草冠に湯の漢字は「蕩」!読み方・意味・成り立ちを解説
草冠に「湯」と書く漢字は「蕩」です。
音読みでは「トウ」、訓読みでは「うごく」「やぶる」「とろける」などと読みます。
私は小説で「放蕩息子」という言葉を見かけた際、「蕩」が草冠に「湯」と書くことに気づきました。
形から植物を表す漢字にも見えますが、「蕩」に植物の意味はありません。
この記事では、草冠に湯と書く「蕩」の読み方や意味、成り立ち、使われている言葉などを分かりやすく紹介します。
草冠に湯の漢字「蕩」の読み方と意味
草冠に「湯」と書く漢字は「蕩」です。
まずは、「蕩」の基本情報を確認しましょう。
蕩
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部首 | 艹(くさかんむり) |
| 画数 | 15画 |
| 音読み | トウ |
| 訓読み | うご(く)、やぶ(る) |
| 日本だけの読み方 | つたよ(う)、とろ(かす)、とろ(ける) |
| 意味 | 広く行き渡る、揺れ動く、洗い流す、酒色にふける、しまりがない |
| 漢字の種類 | 常用漢字・人名用漢字ではない |
ご覧のように、常用漢字・人名用漢字ではありませんので、赤ちゃんの名付けに用いることは出来ません。
「蕩」の読み方
「蕩」の代表的な読み方は、音読みの「トウ」です。
「放蕩(ほうとう)」「掃蕩(そうとう)」「蕩尽(とうじん)」などの熟語で使われます。
訓読みには「うごく」「やぶる」があり、日本だけの読み方として「つたよう」「とろかす」「とろける」があります。
「蕩」の意味
「蕩」には、主に次のような意味があります。
| 意味 | 使用例 |
|---|---|
| 広く行き渡る | 広々として遮るものがない様子を表す |
| 揺れ動く | 水などがゆらゆらと動く様子を表す |
| 洗い流す | 汚れや邪魔なものを勢いよく取り除く |
| しまりがない | 行いが乱れ、勝手気ままである様子を表す |
| 酒色にふける | 酒や遊びに夢中になり、生活が乱れる |
| 動き始める | 胎児が母体内で動き始めることを表す |
日常で比較的目にするのは、「放蕩」と「蕩ける」でしょう。
「放蕩」は、酒や遊びにふけって生活にしまりがないことを意味します。
一方、「蕩ける」は、固まっていたものが溶けて柔らかくなることのほか、心が和らぐことや、うっとりすることも表します。
このように「蕩」は、揺れ動く状態から、物事が定まらないことや、しまりのない状態までを表す漢字です。
「蕩」の書き順

「蕩」は、草冠を書いたあと、その下に「湯」を書きます。
全部で15画で、「湯」の右側にある「昜」の形を崩さないように書くことがポイントです。
草冠の横幅をやや広めに取り、その下へ「湯」を収めると、全体のバランスが整います。
「蕩」の成り立ち
「蕩」は、「艹(くさかんむり)」と「湯」を組み合わせた形声文字です。
漢字源では、「湯」は「トウ」という音を表すとともに、揺れ動く水のイメージを持っており、そこに植物を表す「艹」を加え、大水によって草木がゆらゆらと揺れ動く様子を示したのが「蕩」です。
この成り立ちから、揺れ動く、広く行き渡る、勢いよく洗い流すなどの意味が生まれました。
さらに、心や行動が定まらず、しまりがなくなることも表すようになり、「放蕩」などの言葉に使われています。
なお、「蕩」は草冠を持つ漢字ですが、特定の植物を表す漢字ではありません。
※草冠に〇で構成される漢字の記事の中で紹介しています。
「蕩」のつく言葉
「蕩]のつく代表的な言葉を見てみましょう。
| 言葉 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 放蕩 | ほうとう | 酒や遊びにふけり、生活にしまりがないこと |
| 放蕩息子 | ほうとうむすこ | 遊びにふけり、品行の定まらない息子 |
| 放蕩無頼 | ほうとうぶらい | 勝手気ままに振る舞い、素行が悪いこと |
| 淫蕩 | いんとう | 酒色にふけり、行いがみだらなこと |
| 掃蕩 | そうとう | 害となるものなどを、すっかり取り除くこと |
| 蕩尽 | とうじん | 財産などをすっかり使い果たすこと |
| 蕩ける | とろける | 固形物が溶けること。心が和らいだり、うっとりしたりすること |
| 揺蕩う | たゆたう | ゆらゆらと揺れながら漂うこと |
なかでも、日常で比較的見かけるのは「放蕩」と「蕩ける」です。
「放蕩」の読み方と意味
「放蕩」は「ほうとう」と読みます。
酒や遊びにふけり、生活や行動にしまりがないことを表す言葉です。
「放蕩生活を送る」「放蕩の限りを尽くす」のように使われます。
「放蕩息子」は、遊びにふけって素行の定まらない息子を指す表現です。
「蕩ける」と「揺蕩う」の読み方
「蕩ける」は「とろける」と読みます。
固まっていたものが溶けて柔らかくなることのほか、心が和らぐことや、うっとりすることも表します。
「口の中で蕩ける」「蕩けるような笑顔」などが使用例です。
「揺蕩う」は「たゆたう」と読みます。
水面などをゆらゆらと漂うことや、気持ちが定まらずためらうことを表す言葉です。
「波間を揺蕩う小舟」のように使われます。
「蕩」は名前に使える?
「蕩」は、子どもの名前には使用できません。
戸籍に登録する子どもの名前には、常用漢字または人名用漢字として認められた漢字を使う必要があります。
「蕩」はそのどちらにも含まれていないため、読み方や意味にかかわらず、名付けには使えない漢字です。
また、「蕩」には酒や遊びにふける、行いにしまりがないといった意味もあります。
「放蕩」という言葉から受ける印象も考えると、仮に使用できたとしても、名前に向いている漢字とはいいにくいでしょう。
なお、「蕩」を含む日本の苗字も見つかりませんでした。
まとめ
草冠に「湯」と書く漢字は「蕩」です。
音読みでは「トウ」、訓読みでは「うごく」「やぶる」「とろける」などと読みます。
「蕩」は、大水によって草木が揺れ動く様子から生まれた漢字です。
そこから、揺れ動く、広く行き渡る、洗い流す、行動にしまりがないといった意味を持つようになりました。
身近な言葉には「放蕩」があり、「蕩ける」と書いて「とろける」、「揺蕩う」と書いて「たゆたう」と読むこともあります。
常用漢字にも人名用漢字にも含まれていないため、子どもの名前には使用できません。
草冠が付いていますが、特定の植物を表す漢字ではないことも覚えておきましょう。
参考資料
上級漢和辞典 漢字源 改訂第六版(学研)
※気づけば草冠の漢字の記事も増えてきました










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