草冠に無の漢字は「蕪」!読み方・意味・由来を解説
草冠に「無」と書く漢字は「蕪」です。
「草冠に無し」「草冠に無い」と表現されることもありますが、いずれも「蕪」を指しています。
「蕪」は野菜の「かぶ」を表す漢字として身近ですが、「あれる」「雑草が生い茂る」といった意味も持っています。
私がこの漢字を意識したきっかけは、俳人・与謝蕪村の名前でした。
今回は、草冠に無と書く「蕪」の読み方や意味、由来等を分かりやすく見ていきましょう。
草冠に無の漢字「蕪」の読み方と意味
草冠に「無」と書く漢字は「蕪」です。
まずは、「蕪」の基本情報を確認しておきましょう。
蕪
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部首 | 艹(くさかんむり) |
| 画数 | 15画 |
| 音読み | ブ・ム |
| 訓読み | あ(れる)・しげ(る)・みだ(れる)・かぶら |
| 日本語での読み | かぶ |
| 意味 | 雑草が生い茂って荒れる、乱れる、野菜のカブ |
| 漢字の種類 | 人名用漢字 |
それぞれの読み方と意味を、もう少し詳しく見ていきます。
「蕪」の読み方
「蕪」の読み方は、次のとおりです。
| 読み方の種類 | 読み |
|---|---|
| 音読み | ブ・ム |
| 訓読み | あ(れる)・しげ(る)・みだ(れる)・かぶら |
| 日本語での読み | かぶ |
最も身近な読み方は、野菜を表す「かぶ」です。
「かぶら」とも読み、「蕪菁」と書いて「かぶら」または「ぶせい」と読むこともあります。
一方、「蕪れる」と書いた場合は「あれる」と読みます。
日常生活で「蕪」を単独で見かけたときは、野菜の「かぶ」を指すことが多いでしょう。
「蕪」の意味
「蕪」には、主に次の意味があります。
| 意味 | 内容 |
|---|---|
| 荒れる | 雑草が生い茂り、土地が荒れる |
| 茂る | 草が辺り一面に生い茂る |
| 乱れる | 入り乱れて、まとまりがなくなる |
| カブ | アブラナ科の野菜を表す |
| 姓 | 苗字に使われる |
「蕪」の本来の意味は、雑草が生い茂って土地が荒れることです。
そこから、物事が入り乱れてまとまりがないという意味でも使われるようになりました。
野菜を表す「蕪」は「かぶ」または「かぶら」と読みます。

