夜の帳とは?意味・読み方・語源から「夜の帳が下りる」の使い方まで徹底解説
「夜の帳が下りる」という表現を小説などで見かけたことはありませんか。
何となく「夜になった」という意味だと分かっていても、「帳とは何のこと?」「なぜ夜を帳にたとえるの?」と疑問に思う人も多いでしょう。
「夜の帳」は、美しい情景を表す日本語の一つです。
その背景には、昔の人々の暮らしや言葉の成り立ちが深く関わっています。
この記事では、「夜の帳」の意味や語源、「夜の帳が下りる」が使われる時間帯、黄昏時との違いについてわかりやすく解説します。
夜の帳とは?
この章では、「夜の帳」の読み方や意味について解説します。
「夜の帳」の読み方
「夜の帳」は、「よるのとばり」と読みます。
「帳」を「ちょう」と読むことはあっても、「とばり」と読む機会は日常ではあまりありません。
そのため、読み方に迷いやすい言葉の一つです。
「夜の帳」の意味
「夜の帳」とは、夜の闇を、周囲を覆う布のようにたとえた表現です。
コトバンクの精選版 日本国語大辞典では、「夜の帳」を「夜の闇のこと。夜の幕」と説明しています。
つまり、「夜の帳」は単なる夜ではなく、闇が辺りを包み、景色を見えにくくしていく様子を表した言葉です。
なぜ「帳」という漢字を使うの?
この章では、「帳」がなぜ夜を表す言葉として使われるようになったのかを見ていきましょう。
帳とは何を意味する言葉?
現在、「帳」という漢字からは帳簿や手帳を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、古くは「帳(とばり)」といい、布を垂らして仕切りや目隠しにするものを意味していました。
新明解語源辞典によると、「とばり」は古くは「とはり」といい、「戸張り」の意味とされています。
「戸張り」から生まれた表現
「戸張り」とは、戸の代わりに張るものという意味です。
戸の代わりに布を垂らすことで、外から見えないようにする役割を持っていました。
そのため、「帳」は視界を遮るもの、隔てて見えなくするものとしても使われるようになりました。
夜の闇が辺りを覆い、遠くが見えなくなる様子は、まるで垂れた布が視界を遮るようにも感じられます。
そこから、夜の闇を「帳」にたとえ、「夜の帳」という表現が生まれたと考えられます。
夜の帳が下りるとは?
この章では、「夜の帳が下りる」という慣用的な表現について解説します。
夜の帳が下りるの意味
「夜の帳が下りる」とは、夜になり、辺りが暗くなることを意味します。
広辞苑では、夜の闇が視界を遮る様子を、垂絹が下りて向こうが見えなくなる様子にたとえた表現として説明されています。
コトバンクのデジタル大辞泉でも、「夜になる。夜になって暗くなるさまを、垂れ絹が下りたことにたとえたもの」と説明されています。
単に「夜になった」と言うよりも、闇がゆっくりと広がり、景色を包み込んでいく情景を美しく表した言い回しです。
夜の帳が下りるのはいつ頃?
「夜の帳が下りる」に厳密な時刻の決まりはありません。
一般的には、日が沈み、空が暗くなり始める頃を指します。
例えば、東京の日没時刻の目安を見てみましょう。
| 時期 | 東京の日没時刻の目安 |
|---|---|
| 春分頃 | 18時頃 |
| 夏至頃 | 19時頃 |
| 秋分頃 | 17時30分頃 |
| 冬至頃 | 16時30分頃 |
このように、季節によって日没時刻は大きく変わります。
そのため、「夜の帳が下りる」が指す時刻も一定ではなく、日が沈み、夜の闇が広がり始める頃と考えるのが自然でしょう。
「夜の帳」と「黄昏時」の違い
「夜の帳」と「黄昏時」は、どちらも昼から夜へ移り変わる場面で使われるため、似た言葉と思われがちです。
しかし、実際には表しているものが少し異なります。
まずは違いを表で見てみましょう。
| 言葉 | 意味 | 時間帯の目安 |
|---|---|---|
| 黄昏時 | 日が沈む前後の薄暗い時間帯 | 日没前後 |
| 夜の帳が下りる | 夜の闇が辺りを包み始める様子 | 日没後、暗くなり始める頃 |
表を見ると、「黄昏時」は夕方から夜へ移り変わる時間帯そのものを表す言葉であるのに対し、「夜の帳が下りる」は夜の闇が広がっていく情景を表す比喩的な表現であることが分かります。
両者は時間的に重なることもありますが、黄昏時がまだ夕暮れの余韻を残しているのに対し、「夜の帳が下りる」は本格的な夜の始まりを感じさせる表現と言えるでしょう。
黄昏時について詳しく知りたい方は、「黄昏時とは?意味・読み方・語源と『怖い』と言われる理由を解説」もあわせてご覧ください。
「夜の帳」はどんな文章で使われる?
