草冠に時の漢字は「蒔」!読み方・意味と名前に良くないといわれる理由
草冠に「時」と書く漢字を見て、「何と読むのだろう」と迷ったことはないでしょうか。
この漢字は「蒔」で、種をまくという意味で使われる「種を蒔く」の「蒔」です。
「蒔」は音読みで「シ・ジ」、訓読みで「うえる・まく」と読み、赤ちゃんの名前にも使えます。
この記事では、「蒔」の読み方や意味、漢字の成り立ち、「蒔く」と「播く」の違い、名前に使う場合の意味や注意点まで分かりやすく紹介します。
草冠に時の漢字「蒔」の読み方と意味
草冠に「時」と書く漢字は「蒔」です。
まずは、「蒔」の基本情報を表で確認しておきましょう。
蒔
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部首 | 艹(くさかんむり) |
| 画数 | 13画 |
| 音読み | シ・ジ |
| 訓読み | う(える)・ま(く) |
| 意味 | 苗を植え替える。種を地面にまく。粉末などを散らす |
| 漢字の種類 | 人名用漢字 |
「蒔」は、植物を育てるために苗を植え替えたり、種を地面にまいたりすることを表す漢字です。
ここからは、読み方と意味を詳しく見ていきます。
「蒔」の読み方
「蒔」の読み方は、音読みが「シ・ジ」、訓読みが「う(える)・ま(く)」です。
「蒔く」は「種を蒔く(たねをまく)」「花の種を蒔く(はなのたねをまく)」のように読みます。
ただし、「まく」は日本で生まれた読み方と用法です。
漢字本来の訓読みである「うえる」は、育てた苗を別の場所へ移して植えることを表します。
現在の日本では、「うえる」と読む機会は少なく、「まく」の読み方が広く知られています。
名前では「まき」と読ませることがありますが、名前での使い方については後の章で詳しく紹介します。
「蒔」の意味
「蒔」には、苗を移して植える、種を地面にまく、粉末などを散らすという意味があります。
漢字本来の意味は、育てた苗を田畑に移して植えることです。
日本では、草木を育てるために種を地面へ散らすことも「蒔く」と書くようになりました。
そこから、金粉や銀粉などを漆の上に散らして模様を描く「蒔絵(まきえ)」にも「蒔」が使われています。
また、「種を蒔く」は、植物の種をまく場合だけでなく、「成功の種を蒔く」「争いの種を蒔く」のように、将来につながる原因をつくるという比喩的な意味でも使われます。
なお、「蒔蘿(ジラ)」と書いた場合は、香辛料や薬用に使われるセリ科の植物であるイノンドを表します。

