草冠に鬼と書いて蒐!意味・読み方から名前での使われ方まで総特集
モノを集めるという漢字表記は普通「収集」ですよね。
何を見ていた時か忘れたんですが、「シュウシュウ」に対して「蒐集」という表記があったことを記憶しています。
鬼のように集めるのかななんて、その時は思っていましたが、この草冠に鬼と書く蒐、漢字のシリーズを書いている60爺は、絶対にこの表記を見過ごすわけにはまいりませんな~。

余り、馴染みのある漢字ではありませんが、逆に調べ甲斐がありますね!
今回の記事では、草冠に鬼の「蒐」について、意味・読み方から名前での使い方まで総特集したいと思います。
是非、ご一緒に内容をご覧になってほしいと思います。
草冠に鬼といえば蒐!漢字の読み方や全体像をまずはチェック
最初に、蒐の意味と読み方を明確にしましょう。
蒐の読み方と意味
蒐
画数 :13画
音訓:シュウ あかね あつ・める かく・す さが・す かり(名付)ま
意味
①あかね。赤色の染料用、また薬用。アカネ。茜(セン)
②あつ・める。寄せあつめる。
③かく・す。
④さが・す。さがし求める。
⑤かり。春の狩猟。
日本語だけの意味・用法
(名付)あつむ
参考:上級漢和辞典 漢字源 学研
音読みは「シュウ」だけですが、訓読みは「あかね」「あつ・める」「かく・す」「さが・す」「かり」の5種類です。
意味も訓読みの数だけ存在します。
- あかね。草の名。アカネ科アカネ属のつる性多年草。
- あつ・める。寄せあつめる。
- かく・す。
- さが・す。さがし求める。
- かり。
「蒐」は、草の名前「アカネ」を指していたのですが、②③④の三つは「あつ」める、「かく」す、「さが」すという動詞です。
最後には、「狩り」の意味まで持っている不思議な漢字です。
冒頭で述べた「蒐集(シュウシュウ)」が②の言葉として存在します。
③の意味では、「蒐匿(シュウトク)」という言葉がありますね。
④の同義語は捜索の「捜」です。
日本語だけの意味として、名付で「あつむ」を使用できます。
ただ、「鬼」が入る名前ってちょっとイヤかも……。
次は、蒐の書き順を見てみましょう。