この章では、「夜の帳」がどのような場面で使われるのかを見ていきましょう。
「夜の帳」は、小説や詩などで情景を描くときに使われます。
例えば、小山清の『遁走』には「夜の帳が下りていた」という表現が見られます。
また、小泉八雲の『夏の日の夢』の翻訳では、「夜のとばりが降りてくる」という表現が使われています。
このように、「夜の帳」という言葉は、単に夜になったことを伝えるだけでなく、闇が静かに広がっていく様子や、少し幻想的な雰囲気を表現するために用いられています。
「夜になった」と書けば、事実をそのまま伝える文章になります。
一方、「夜の帳が下りた」と書くと、夜の闇がゆっくりと辺りを包み込んでいく情景が目に浮かびます。
この情景の豊かさが、「夜の帳」という表現の大きな魅力です。
近年では、漫画・アニメ『SPY×FAMILY』の主人公ロイド・フォージャーに恋する工作員のコードネームが「夜帳(とばり)」となっているので、ご確認ください。
時間を表す日本語の中での位置づけ
この章では、「夜の帳」が時間を表す日本語の中でどこに位置するのかを整理します。
「夜の帳」は夜の始まりを表す言葉
時間を表す日本語を大まかに並べると、次のようになります。
| 時間を表す日本語 | 主な表現 |
|---|---|
| 夕方 | 日が傾き始める頃 |
| 黄昏時 | 日没前後 |
| 夜の帳が下りる | 夜の闇が広がり始める頃 |
| 宵 | 日没後から夜の初め頃 |
| 夜更け | 夜が深まった頃 |
| 深夜 | 真夜中の時間帯 |
このように、「夜の帳」は夜の始まりを情景豊かに表現する言葉です。
「何時から何時まで」と厳密に決まっている言葉ではありませんが、夕方から夜へ移り変わる場面を表す日本語として、美しい響きを持っています。
時間を表す日本語のうち、「宵」「夜更け」について詳しく知りたい方は、次の記事をどうぞ。
⇒ 宵とは?意味・時間帯・宵の口との違いをわかりやすく解説
⇒ 夜更けとは?意味・時間帯・深夜との違いをわかりやすく解説
時間を表す日本語をまとめて知りたい方は、次の記事をご覧ください。
⇒ 時間を表す日本語一覧|意味・時間帯・違いをまとめて解説
まとめ
「夜の帳」は、「よるのとばり」と読み、夜の闇が辺りを包み込む様子を表した言葉です。
「帳」とは、もともと「戸張り」と呼ばれた目隠しの布に関係する言葉であり、そこから夜の闇が視界を遮る様子をたとえる表現として使われるようになりました。
また、「夜の帳が下りる」に厳密な時刻の決まりはありませんが、一般的には日が沈み、夜の闇が広がり始める頃を指します。
黄昏時や宵とあわせて意味を知ることで、日本語が持つ豊かな情景表現をより深く味わえるようになるでしょう。
参考資料
新明解語源辞典(三省堂)
広辞苑 岩波書店
夜の帳|コトバンク
夜の帳が下りる|コトバンク
※時間を表す日本語は、思いのほかたくさん存在します。








60爺


ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません