祭日と祝日の違いとは?今は祭日がない理由までわかりやすく解説
「祭日」と「祝日」は同じ意味だと思われがちですが、実は異なる言葉です。
現在のカレンダーでは「祝日」という表記だけが使われていますが、戦前には「祝日」と「大祭日」という区分がありました。
そのため、「祭日と祝日は何が違うの?」「祭日はいつなくなったの?」と疑問に思う人も少なくありません。
この記事では、祭日と祝日の違いをわかりやすく整理するとともに、戦前の制度や現在とのつながりについても詳しく解説します。
※日本語には、同じ読みでも意味が異なるものが多くあります。
例えば、「元に」と「基に」の違いのように、意味や使い方を理解すると文章の理解も深まります。
祭日と祝日の違いを簡単に説明
祭日と祝日の違いを理解するには、現在の制度と戦前の制度を分けて考える必要があります。
まずは、両者の違いを表で確認してみましょう。
| 比較項目 | 祭日 | 祝日 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 皇室の祭祀が行われる日 | 祝い、感謝し、または記念する日 |
| 戦前の正式な区分 | 主に「大祭日」 | 「祝日」 |
| 現在の法律上の扱い | 休日の区分としては存在しない | 「国民の祝日に関する法律」で定められている |
| 現在の休日になるか | 祭祀の日であるだけでは休日にならない | 原則として休日になる |
| 主な例 | 春季皇霊祭・秋季皇霊祭・神嘗祭・新嘗祭 | 元日・憲法記念日・文化の日・勤労感謝の日など |
現在の制度だけを見れば、違いは明確です。
法律上の休日として存在するのは「国民の祝日」であり、「祭日」という名称の休日はありません。
ただし、戦前に「祭日」という名称の法律上の区分が、そのまま置かれていたわけではありません。
戦前の休日は、法令上「祝日」と「大祭日」に分けられており、両者をまとめて「祝日大祭日」と呼んでいました。
一般に「祭日」と呼ばれてきたのは、このうち皇室の祭祀と関係する「大祭日」です。
そのため、祭日と祝日の違いを正確に説明するなら、戦前の「祝日」と「大祭日」の区分まで押さえておく必要があります。
なお、現在も「祝祭日」という言葉が使われることがあります。
これは戦前の祝日と大祭日をまとめて表した言葉の名残と考えられますが、現在の法律上の正式な名称は「国民の祝日」です。
※「超えると越える」「花と華」なども、読みは同じでも意味や使い分けが異なります。
⇒ 「超える」と「越える」の違いは?使い分けの基準と簡単な覚え方を紹介
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祭日とは?戦前は皇室祭祀の日が「大祭日」だった
祭日とは、一般に皇室の祭祀が行われる日を指す言葉です。
祭祀とは、祖先や神々をまつり、祈りや感謝をささげる儀式をいいます。
皇室では、皇室の祖先をまつる祭典や、五穀豊穣を祈り、収穫に感謝する祭典などが行われてきました。
戦前の休日制度では、皇室の重要な祭祀が行われる日を「大祭日」として、祝い事を記念する「祝日」と区別していました。
たとえば、春分日に皇室の祖先をまつる春季皇霊祭、秋分日に行われる秋季皇霊祭、その年の新穀を皇祖神に供える神嘗祭や新嘗祭などが、大祭日に当たります。
ここで注意したいのは、紀元節や天長節を祭日に含めないことです。
紀元節や天長節も戦前の休日でしたが、法令上は「大祭日」ではなく「祝日」に分類されていました。
つまり、戦前の休日は、次のように分かれていたのです。
| 区分 | 性格 | 主な例 |
|---|---|---|
| 祝日 | 国家や皇室の祝い事を記念する日 | 紀元節・天長節・明治節 |
| 大祭日 | 皇室の重要な祭祀が行われる日 | 春季皇霊祭・秋季皇霊祭・神嘗祭・新嘗祭 |
この区別を押さえておくと、「紀元節も祭日だった」「戦前の休日はすべて祭日だった」といった誤解を避けられます。
皇室祭祀は現在も続いている
祭日という休日の区分はなくなりましたが、皇室祭祀そのものが廃止されたわけではありません。
現在も宮中では、春分の日に春季皇霊祭、秋分の日に秋季皇霊祭、10月17日に神嘗祭、11月23日に新嘗祭などが行われています。
