「しづらい」「しにくい」の使い分けは不要!余計な判断は無用です

2023年12月5日

日本語には、同じ読みで違う書き方があると同時に、違う言葉なのに同じ意味を持つ類義語や言い換えが出来ます。

今回は、そういう類の言葉を題材にしたいと考えました。

その対象は、「しづらい」と「しにくい」です。

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この二つの言葉の意味は非常によく似ており、ほとんど同じといって良いと思います。

今回の記事では、「しづらい」「しにくい」の使い分けは不要である、「余計な判断は無用」であることを述べていきます。

どうか、ご一緒に、ご覧くださいますようお願いします。

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「しづらい」「しにくい」の違い

「しづらい 言い換え」で調べると、必ず出てくるのが「しにくい」という言葉です。この2つの言葉の違いは何なのでしょうか。

果たして違いはあるのか追いかけてみましょう。

「しづらい」「しにくい」の違い

違いがあるかどうかについては、非常に難しい問題です。ほとんど、同じといってもいいレベルです。

「しづらい」「しにくい」それぞれの言葉の意味を辞書で引いても、違いはわからないんですよ。その結果をご覧ください。。

  • しづらい:「その動作をするのが難儀である、困難であるの意を表す。」(広辞苑「つらい」)
  • しにくい:「することがむずかしい。やりにくい。」(広辞苑)

この内容を見る限り、ほとんど同じだと言えますよね。

「しづらい」「しにくい」の使い分けは不要!余計な判断は無用と言っていいです。

ネットで、その違いを見ていくと様々な意見が出ています。例えば、心理的なもの(しづらい)と物理的なもの(しにくい)で使い分けるという意見が散見されます。

しかし、日本国語大辞典には、「づらい」を引くと次のように、心理的・物理的両者で使うこともあると出ており、簡単には納得しかねます。

動詞の連用形に付いて、その動作をすることに困難を感じる意を表す。「面目なくて行きづらい」、「恥ずかしくて入りづらい」などのように、心理的抵抗が大きい意に使う場合もあり、「字が小さくて読みづらい」「反射して見づらい」などのように、物理的に困難である意を示すこともある。

引用 小学館・日本国語大辞典

また、三省堂国語辞典では7版(13年)で、「-づらい」の項目に「②『にくい(造語)』の新しい言い方」が入り、「手にはいりづらい」など、非意図的な動作の用例も挙げています。

この「づらい」「にくい」が出てきた時代を比較すると、「にくい」が古く10世紀には、既に用例があるんですって。それに比べて、「づらい」の登場はずっと遅く19世紀になってからです。

そんな意味で、現時点では「にくい」から「づらい」へ移行している最中と言えそうです。長く使われていた「にくい」ですが、「づらい」がだんだん台頭してきたと考えていいのでしょう。

言葉は、時代が進むとともに、どんどん使い方が変わってきます。

「しづらい」「しにくい」には、もともと、心理的なもの(しづらい)と物理的なもの(しにくい)で使い分けていたのかもしれませんが、現時点では、その境界が曖昧になってきているようです。

但し、使い分けをするかどうかは、皆様、個々の判断に従えばよろしいと思います。


「しづらい」「しにくい」の漢字表記

さて、「しづらい」「しにくい」に大きな違いはないという結論を出しましたが、心理的なもの(しづらい)と物理的なもの(しにくい)で使い分けるという要因が何なのかを漢字表記に求めてみようと思います。

  • しづらい ⇒ し辛い
  • しにくい ⇒ し難い

それぞれ、「辛」「難」という表記ですね。それぞれの表記を確認していきましょう。

辛(シン)

読み:つら・い
意味:心が苦しくつらい。身にこたえるつらさ。
言葉:辛酸・

この意味から、「しづらい」は、○○することが辛い、身にこたえてできないと解釈できます。

難(ナン)

読み:かた・い
意味:むずかしい。やりづらいさま。手に負えない。うまく物事が進まない。簡単にいかない面倒な事柄
言葉:困難・難問

ここから、「しにくい」は、単にやりにくいという状況に用いられることが多いと考えられます。

以上のように、「辛」には、「心が苦しくつらい。身にこたえるつらさ。」意から、心理的な面があると考えたわけです。

一方、「難」は、「むずかしい。やりづらいさま。」とだけあるので、物理的な面を考えたわけです。

ただ、上述したように、「しづらい」「しにくい」の垣根は徐々になくなっているようですね。

さて、「しづらい」といえば、同じ発音で「しずらい」があります。中には、こちらを使う方もいらっしゃいますが、はついてどちらが正しいのかおわかりですか?

その件について詳しく解説した記事がこちらです。是非、ご覧ください。

最後に

「しづらい」「しにくい」の使い分けがいるのかに焦点を当てて述べてきました。

意味的にも、ほぼ同じで違いがあるかどうかについては、非常に難しい問題で、同じといってもいいレベルとの判断をしました。

ネットでは、心理的、物理的に使い分けるべきとの方も散見されますが、辞書等の考えをベースに、特に使い分けをする必要はないと考えます。

ただし、この辺りは、個々の判断で動いていけばいいかと思います。

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

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Posted by 60爺