トイレの昔の言い方を集めて一挙公開!他に現代でも使われる別名も…
トイレという言葉は現代では日常的に使われていますが、さまざまな、昔の言い方が存在しました。
日本の歴史を振り返ると、時代や地域によって異なる名称が用いられていたことがわかります。
この記事では、昔のトイレの言い方を集めて一挙公開すると共に、現代でも使えるトイレの別名も合わせて紹介します。
皆さんは、これから紹介するトイレの「昔の言い方」をどの位ご存知でしょうか。
歴史的背景や文化の違いを知ることで、日常生活の中でちょっとした話のネタにもなるかもしれません。
昔の言葉に触れることで、日本の豊かな文化や伝統を再発見してみましょう。
それでは、どうか、ご一緒に、最後までお付き合いください。
トイレの歴史と昔の言い方
日本の「トイレ」の歴史は古く、飛鳥時代にさかのぼります。
当時は「厠(かわや)」と呼ばれ、川の近くに設置されることが一般的でした。
「かわや」⇒「厠」になったと想像できます。
江戸時代に入ると「雪隠(せっちん)」という言葉が使われるようになり、これは寺院のトイレを指す言葉として広まりました。
今述べた、厠、雪隠も含めて、昔の言い方として、次の8つの名称が挙がりました。
- 厠(かわや)
- 閑所(かんじょ)・閑処(かんしょ)
- 後架(こうか)
- こうや
- ご不浄(ごふじょう)
- 雪隠(せっちん)
- 東司(とうす)
- 憚(はばかり)
おお、聞いたことがある名称と、そうでない名称が半々くらいですかね。
以下に、それぞれの言葉について、詳しく見て参りましょう。
厠(かわや)

厠(かわや)とは、古代日本における「トイレ」の言い方です。
日本の歴史を振り返ると、厠は平安時代から江戸時代にかけて多くの文献に登場します。
特に、貴族や武士の屋敷には「厠」が設置されており、厠の位置や構造は住居の設計に大きな影響を与えました。
この時代の厠は、現代のトイレとは異なり、自然の流れを利用して排泄物を処理する仕組みが一般的でした。
江戸時代には、厠は都市部でも見られるようになり、町人の生活の一部として定着しました。
厠の歴史を知ることで、現代のトイレ文化の発展を理解する手助けとなります。
川屋(かわや):川の上に作って用を足したところから(日本釈名)
側屋(かわや):トイレは母屋の傍(かたわら)に設けたところから(大言海)
閑所(かんじょ)・閑処(かんしょ)
閑所(かんじょ)と閑処(かんしょ)は、どちらも「トイレ」を指す昔の言い方ですが、微妙に異なる意味を持ちます。
閑所は、主に「貴族や武士の家で使われた言葉」で、静かで落ち着いた場所という意味も含まれます。
一方、閑処は、一般的に「庶民の間で使われた表現」で、同じく静かで落ち着いた場所を意味しますが、より広範囲の場所を指すことが多いです。
どちらも「日本の歴史や文化」を知る上で重要な言葉です。
現代ではあまり使われなくなりましたが、古文や歴史書を読む際には知っておくと便利です。
有名な戦国武将である上杉謙信ですが、「寅の三月九日に謙信閑所にて煩出」との記録があります。
「閑所」は厠でなく、私室の意味にもとれ、従来の「厠で倒れた」説が揺らいでいるようです。
後架(こうか)
後架(こうか)とは、昔の日本で使用されていた「トイレ」の古い言い方です。
禅寺で洗面所のことを指しました。
その場所が、僧堂の「後」ろに「架」け渡して設けられたところから、この名称が付いたようです。
その傍らにトイレが存在してたので、トイレを指す言葉としても使われるようになりました。
こうや
「トイレに行く」ということを「コウヤに行く」とか「コウヤ参りする」と言う方がいます。
「こうや」は「高野」のことで、和歌山県にある「高野山」を指します。
高野山とトイレの間にどんな関係があるのでしょうか。
高野山の僧侶は髪を剃ることから、「髪を落とす」が転じて「紙を落とす」となり、「トイレ」のことを「こうや」というようになったという説があります。
また、昭和20年代後半~30年代当初までは、高野山には川の上にウンコやオシッコをするようなトイレがあり、天然の水洗便所だったようです。
その他にも、「高野という語がカワヤ(厠)と響くところから」なんて説もあります。
こんなところから、「トイレ」が「コウヤ」という言い方になったようです。
ご不浄(ごふじょう)
「ご不浄(ごふじょう)」は、昔の日本で使われていた「トイレ」の丁寧な言い方です。
「不浄」という言葉には、汚れや穢れを意味する仏教用語が含まれています。
この「不浄」の初出は『蜻蛉日記』で974年頃、なんと、1050年以上も前のことです。
ここでは「月経」の意味でしたが……。
この「不浄」が、江戸初期には排泄物のことを表わすようになりました。
近世になり、この言葉が「トイレ」を指すようになると、丁寧な言い方として「ご不浄」と呼ばれるようになりました。
雪隠(せっちん)
雪隠(せっちん)は、日本の昔の「トイレ」の言い方として知られています。
「せついん(雪隠)」or「せいちん(西浄の唐音)」の転だと言われています。
「せついん(雪隠)」は、雪竇禅師(せっちょうぜんし)が、浙江の雪竇山霊隠寺(せっちょうざんせついんじ)でトイレの掃除を司ったという故事からきています。
後者「せいちん(西浄の唐音)」は、禅宗で法要の際に、仏殿の西側にある僧の用いるトイレを、そう呼んだことに由来します。
「せいちん」⇒「せっちん」と転訛し、「雪隠」は当て字と言われています。
東司(とうす)
東司(とうす)は、禅宗(臨済宗、黄檗宗、曹洞宗)における「トイレ」の呼び方です。
東司は「東の司」と書かれ、建物の東側に位置することが多かったため、この名がついたとの説もありますが、東側にないトイレも多々あるようです。
「東司」とはもともと便所の守護神のことを指していました。
禅宗における「東司」は、次の観点から見ても重要視されているようです。
- トイレをお守り下さる「烏枢沙摩明王」(うすさまみょうおう)が必ずお祀りされていること
- 「司」という語が入ること
- お寺を構成する「七堂伽藍」(しちどうがらん:本堂、仏殿、僧堂、三問、浴室、庫裏、東司)の一つ
「東司」として現存する遺構として、東福寺の東司(重要文化財:室町時代唯一、日本最大最古)、永平寺の東司(七間東司)があります。
憚(はばかり)
「はばかる」は、気がねする。差しさわりを覚えてためらうという意味です。
この言葉は、元々「遠慮」や「控えめにする」という意味を持ち、日常生活の中で他人に対して配慮する場面で使われていました。
用を足す場所へ行くイコール堂々と宣言するものではなく、人目を憚るものなので、直接的な表現を避けるために「トイレ」を「憚」と呼ぶようになったのです。
こんな言葉を考え出すのは日本人くらいしかいないのではないでしょうか。
現代のトイレの呼び名
現代のトイレの呼び名は多様化しており、公共施設や家庭内での呼称も変化しています。
一般的には「お手洗い」や「化粧室」といった表現が広く使われています。
この章では、これらの言葉を集めて、前の章に引き続き見ていきましょう。
- お手洗い
- 化粧室
- レストルーム
- パウダールーム
- 便所
- WC
こちらは、6つの言葉が挙がりました。見覚えがありますか?