つまり、なくなったのは、皇室祭祀を国の休日として「大祭日」に定める制度です。
祭祀そのものは、皇室の伝統的な行事として現在まで受け継がれています。
「現在は祭日がない」という表現は、法律上の休日として祭日が存在しないという意味であり、祭祀が行われなくなったという意味ではありません。
祝日とは?現在は祝日法で定められている
現在の祝日は、「国民の祝日に関する法律」によって定められています。
この法律は一般に「祝日法」と呼ばれ、1948年(昭和23年)7月20日に公布・施行されました。
祝日法では、国民の祝日を、美しい風習を育てつつ、よりよい社会と豊かな生活を築くために、国民こぞって祝い、感謝し、または記念する日としています。
祝日には、それぞれ異なる趣旨があります。
いくつか例を見てみましょう。
| 祝日 | 法律で定められた趣旨 |
|---|---|
| 元日 | 年のはじめを祝う |
| 建国記念の日 | 建国をしのび、国を愛する心を養う |
| 春分の日 | 自然をたたえ、生物をいつくしむ |
| 憲法記念日 | 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する |
| 秋分の日 | 祖先をうやまい、亡くなった人々をしのぶ |
| 勤労感謝の日 | 勤労をたっとび、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う |
このように、現在の祝日は、国民全体が祝ったり、感謝したり、出来事を記念したりする日として設けられています。
また、祝日法では「国民の祝日は休日とする」と定めています。
そのため、現在の日本で法律に基づいて休日となるのは「祭日」ではなく「国民の祝日」です。
ただし、「祝日」と「休日」が完全に同じ意味というわけではありません。
祝日が日曜日に当たった場合の振替休日や、祝日に挟まれた平日が休日になる場合は、休日ではあっても、その日自体が国民の祝日になったわけではありません。
祭日と祝日の違いを調べる際には、「何を記念する日なのか」だけでなく、「現在の法律に基づく名称かどうか」を見ることが大切です。
なぜ祭日はなくなったのか
祭日という休日の区分がなくなった直接の理由は、1948年に祝日法が制定され、それまでの休日制度が廃止されたためです。
戦前の休日は、1927年(昭和2年)の勅令「休日ニ関スル件」によって定められていました。
この制度では、紀元節や天長節などの祝日と、春季皇霊祭や新嘗祭などの大祭日が、いずれも休日とされていました。
戦後になると、日本国憲法の施行に伴って制度の見直しが進みました。
そして、1948年に祝日法が制定されると、戦前の休日を定めていた勅令は廃止され、新たに「国民の祝日」が設けられました。
制度が変わった流れを簡単に整理すると、次のようになります。
| 時期 | 休日制度の動き |
|---|---|
| 戦前 | 「祝日」と「大祭日」を国の休日として設定 |
| 1947年 | 日本国憲法が施行され、戦前の制度が見直される |
| 1948年 | 「国民の祝日に関する法律」が公布・施行される |
| 1948年以降 | 法律上の休日は「国民の祝日」を中心とする制度になる |
旧制度がなくなった背景には、戦後の国家制度全体の改革があります。
日本国憲法では政教分離の原則が定められ、国が特定の宗教的儀礼を国民共通の休日として扱う従来の制度も見直されました。
ただし、「政教分離によって祭日だけが単独で廃止された」と考えると、少し単純すぎます。
実際には、戦前の祝日と大祭日を定めていた休日制度全体が廃止され、国民を主体とする新しい祝日制度へ切り替えられたのです。
また、戦前の休日がすべて完全に消えたわけでもありません。
春季皇霊祭と同じ春分日は「春分の日」、秋季皇霊祭と同じ秋分日は「秋分の日」、新嘗祭が行われる11月23日は「勤労感謝の日」として、新たな趣旨を持つ国民の祝日になりました。
このように、祭日がなくなったのは、単に呼び名だけが「祝日」に変わったからではありません。
戦前の制度をいったん廃止したうえで、日付や歴史的背景の一部を引き継ぎながら、国民のための祝日として新しく設計し直されたのです。
昔の主な祭日には何があった?
