地図記号に「森林」はない?6種類の森林記号と違いを図解で解説
森林の地図記号を調べていると、「森林」というそのものの記号が見つからず、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実は、日本の地図では森林は1つの記号ではなく、植生の違いによって複数に分けて表示されています。
本記事では、国土地理院の情報をもとに、森林を表す6種類の地図記号とその意味、違いをわかりやすく昭明します。
どうか、最後まで、ご一緒にお付き合いください。
地図記号に「森林」はない【結論】
日本の地図記号には、「森林」という名前の単独の記号はありません。
森林は、どのような植物が生えているかによって、複数の記号に分けて表されます。
主な分類は次のとおりです。
| 記号名 | 植生の種類 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| シイ・ブナなど | 丸い木のイメージ | |
| スギ・マツなど | 三角形の木 | |
ヤシ科樹林 | ヤシ・シダ類 | 南国の植生 |
| 竹 | まっすぐ伸びる | |
ハイマツ地 | 低い松 | 高山に多い |
| 笹・篠竹 | 低い植物 |
このように、森林は植生ごとに区別されています。
広葉樹林と針葉樹林の違い


森林の地図記号を理解するうえで、中心になるのが広葉樹林と針葉樹林の違いです。

広葉樹林は、シイ・カシ・ブナ・ナラなどの広葉樹が隙間なく生えている場所を表します。
国土地理院では、木の高さは2メートル以上を基本としつつ、低い場合でもこの記号を用いることがあるとされています。
記号は広葉樹を横から見た形がもとになっています。

一方、針葉樹林は、スギやマツなどの針葉樹が密生している場所です。
高さは2メートル以上が基本ですが、植林地ではそれ未満でも使用されます。
記号は杉の木を横から見た形に由来します。
この2つは、日本の森林を理解するうえで最も基本となる分類です。
その他の森林記号(竹林・ヤシ科樹林など)
広葉樹林と針葉樹林以外にも、特徴的な植生については個別の記号が用意されています。

竹林は、竹が隙間なく生えている場所を表し、記号は竹の姿と影を表した形がもとになっています。

ヤシ科樹林は、ヤシ科植物や大型のシダ植物などが生えている地域を示し、主に南西諸島などに見られます。
記号はヤシの木を横から見た形に由来します。

ハイマツ地は、高山帯で見られる背の低いマツの仲間(ハイマツ)が広がる場所を表します。

笹地は、笹や篠竹が密生している場所を示し、国土地理院では竹林の記号と似ているため注意が必要とされています。
なぜ森林は1つの記号で表さないのか
663highland, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
上高地の森林
森林が1つの記号で表されない理由は、植生の違いが重要だからです。
広葉樹林と針葉樹林では見た目や性質が大きく異なり、竹林や笹地のように樹木ではない植物が広がる地域もあります。
地図は土地の特徴を正確に伝えるためのものです。
そのため、「木がある場所」とまとめるのではなく、どのような植物が生えているかを区別して表示しています。
森林の地図記号の歴史(明治〜現在)
森林の地図記号の分類は、最初から現在の形だったわけではなく、地図の改良とともに整理されてきました。
明治13年(1880年)から始まった最初の地形図「迅速測図」では、森林のエリアを緑色に塗り、そこに「松」や「杉」などの樹種が、そのまま記載されていたそうです。
2種ある場合は、「楢及松」などと細かく記載が特徴的であったと言われます。
そして、明治20年代刊行の2万分の1「迅速測図」で、初めて地図記号が登場しました。
この時は、次のような分け方が成されていました。
- 針葉樹:松林、杉林、檜林
- 広葉樹:雑樹林
- 竹林:竹叢
- 笹地:篠叢
ここには、樸叢(ぼくそう)という、現代では記号のない灌木や草などが茂った場所を表す記号もありました。
現在の針葉・広葉樹林に分類するようになったのは、明治24年(1991年)図式からだそうです。
ヤシ科樹林は、明治期には存在せず、初登場は「大正6年図式」でした。
名称は「椶櫚科樹林」でしたが、「しゅろ科樹林」というひらがな表記を経て、現在の「ヤシ科樹林」へと変遷しました。
他の地図記号との違い

森林の地図記号は、畑や果樹園などの農地と混同されやすいため、違いを押さえておくことが重要です。
広葉樹林や針葉樹林は、樹木が密生している場所を示す記号で、自然林だけでなく人工林も含みます。
一方、畑や果樹園は農業のために利用される土地であり、人の管理が前提です。
また、森林の記号は「木の形」をもとにデザインされていますが、畑や果樹園は「区画」や「作物の並び」を表した形になっています。
さらに、笹地と竹林は記号が似ているため混同しやすいですが、竹林は背の高い竹、笹地は低い植物を表しており、意味が異なります。
※農地の記号(畑や果樹園)でも記事を書いています。
⇒「畑の地図記号」は、こちらの記事を参照
⇒「果樹園の地図記号」は、こちらの記事を参照
覚え方
森林の地図記号は、形の意味を理解して覚えると区別しやすくなります。
広葉樹林は丸い木、針葉樹林は三角形の木と考えると、見た目と対応して覚えやすくなります。
竹林はまっすぐ伸びる竹、ヤシ科樹林は南国のヤシの木、ハイマツ地は低く広がる松、笹地は地面を覆う低い植物とイメージすると理解しやすくなります。
名前で覚えるのではなく、形と実物を結びつけることがポイントです。
まとめ
地図記号に「森林」という単独の記号はなく、実際には植生の違いによって複数の記号で表されています。
中でも広葉樹林と針葉樹林が基本となり、竹林や笹地などの特徴的な植生が補助的に区別されています。
これは単なる分類ではなく、「その土地にどのような植物が生えているか」という情報を、地図から正確に読み取れるようにするための工夫です。
森林を一括りにせず、あえて分けて表示している点に、日本の地図の特徴があります。
こうした違いを理解しておくと、地図を見たときに「ただの森」としてではなく、その土地の環境や特徴までイメージできるようになります。
結果として、地図の読み取りがより深く、正確になるでしょう。
参考資料
地図記号のひみつ 中公新書クラレ
地図記号一覧|国土地理院
※「地図記号」は2024年に登場したカテゴリです
ヤシ科樹林
ハイマツ地







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