ただし、「蒔」の一字だけでイノンドを表すわけではありません。
「蒔」の書き順
「蒔」は、全部で13画の漢字です。

最初に3画で草冠を書き、その下の「時」を左から右へ書きます。
「時」は、左側の「日」を書いてから、右側の「寺」を「土」「寸」の順に書きましょう。
全体としては、「艹」→「日」→「土」→「寸」の順です。
草冠を横に広げすぎず、下の「時」をやや縦長に書くと、全体のバランスを取りやすくなります。
「蒔」の由来と漢字の成り立ち
「蒔」は、意味を表す「艹」と、音を表す「時」を組み合わせた形声文字です。
「艹」は草や植物に関係することを表し、「時」は「ジ」という音を表すとともに、まっすぐ進むイメージを持っています。
これらを組み合わせた「蒔」は、育てた苗を田に移し、まっすぐ立てて植える様子を表す漢字となりました。
そのため、「蒔」の本来の意味は、種を地面にまくことではなく、苗を移して植えることです。
日本では意味が広がり、草木を育てるために種を地面へ散らすことも「蒔く」と書くようになりました。
なお、「時」が使われているからといって、「適切な時期に種をまく」という意味を組み合わせた漢字ではありません。
「時」は、主に「ジ」という音を表す役割を担っています。
※草冠に〇で構成される漢字の記事の中で紹介しています。
「蒔」のつく言葉
「蒔」は、「種を蒔く」のほか、日本の伝統工芸である「蒔絵」に関係する言葉にも使われています。
代表的な言葉を見てみましょう。
| 言葉 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 種蒔き | たねまき | 草木の種を田畑や土にまくこと |
| 蒔絵 | まきえ | 漆で描いた模様の上に金粉や銀粉などを蒔きつける日本の伝統工芸 |
| 蒔絵師 | まきえし | 蒔絵を制作する職人 |
| 蒔絵筆 | まきえふで | 蒔絵の細かな模様を描くために使う筆 |
| 蒔石 | まきいし | 庭などに、蒔き散らしたように所々へ配置した石 |
この中で最もよく知られている言葉は「蒔絵」です。
「蒔絵」には、漆が乾かないうちに金粉や銀粉などを蒔いて模様を表すことから、「蒔」の字が使われています。
なお、植物の種をまく場合は「種を蒔く」と「種を播く」のどちらも使われます。
「蒔く」は植物を育てるために種をまくことを表す場合に使われるのに対し、「播く」は種などを広い範囲に散らすことに重点を置いた表記です。
ただし、日常では「種をまく」と平仮名で書くことも多く、厳密に使い分けられているわけではありません。
「蒔」は名前に使える?良くないといわれる理由
「蒔」は人名用漢字に含まれているため、赤ちゃんの名前に使える漢字です。
名前では、一字で「蒔(まき)」と読ませたり、ほかの漢字と組み合わせたりして使われます。
「まき」は「蒔く」から生まれた自然な読み方ですが、組み合わせる漢字によっては初見で読んでもらえない可能性があります。
「蒔」を名前に込める意味や願い
「蒔」には、種をまく、苗を植えて育てるという意味があります。
種をまいて大切に育てると、やがて芽が出て花が咲き、実を結びます。
そのため、「健やかに成長してほしい」「努力を積み重ねて実りのある人生を歩んでほしい」「将来の可能性を大きく広げてほしい」といった願いを込められる漢字です。
また、「蒔絵」に使われる漢字であることから、日本の伝統美や華やかさを感じさせる一面もあります。
成長や実りを中心に、伝統的な美しさも連想できる、前向きな意味を持った漢字といえるでしょう。
「蒔」が名前に良くないといわれる理由
「蒔」が名前に良くないといわれるのは、漢字そのものに悪い意味があるからではありません。
「種をばらまく」という動作を連想させることや、日常では「種を蒔く」「蒔絵」以外で目にする機会が少ないことが理由として考えられます。
また、「蒔」を「まき」以外の読み方で名前に使うと、正しく読んでもらいにくい点にも注意が必要です。
しかし、「蒔」には、植物を育てる、未来につながる種をまく、努力が実を結ぶといった明るいイメージがあります。
人名用漢字として認められているため、「名前に良くない漢字」と判断する根拠はありません。
漢字の意味と読み方を理解したうえで使えば、成長や実りへの願いを込められる名前になります。
「蒔」のつく苗字
「蒔」は名前だけでなく、苗字にも使われています。
代表的な苗字と読み方を見てみましょう。
| 苗字 | 読み方 |
|---|---|
| 蒔田 | まきた・まきだ・まいた・ときたなど |
| 蒔苗 | まかなえ・まきなえ・まかないなど |
| 蒔原 | まきはら |
| 大蒔 | おおまき |
| 二斗蒔 | にとまき |
なかでも比較的よく見られるのが「蒔田」と「蒔苗」です。
「蒔田」は「まきた」「まきだ」だけでなく、横浜市営地下鉄の蒔田駅のように「まいた」と読む場合もあります。
「蒔苗」も「まかなえ」「まきなえ」など複数の読み方を持つ苗字です。
このように、「蒔」のつく苗字は表記だけでは読み方を判断しにくいため、本人に確認するのが確実です。
まとめ
草冠に「時」と書く漢字は「蒔」です。
「蒔」は音読みで「シ・ジ」、訓読みで「うえる・まく」と読み、苗を移して植えることや、種を地面にまくことを表します。
意味を表す「艹」と音を表す「時」を組み合わせた形声文字で、本来は苗を田に移してまっすぐ植える様子を表した漢字です。
日本では意味が広がり、「種を蒔く」のように、種を地面へ散らす場合にも使われるようになりました。
「蒔絵」「蒔絵師」など、日本の伝統工芸に関係する言葉にも使われています。
また、「蒔」は人名用漢字なので、赤ちゃんの名前に使用できます。
「名前に良くない」と判断する根拠はなく、健やかな成長や努力が実を結ぶ人生への願いを込められる漢字です。
ただし、名前や苗字では複数の読み方が考考えられるため、読みやすさにも配慮して使うとよいでしょう。
参考資料
上級漢和辞典 漢字源 改訂第六版(学研)
※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました










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