カブはアブラナ科の野菜で、白く丸い部分だけでなく葉も食用になります。
「すずな」とも呼ばれ、春の七草の一つとしても知られています。
「蕪」の書き順

「蕪」は15画の漢字です。
最初に草冠を書き、その下に「無」を書きます。
「無」の部分は、上部を書いた後に中央の縦画を順に書き、最後に下の4点を書きます。
「蕪」は草冠に「無」をそのまま組み合わせた字形なので、それぞれの書き順を押さえておけば、迷わず書けるでしょう。
「蕪」の由来と漢字の成り立ち
「蕪」という漢字の成り立ちと、野菜を表す「カブ」という名前の由来は異なります。
ここでは、最初に漢字の成り立ちを確認し、その後に「カブ」という呼び名の由来を見ていきましょう。
「蕪」という漢字の成り立ち
「蕪」は、草冠の「艸」と「無」を組み合わせた形声文字です。
「艸」は草や植物に関係することを表し、「無」は「ブ」「ム」という音を表しています。
「漢字源」では、「無」には、物が覆いかぶさって見えないという意味もあると説明されています。
草が一面に生い茂り、地面が見えなくなっている様子から、「蕪」は雑草が茂って土地が荒れることを表すようになりました。
その後、入り乱れてまとまりがないという意味にも使われています。
「草冠に無」と書きますが、「草が無い」という意味をそのまま組み合わせた漢字ではありません。
むしろ、雑草が辺り一面を覆うほど生い茂った状態を表しています。
野菜の「カブ」という名前の由来
野菜の「カブ」という名前の由来には、いくつかの説があります。
肥大した部分の丸い形を頭に見立て、「かぶり」と呼んだことに由来するという説や、植物の根元を表す「株」から変化したという説などです。
また、「カブラ」を短くして「カブ」と呼ぶようになったとも考えられています。
ただし、これらは日本語の「カブ」という呼び名に関する説であり、「蕪」という漢字そのものの成り立ちではありません。
漢字の「蕪」は、もともと雑草が生い茂って荒れることを表し、日本では野菜のカブを表す字としても使われるようになりました。
※草冠に〇で構成される漢字の記事の中で紹介しています。
「蕪」のつく言葉
「蕪」は、野菜のカブを表すだけでなく、土地が荒れることや、物事が乱れてまとまりがないことを表す言葉にも使われます。
主な言葉を確認してみましょう。
| 言葉 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 蕪れる | あれる | 雑草が生い茂って土地が荒れる |
| 蕪菁 | ぶせい・かぶら | アブラナ科の野菜であるカブ |
| 荒蕪 | こうぶ | 土地が荒れて雑草が生い茂ること |
| 蕪雑 | ぶざつ | 入り乱れてまとまりがないこと |
| 蕪辞 | ぶじ | 乱雑でつたない文章。自分の文章をへりくだっていう言葉 |
| 繁蕪 | はんぶ | 草などが盛んに生い茂ること |
現在では、「蕪」を使う言葉の多くは日常生活であまり見かけません。
その中では、野菜を表す「蕪」や「蕪菁」が比較的分かりやすい用例です。
「蕪れる」の読み方と意味
「蕪れる」は「あれる」と読みます。
雑草が生い茂り、田畑などが荒れた状態になることを表す言葉です。
「荒れる」と似た意味ですが、「蕪れる」には、手入れされなくなった土地に草が生い茂るという具体的な意味があります。
たとえば、耕す人がいなくなり、雑草に覆われた田畑の様子を「田畑が蕪れる」と表せます。
「蕪」の本来の意味が分かる言葉ですが、現在は一般に「荒れる」と書くことが多く、「蕪れる」という表記を目にする機会は限られています。
「蕪」は名前に使える?
「蕪」は人名用漢字に含まれているため、子どもの名前に使える漢字です。
ただし、名前に使用できることと、名付けに向いていることは別に考える必要があります。
「蕪」には、雑草が生い茂って土地が荒れる、入り乱れてまとまりがなくなるという意味があります。
さらに、野菜のカブを強く連想させるため、名前に込めたい願いを表しにくい漢字です。
「しげる」などの読み方を生かすことはできますが、初めて見た人に正しく読んでもらうのは難しいでしょう。
法律上は名前に使えるものの、漢字の意味や読みやすさを考えると、一般的な名付けには使いにくい漢字といえます。
「蕪」のつく苗字
「蕪」は名前にはあまり使われませんが、苗字では「蕪」一文字のほか、「蕪木」「蕪田」などの形で使われています。
「蕪」のつく主な苗字と読み方を見てみましょう。
| 苗字 | 主な読み方 |
|---|---|
| 蕪 | かぶら・かぶ |
| 蕪木 | かぶらぎ・かぶらき・かぶき |
| 蕪田 | かぶた・かぶらた |
| 蕪尾 | かぶお |
| 蕪岡 | かぶおか |
| 蕪崎 | かぶさき・かぶらさき |
| 蕪尻 | かぶじり |
| 蕪内 | かぶらうち |
| 蕪野 | かぶの |
| 八蕪 | やかぶ |
一文字の「蕪」は、「かぶら」または「かぶ」と読みます。
名字由来netによると、全国順位は26,222位、人数はおよそ130人とされる珍しい苗字です。
一方、「蕪木」は「蕪」のつく苗字の中では比較的人数が多く、主に「かぶらぎ」「かぶらき」と読みます。
苗字の読み方には地域や家系による違いがあるため、同じ表記でも複数の読み方が存在します。
与謝蕪村の「蕪村」は名字ではない
「蕪村の名字は何だろう」と疑問に思う方もいるでしょう。
江戸時代の俳人・与謝蕪村は「よさぶそん」と読みますが、「蕪村」は名字ではなく俳号です。
「与謝」が名字に当たる部分で、本姓は谷口とされ、のちに与謝を名乗りました。
「蕪村」という号は、雑草に覆われた荒れた村という意味を持ち、中国の詩人・陶淵明の『帰去来辞』に由来すると考えられています。
したがって、「与謝蕪村」という名前を名字と名前に分けるなら「与謝・蕪村」となりますが、「蕪村」は本名ではなく、俳人として用いた号であることを押さえておきましょう。
まとめ
草冠に「無」と書く漢字は「蕪」です。
音読みでは「ブ」「ム」、訓読みでは「あれる」「しげる」「みだれる」「かぶら」と読み、野菜を表す場合は一般に「かぶ」と読みます。
「蕪」は、雑草が生い茂って土地が荒れることや、物事が入り乱れてまとまりがなくなることを表す漢字です。
「蕪」は人名用漢字なので名前に使えますが、「荒れる」「乱れる」という意味や野菜のカブを連想しやすいため、一般的な名付けには使いにくい漢字です。
一方、苗字では「蕪」「蕪木」「蕪田」などに使われています。
なお、与謝蕪村の「蕪村」は名字ではなく、俳人として用いた号です。
参考資料
上級漢和辞典 漢字源 改訂第六版(学研)
※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました










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