草冠に未と書く漢字は存在しない!だけど茉・茱・某などはあるよ
先日「木へんに酒」という漢字はあるのか見てみました。
というのも、「木へんに酒」という検索が散見されたからでした。
木へんに酒という漢字はなかったのですが、栖・梄・楢という「酒の旁」に似た漢字を紹介しました。
なかなか面白かったので、草冠で同じような検索例はないか探してみたところ、「草冠に未」という検索例を見つけました。草冠に「未来」の「未」ですね。
この記事でも、「木へんに酒」でやったように、「草冠に未」という漢字があるかを確認し、何故、こういう質問が出ているのかの背景を明らかに出来ればと思います。
それでは、その結果をご一緒にどうぞ。
草冠に未と書く漢字はあるのか?
まず、最初に「草冠に未」と書く漢字はあるのか見ておきます。
草冠に未と書く漢字はあるのか?
草冠に未と書く漢字は存在しない!
ザっと漢和辞典を見てみたんですが、草冠に未と書く漢字はありませんね!
そうなんです。
草冠に未と書く「未]+「艸」は見つかりませんでした!
草冠に未と検索する人は、それなりにいらっしゃるようなんですが、どうやら、草冠に未を探しているわけではないと思われます。
それでは何を探しているのか?
それは、「草冠」に『「未」に近い何か』を探していることになるのではないでしょうか。
それらの漢字は何なのか、次の3つをチョイスしました。
- 草冠に末
- 草冠に朱
- 草冠に夫
- 草冠に呆れる
これらの漢字について紹介します。
草冠に末
始めに紹介するのは「草冠に末」です。
つまり、何らかの原因で「末」が「未」になってしまったと思われます。
この二つの漢字は非常に似てますからね。
横棒の長さを間違えると、「末」は「未」になってしまいますから。
それでは、「草冠に末」の漢字の情報をお知らせしますね。
漢字 | 茉 |
画数 | 8画 |
音読み | マツ マチ |
訓読み | - |
意味 | 「茉莉」とは、草の名。 アラビアジャスミン。 マツリカ(茉莉花) |
名付け | ま |

この漢字は「莉」と組み合わせて「茉莉」となり、アラビアジャスミン、マツリカ(茉莉花)を指します。
また、人名漢字としても人気で、女の子の名前にピッタリの漢字だと思います。
この漢字については、既に記事にしております。
アラビアジャスミンの花言葉や、名付けのポイントなども解説していますので、是非、ご覧ください。
⇒ 草冠に末と書いて茉!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
草冠に朱
次は、「草冠に朱」です。
草冠に、「未」に「ノ」を追加した「朱」で構成された漢字です。
この漢字「朱」は「シュ」と読みます。
赤に似た「朱色」、江戸時代の貨幣の単位で一朱は一両の一六分の一などに用いられます。
こちらの漢字の基本情報です。
漢字 | 茱 |
画数 | 9画 |
音読み | シュ |
訓読み | - |
意味 | ①木の名。ミカン科ゴシュユ属の落葉低木。初夏に黄色の小花が咲く。ゴシュユ(呉茱萸) ②木の名。ミズキ科ミズキ属の落葉小高木。早春に黄色の小花が咲く。サンシュユ(山茱萸) ③木の名。ミカン科サンショウ属の落葉高木。カラスザンショウ(烏山椒) |
日本語のみ | 茱萸(ぐみ)とは、果樹の名。グミ科グミ属の総称。小さな球形の果実がつき、食用となる |

この漢字、余り馴染みがないと思います。
中国と日本では、別の植物を指しています。
解字では、「あかいくさ」なのに、3つある意味が全て「木」を指しているのが面白いですね。
むしろ、日本語だけの意味である「ぐみ」の方が、その漢字の意味に近いと言えますね。
この漢字についても、グミの花言葉や生態、名付けのポイントなども解説していますので、是非、ご覧ください。
草冠に夫
3番目は「草冠に夫」です。
「未」の下の縦棒が取れると「夫」になりますよね。
草冠に夫である「芙」の基本情報です。
漢字 | 芙 |
画数 | 7画 |
音読み | フ |
訓読み | - |
意味 | ①「芙蓉」とは、アオイ科フヨウ属の落葉低木。フヨウ。モクフヨウ(木芙蓉) ②「阿芙蓉(あふよう)」とは、阿片のこと。 |
名付け | はす |

芙は、「夫」+「艸(くさ)」で構成される漢字です。
「夫」には、「大きく広がる」と意味があることから、「芙」は大きな花が咲くハスの花を表しているんです。
この漢字についても、既に記事にしております。
⇒ 草冠に夫と書いて芙!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
草冠に呆れる
「某」という漢字があります。
この漢字、草冠に呆れるに分解出来ます(^^;ウソです!)。
草冠に呆れるという漢字は存在しません!
少々、こじつけが強いかもしれませんが、よーく見ると、そう見えないことはないと思うんですが…。
ですから、呆れるの口が潰れて一本線となり、「未」に見えたとか……。
「某」は、木へんと「甘」で構成される漢字です。
しかし、柑ではなく、上下に組み合わせた漢字なんですね。
「某」は「ぼう」と読むんですよ。
某の基本情報です。
漢字 | 某 |
画数 | 9画 |
音読み | ボウ |
訓読み | それがし なにがし(日本語だけ)くれ くれがし |
意味 | ①それがし。なにがし。人・物・時・所など、はっきりわからないときに用いることば ②それがし。自分のことを謙遜していうことば |
某は、「甘(口に含む)」+「木(き)」(会意)で構成される漢字です。
この漢字は、妊婦がその果実を口に含む気を示しています。
もともと、楳(うめ)の原字でしたが、実態の表記は楳に譲り、ウメの根源的イメージを利用して、某は「なにがし」という意味に用います。
某は「なにがし」という意味になったのは、下記のような考え方からです!
- 某と母・毎・梅は同源
- これらの語には「子を生む」というイメージの他に「暗い」「無」「無い」のイメージがある
- 「暗い」から
- 「暗い」というイメージから「見えない」「わからない」のイメージに展開
- 「分からない」というイメージから
- 「分からない」モノを指すとき、某(なにがし)という!
※草冠に〇で構成される漢字の記事の中で紹介しています。
最後に
草冠に未の漢字があるかを見てきました。
結果的には、草冠に未の漢字は存在しないと思われます。そこで、なぜ、草冠に未で検索する方がいるのか想像してきました。
結果的に、3つの漢字「草冠に末」「草冠に朱」「草冠に呆れる」を探している人たちがいるとの結論を出しました。最後の候補は、ちょっと苦し紛れだった感は免れませんが…。
漢字の検索するとき、前回の木へんに酒や、今回の草冠に未など、人はいろんな工夫をするんだなということが分かって面白かったです。
また、別の何かを見つけた時は報告したいと思います。
参考
上級漢和辞典 漢字源 学研
※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました
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