草冠に部と書いて蔀!意味・読み方から苗字での使われ方まで総特集

2023年4月22日

60爺

安倍晴明を知っていますか。平安時代に実在した陰陽師です。

安倍晴明には色々な逸話が残っています。今昔物語に、「晴明邸は、式神が使われており、人もいないのに、蔀戸がひとりでに上がったり下がったり、門が自然に閉まったりと不思議なことが多かった」とあります。

さて、この文中にある「蔀戸」にある「蔀」が、60爺にターゲットオンされました。現在、書き進めている「草冠に○○」シリーズに適合する漢字であります。

それでは、草冠に部の蔀について、意味・読み方から名前での使い方まで総特集しちゃいます。

ご一緒に内容を見に行きましょう~。

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草冠に部といえば蔀!漢字の読み方や全体像をまずはチェック

最初に、蔀の意味と読み方を明確にしましょう。

蔀の読み方と意味

画数 :14画
音訓:ホウ しとみ おおい

①しとみ。日光や風雨をさえぎるための戸。②おおい(おほひ)。ひかりをおおいさえぎるもの。③暦法の単位。「一蔀」とは、76年のこと。
日本語だけの・用法
(難読)蔀 しとべ・しもと・ひとみ

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

音読みは「ほう」です。訓読みは2つあります。「しとみ」は冒頭で出た「蔀戸(しとみど)」の読みです。もうひとつは「おおい」ですね。

意味については、広辞苑を引いてみました。

①寝殿造の邸宅における屏障具の一つ。格子組の裏に板を張り、日光をさえぎり、風雨を防ぐ戸。はじめは1枚板。多くは上下2枚に分かれ、下1枚を立て、上1枚は金物で釣り上げて採光用とし、これを釣蔀または半蔀(はじとみ)という。また、屋外にあって垣の用をなし、室内にあって衝立(ついたて)の用をなすものを立蔀(たてじとみ)という。訛って「ひとみ」とも。
②船で、飛沫・光線を防ぐための戸。
③築城で、城外から見え透く所を塞ぎおおう塀・土居など。

引用 広辞苑

広辞苑の①のは、まさに、漢字「蔀」での意味①を指していますね。下の写真は、川越にある「喜多院慈眼堂」の蔀戸です。

川越喜多院慈眼堂の蔀戸

広辞苑の意味②、③は、漢字「蔀」での意味②の「覆い」を具体的に示しています。船で、飛沫・光線を防ぐための戸や築城で、城外から見え透く所を塞ぎおおう塀・土居などを指すことがわかりました。

漢字「蔀」での意味③ですが、古代中国の暦法に四分暦(太陰太陽暦の1種)という暦があり、この中で、「一蔀」が76年を表しているんです。

それでは、次に、蔀の書き順をみてみましょう。

草冠に部を順に書けばOKです。

60爺

間違えようがありませんね。


もっと詳しく知ろう!蔀の漢字としての由来や成り立ち

まず、字源をみてみましょう。

蔀=「部(ほう)ぴたりとあてる」+「艸(くさ)」(形声※)。明かり窓にぴったりとあてがうむしろ。

引用 上級漢和辞典 漢字源 学研

形声※
漢字の六書(リクショ)の一つ。発音を表す文字と、意味を表す文字とを組み合わせて、新しい文字を作る方法。

「部」は、ある事態をそうではないと否定することから、「二つに分ける」というイメージを表す記号でした。このイメージが「二つがくっついて並ぶ」というイメージに転化したんです。

そこから、上記に示す「ぴたりとあてる」意になったんですな。

蔀のつく言葉

蔀のつく言葉を紹介します。

蔀のつく言葉読み意味
蔀板しとみいた船の蔀で常には取りはずしておくもの。
蔀金しとみがねしとみのかけがね。
蔀釣りしとみづり商家の前面上方に取り付けた化粧梁。昼間、戸を釣り上げておくためのもの。
蔀戸しとみど①蔀①の意に同じ。②商家の前にはめ込む2枚の横戸。昼は蔀梁の内方に設けた戸決とじゃくりに納めおき、夜だけおろして戸締りとする。ひとみ。
蔀橋しとみばし廊下のように屋根を設けた橋。
蔀梁しとみばり商家の柱の上部に取り付けた梁。内方に戸決とじゃくりがあって、揚戸あげどを納め置く。
蔀屋しとみや蔀で囲った仮屋。弁内侍日記「―より見渡したれば」

参考:広辞苑

60爺

蔀のつく言葉ですが、漢和辞典に載っていないので、広辞苑から拾ってきました。

現代では、蔀はあまり見ない漢字のため、ここにある言葉もなじみがないというのが現実かなあ。

次は、名前に使われる際のポイントを見にいきましょう~。

苗字に使われる際のポイントは

この蔀という漢字は、人名に使うことのできない漢字です。

そこで、蔀を持つ苗字を見ていきます。まず、「蔀」一文字の苗字を見ていきましょう!

【名字】蔀
【読み】しとみ,しどみ,ひとみ,しもと,つかさ,つぼみ,とべ,おおい
【全国順位】 5,730位
【全国人数】 およそ1,700人
参考資料 名字由来net

読みが全部で8つもあります。今まで見てきた中での最多記録でしょう。

全国で、およそ1,700人もいます。全国順位も5,730位と4桁の順位ですね。今まで見てきた苗字は人数が2桁から3桁だったので、かなり人数が多い苗字と言えそうです。

都道府県別に見てみましょう。

都道府県人数
茨城県およそ580人
大阪府およそ160人
熊本県およそ140人
東京都およそ130人
神奈川県およそ80人

参考資料 名字由来net

この5都府県で、およそ1,090人ですから全国の60%強ですね。残りの4割、およそ700人が他の道府県に散らばっている計算です。

最後に、「蔀」に他の文字を付加した苗字を見てみましょうか。

上蔀(うわしとみ)、半蔀(はじとみ)

参考資料 「蔀」を含む名前・人名・苗字(名字)

二つしか見つかりませんでした。蔀の読みは「しとみ」と「じとみ」です!

最後に

草冠に部で蔀ですが、この漢字は現在ではあまり見かけないのではないでしょうか。というのも、この蔀、あまり使われないモノだからです。

意味については、内容を読んだだけでは「ふーん」という漢字だったと思います。広辞苑の内容を引っ張ってきましたが、この説明がないとよくわかりませんでしたよね。

蔀のつく言葉も複数挙げましたが、これらの言葉をご存知だという方は少数だと感じました。

それでも、苗字の「蔀」さんは、そこそこの人数がいらっしゃいました!

今回の漢字は、現在では余り使われないモノでしたが、次回ではどうなるでしょうか。

※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

草冠の漢字

Posted by 60爺