この漢字の書き順は、それほど難しくありません。
草冠を書いてから鬼を書きます。
鬼の書き順については、上記書き順を見てを間違えないように確認しましょう。
もっと詳しく知ろう!蒐の漢字としての由来や成り立ち
蒐の漢字としての由来と成り立ちを知っておきましょう。
語源
まず語源ですが、古代中国の発音が、先程意味の中にあった「捜」と同源なんです。
このイメージは「細い」「細長い」なんです。
そこから、茎が細長く伸びて、細いひげ根が多数出る植物アカネを「蒐」と命名したのです。
字源
次に字源です。
蒐=「鬼(亡霊)」+「艸(くさ)」(会意※1)
会意文字とは、既成の象形文字または指事文字を組み合わせること。会意によって作られた漢字を会意文字(かいいもじ)という。
「蒐」は「亡霊の草」の意味です。
アカネって、「根が赤い、即ち、人の血の色と同じであるので、屍者や亡霊の血が化けた」という、いわゆる迷信に近い言い伝えから生まれた文字なんです。
※草冠に〇で構成される漢字の記事の中で紹介しています。
蒐ってどんな植物?
蒐は、どんな植物なのでしょうか。
ここでは、上述したアカネの花言葉と生態を見ていきましょう。
花言葉
アカネの花言葉を以下に示します。
- 私を思って
- 媚び
- 誹謗
- 傷
- 不信
花言葉って、いいものしかないと思っていたんですが、アカネに限っては「???」な花言葉が多いですな。
「私を思って」以外は、ちょっとネガティブなモノばかりではないですか?
それでもって、これらの花言葉の由来は定かではないんですよ!
ただ、「傷」は、古くから漢方薬として利用されていたことに関係があるのかと思います。
形態・生態
アカネの由来は、根を乾燥すると赤黄色から橙色となり、赤い根であることからと言われています。
分布は中国、朝鮮半島、台湾、日本、東南アジアです。
日本では本州、四国、九州に分布し、山地や野原、路傍、林の縁などで、普通に見かけます。
アカネは、古くから「茜染(あかねぞめ)」という染料として、よく知られています。
アカネは「赤根」の意で、アカネで染色した色のことを、日本古来の色で「茜色」と呼びます。
別に「緋色」という日本古来の色がありますが、こちらも、アカネを主材料とした茜染の一種です。
⇒ 糸へんに非で緋!読み方から意味・名前に使えるかどうか総特集
薬用としては、「茜草根(せんそうこん)」という止血、解熱、咳止め等に薬効作用がある生薬があります。
以上、蒐の漢字の読み方と意味、由来や成り立ち、そして、アカネとはどんな植物なのかを見てきました。
次の章では名前に使う場合のポイントを述べています。
名前に使われる際のポイントは
「蒐」は人名漢字に入っています。
しかし、さすがに、「鬼」が入っている「蒐」を名前にしようと思う方は少ないのでしょう。
サイトを見ても、「蒐」のつく名前はあるにはあるんですが、自分の子供に付けるには「???」が出てしまいますね。
そこで、名前は断念して「蒐」の付く苗字を見てみましょう。
まずは、「蒐」一文字の名字があるか確認します。
ところが、「蒐」一文字の苗字は日本には存在しないことがわかりました。
それでは、蒐に別の漢字を付けた名字を捜してみましょう。
色々見てみたんですが、「蒐場」しか見つかりませんでした!
以前、日へんに華の「曄」の名字を調べた際、「曄道(てるみち)」以外に名字が見つからない状況と同じです。
名字由来netで検索した結果です。
【名字】蒐場
【読み】ぬたば、きば
【全国順位】 23,933位
【全国人数】 およそ160人
参考資料 名字由来net
こちらも珍しい苗字で、全国人数は、たったの160人でした。
ただ、「曄」の記事で見た「曄道(てるみち)」は順位が5万台、全国人数およそ40人にはかないませんでした。
この「曄道(てるみち)」が出ている記事はこちらです。
それでは、蒐場さんが都道府県別にどれだかいるか見てみましょう。
都道府県 | 人数 |
---|---|
兵庫県 | およそ110人 |
大阪府 | およそ20人 |
熊本県 | およそ10人 |
神奈川県 | およそ10人 |
埼玉県 | およそ10人 |
参考資料 名字由来net
兵庫県に110人も!その他4府県で160人になっちゃいました。
つーことは、蒐場さんは、他の都道府県にはいないということになりますな。ホオオオー!
次の章では、「蒐」を使用した熟語を並べてみますね。
「蒐」の入った熟語
「蒐」って、普段、出会うことが少ない漢字だと思いますが、どんな熟語があるのでしょうか?辞書から引いてきました。
熟語 | 読み | 意味 |
---|---|---|
蒐荷 | シュウカ | =集荷。各地からの産物の荷が市場などに集まること。荷を集めること。 |
蒐索 | シュウサク | さがしてあつめる。 |
蒐狩 | シュウシュ | かり |
蒐集 | シュウシュウ | =収集。①あちこちから取り集めること。 ②ある品物や資料などを、いろいろと集めること。また、その集めたもの。 |
蒐畋蒐田 | シュウデン | かり。また、かりをする。 |
蒐猟 | シュウリョウ | ①春のかり ②さがしてあつめる。 |
参考:広辞苑、漢字源
先頭の蒐荷(シュウカ)は、普通、集荷と書きますよね。
めったに、「蒐」は用いないです。
漢字源には、蒐荷を集荷に書き換えることがあると言っていますが…。
蒐集(シュウシュウ)は何かで見た記憶があります。
これも、漢字源では「収集」と「収」に書き換えることがあると言っています。
この「蒐」って漢字ですが、鬼のように集めるたり、捜したり、隠したりすることから、この漢字になったんですかね?

他の熟語も、ほとんど見たことがないモノばかりですなア~!
最後に
草冠に鬼で蒐について見てきました。
読み方は、音読み「シュウ」がひとつでしたが、意外や意外、訓読みがたくさんありましたね。
草の名前を指していたかと思いきや、「あつ」めたり、「かく」したり、「さが」したりと動詞が三つもありました!
さらには、「狩り」の意味まで持っている漢字でした。
字源も、根が赤いことから、亡霊の血と結びつく俗信から来ているんだとわかりました。驚き!
名付けのポイントを見ようとしたら、さすがに鬼の付く漢字は嫌なのか、ほとんど見つからなかったんで、名字を見に行きましたが、こちらも、ひとつしか見つからず焦りました。
まだまだ、草冠の漢字はありますので、順に調べていっちゃおうと思ってまっせ。
※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました
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