私は、これらの言葉をよく知っています。
それぞれについて、細かく見て参りましょうか。
お手洗い


「お手洗い」は、トイレの婉曲表現の一つです。
主に1970年代以前に、家のトイレを「便所」と呼ぶことに抵抗があった世代を中心に広まりました。
「手洗い場」として設置されたスペースをトイレとしても使用していたことや、用を足した後に手を洗う場所という意味合いも含まれています。
化粧室

化粧室とは、かつて「トイレ」の昔の言い方として使われていました。
日本では、江戸時代から明治時代にかけて、特に女性が化粧直しを行うための部屋として設置されていたのが始まりです。
現代においても、特にデパートやホテルなどで「化粧室」という言葉が使われることがあります。
これは、単にトイレとしての機能だけでなく、身だしなみを整えるためのスペースとしての役割も果たしているためです。
特に高級レストランやデパートなどでは、化粧室の設備が充実していることが多く、利用者に快適な環境を提供しています。
また、化粧室という言葉は、トイレに対する「上品な表現」としても広く認識されています。
レストルーム

レストルームとは、主に「トイレ」や「洗面所」を指す言葉です。
英語圏では「restroom」と表記され、公共施設や商業施設で広く使用されています。
日本でも、特にホテルやレストランなどの高級施設で見かけることが多いです。
レストルームという言葉には、単なる排泄の場だけでなく、清潔さや快適さを提供する場所という意味合いも含まれています。
特に、デザインや設備にこだわったレストルームは、利用者にとって重要な要素となります。
パウダールーム
パウダールームとは、現代の住宅や商業施設において、主に「女性」が化粧直しや身だしなみを整えるための専用スペースを指します。
日本では、公衆トイレをパウダールームと称して、衝立で区切られた鏡を並べて化粧直しを企図したくつろげるスペースを別途設置するケースがあります。
便所

「便所」という言葉は、江戸時代から一般的に使用されており、公共施設や家庭内での排泄場所を指していました。
この言葉は、昔の言葉に入れるべきでしたか?
便所は、単なる排泄の場だけでなく、清潔さや衛生管理が重視される場所でもあります。
特に日本では、便所の清掃や維持管理が社会的なマナーとして広く認識されています。
また、伝統的な日本家屋では、便所は家の端に設置されることが多く、風水的にも重要な役割を果たしていました。
WC

WCは「WaterCloset」の略で、「水洗式便所」を意味します。

昔は、この文字をよく見かけたものです。
「WC(Water Closet)」は、19世紀のイギリスで初めて使われました。
この名称は、日本でも一部で使われており、特に昭和初期には「WC」という表記が一般的でした。
日本でも戦後の一時期、「WC」という言葉が普及しましたが、現在では余り、聞きませんねエ。
興味深いことに、現代の日本でも一部の公衆トイレや古い建物では「WC」の表示が残っています。
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※「昔の言い方」では複数の記事を書いています。
昔の言葉を一覧にした記事もあります。
最後に
トイレの昔の言い方は、時代や地域によって様々な呼び名がありました。
ここに挙げたようにトイレの昔の言い方にはたくさんの表現がありました。
厠から始まり、仏教の言葉とつながったりして、難しく効きなれない言葉もたくさんありました。
雑学として、トイレという身近な存在から、日本の歴史や言語の豊かさを垣間見ることができるのは興味深いものですね。
※気づけば言い方・呼び方・読み方の漢字の記事も増えてきました
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