ここまでで、戦前には「祝日」と「大祭日」が区別されていたことを説明しました。
では、実際にはどのような大祭日が設けられていたのでしょうか。
代表的なものを表にまとめました。
| 大祭日 | 日付 | 祭祀の内容 | 現在との関係 |
|---|---|---|---|
| 春季皇霊祭 | 春分の日 | 皇室の祖先をまつる祭祀 | 春分の日と同じ日 |
| 秋季皇霊祭 | 秋分の日 | 皇室の祖先をまつる祭祀 | 秋分の日と同じ日 |
| 神嘗祭 | 10月17日 | その年の新穀を天照大神に供える祭祀 | 宮中祭祀として継続 |
| 新嘗祭 | 11月23日 | 収穫に感謝し、新穀を神々に供える祭祀 | 宮中祭祀として継続。日付は勤労感謝の日と同じ |
このように、大祭日は皇室の祭祀と深く結び付いた休日でした。
一方で、よく混同される紀元節や天長節は大祭日ではありません。
これらは戦前の制度では「祝日」に分類されていました。
そのため、紀元節=祭日、天長節=祭日という説明は正確ではありません。
「戦前の休日」という意味では同じですが、法令上の区分は異なっていました。
現在の祝日は昔の制度と関係がある?
現在の国民の祝日は、戦前の制度とまったく無関係に作られたわけではありません。
名称や趣旨は変更されていますが、日付や歴史的な背景を受け継いでいる祝日もあります。
まずは対応関係を見てみましょう。
| 現在の祝日 | 戦前との関係 |
|---|---|
| 建国記念の日 | 紀元節を参考に制定 |
| 春分の日 | 春季皇霊祭と同じ日 |
| 秋分の日 | 秋季皇霊祭と同じ日 |
| 勤労感謝の日 | 新嘗祭と同じ日 |
| 天皇誕生日 | 天長節の考え方を受け継ぐ |
このように、現在の祝日は戦前の休日制度を全面的に否定したものではありません。
一部の日付や歴史的背景を受け継ぎながら、宗教的な意味合いを持たない「国民の祝日」として再構成されたものもあります。
例えば、春分の日は現在では「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とされていますが、同じ日に宮中では春季皇霊祭も行われています。
つまり、休日としての意味と、皇室祭祀としての意味は現在では切り分けられているのです。
一方で、大安や仏滅は祝日とは異なり、法律で定められた日ではありません。
六曜という暦の考え方に基づく日取りの目安です。仏滅の意味や由来について詳しく知りたい方は、「仏滅とは?意味・やってはいけないこと・結婚式や本当に縁起が悪い日なのか解説」をご覧ください。
「祭日」と呼ぶのは間違い?
現在でも「今日は祭日だから休み」という言い方を耳にすることがあります。
しかし、現在の法律上、この表現は正確ではありません。
1948年に祝日法が施行されて以降、休日として定められているのは「国民の祝日」です。
そのため、現在の正式な表現は「祝日」となります。
一方で、「祭日」という言葉自体が誤りというわけではありません。
皇室祭祀を表す言葉として現在も使われており、宮内庁でも祭祀という表現が用いられています。
つまり、休日の名称としては「祝日」、皇室祭祀を表す言葉としては「祭日」と理解すると混乱しません。
また、「祝祭日」という言葉も現在の日常会話では広く使われていますが、法律上の正式名称ではありません。
※日本語には似ている言葉でも意味やニュアンスが異なる表現が多くあります。
「寂しい」と「淋しい」の違いについても、気になる方は次の記事で詳しく解説しています。
まとめ
祭日と祝日は、似ているようで本来は異なる意味を持つ言葉です。
戦前は「祝日」と「大祭日」が区別されていましたが、1948年に祝日法が制定されたことで、現在は「国民の祝日」という制度に一本化されました。
その一方で、春季皇霊祭や新嘗祭などの皇室祭祀は現在も続いています。
祭日と祝日の違いを知ることで、日本の祝日制度や歴史の変化もより深く理解できるでしょう。
※気づけば「違い」の記事も増えてきました












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