壽」を入力する方法についても紹介しましたが、全ての機器で「ことぶき」の文字変換が使えましたね。
「壽」という漢字を知ることで、日本の漢字文化への理解が深まり、場面に応じた正しい使い方ができるようになります。
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。
参考資料
・上級漢和辞典 漢字源
・旧字源 旧漢字でわかる漢字の成り立ち
・壽|漢字辞典
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません