蔵の旧字は「藏」?実は異体字?辞書で違う理由を整理
蔵の旧字は「藏」でしょ?と思って調べたのに、辞書によっては異体字と書かれていて、混乱した経験はありませんか。
実は、「蔵」の旧字の扱いは一つに決まっているわけではなく、辞書や立場によって異なるのが実情です。
この記事では、「蔵」と「藏」の関係を整理しながら、なぜ結論が分かれるのかを分かりやすく解説します。
どうか、最後まで、ご一緒にご覧くださいますよう。
蔵の旧字は「藏」と言われるのが一般的

まず結論から言うと、一般的には「蔵の旧字=藏」と説明されることが多いです。
理由はシンプルで、次の3点が揃っているからです。
- 戦前の表記で「藏」が使われていた
- 人名用漢字として現在も使用できる
- Unicodeに収録されており入力できる
このため、多くのサイト(ex.旧字体・新字体|漢字字典ONLINE)や辞書(新明解現代漢和辞典)、書籍(旧字源)では、「藏=旧字体」と説明されています。
実用面だけを考えれば、この理解で困ることはほとんどありません。
しかし「藏」は異体字とする辞書もある
一方で、すべての辞書が「藏=旧字体」としているわけではありません。
学研の漢和辞典(上級漢和辞典 漢字源、新閑話大辞典)では、「藏」を旧字体ではなく異体字として扱っています。
ここで重要なのは、「旧字体」と「異体字」は似ているようで意味が違うという点です。
- 旧字体:新字体に対する正式な旧来の字形
- 異体字:同じ漢字の別の書き方(複数あり得る)
つまり、藏は「蔵の別の字形の一つ」に過ぎないと見る立場もある、ということです。
本来の旧字体とされる字形が存在する
さらにややこしいのがここです。
前述した学研の漢和辞典(上級漢和辞典 漢字源、新漢和大辞典)では、「蔵」の旧字体として、次の字形が挙げられています。

この字形の特徴は次の通りです。
- 草冠(くさかんむり)が4画の形
- Unicodeには収録されていない
この字形は、現在、ほとんど使われておらず、一般の環境では入力することもできません。
そのため、実用上は(入力できないため、)無視されることが多く、結果として「藏」が旧字のように扱われるケースが増えています。
また、フォントによって字形が異なる点にも注意が必要です。
たとえば、HG正楷書体-PROでは、「藏」の草冠が4画で表示される場合があります。

これは、Unicode上は同じ「藏」という文字でも、フォント側の設計によって見た目(字形)が変わるためです。
つまり、「4画の草冠=別の文字」とは限らず、同じ文字の異なる字形(グリフ)として扱われているケースもあるということです。
このような事情があるため、「旧字体はどれか」という問題が、さらに分かりにくくなっています。
蔵の旧字が混乱する理由
蔵の旧字については、結論だけを見るとシンプルです。
現在は、「藏」が旧字体として扱われるのが一般的です。
多くの辞書や資料、また人名用漢字としての扱いからも、「蔵の旧字=藏」と理解されるケースが主流となっています。
そのため、日常的な使用や人名・表記においても、「藏」を用いて問題になることはほとんどありません。
しかし、一方で、すべての辞書が同じ見解ではありません。
申し上げてきたように、学研の漢和辞典では、「藏」を旧字体ではなく異体字とし、さらに、別の字形を旧字体とする立場も見られます。
このように、「蔵の旧字」は、下記のような考え方が混在していることも事実です。
- 一般的な理解(藏=旧字)
- 一部辞書の見解(藏=異体字)
新字体と旧字(異体字)の違い
さて、「蔵」には、旧字(異体字)の「藏」がありますが、それ以外に異体字は存在しません。
この「蔵」と「藏」の違いを見てみましょう。

藏は、「臧(そう)」と「艸(くさ)」で構成されます。
この「臧(そう)」は、「戕(しょう)」と「臣」で構成され、「よい」の意味の他に「かくす」の意を持っています。
ですから、「艸(くさ)」を付けた「藏」は、「かくす場所」「蓄えておく場所」で「くら」になるのです。
普通、「爿」は、新字体になると「丬」になるのですが、「蔵」の場合は、点も取られた形になっているのです。
※旧字があって異体字のない漢字に以下の漢字がありました。
「藏」の出し方|パソコン・スマホでの入力方法
旧字である「藏」をどう出すかを、機器別に紹介します。
パソコン
文字変換での出し方
- 「くら」と日本語で入力し、変換キーを押します。
- 変換候補に「藏」が出てくるのでクリックします。
Unicode変換での出し方
- 日本語で「85CF」と入力し、F5キーを押します。
- 変換候補に「藏」が出てくるのでクリックします。
必ず、日本語にして行ってください。
Unicodeは、「85CF」の他、「7322」「6936」でも出すことができます。
スマホ
スマホでも、文字変換で出すことができます。
- 「くら」と日本語で入力します。
- 変換候補に「藏」が出てくるのでクリックします。
テプラ
テプラでも、文字変換で出すことができます。
- 「くら」と日本語で入力します。
- 変換ボタンを押し、変換候補を見ていくと「藏」が出てくるので選択ボタンを押します。
60爺所有のエントリー機SR300で実施できたので、ハイスペック機、スタンダード機でも問題なく実施できるはずです。
補足
パソコンやスマホでは、「くら」と入力して変換変換すると候補に「藏」が表示されます。
もし、出てこない場合は、次の文字をコピーして使うのが確実です。
藏
なお、フォントによっては草冠の形が異なる場合があります。
既に述べた、HG正楷書体-PROでは、草冠が4画で表示されます。
これは文字自体が違うのではなく、フォントによる字形の違いによるものです
まとめ
「蔵」の旧字については、一見シンプルに見えて、実は次のような構造になっています。
- 一般的には「藏」が旧字体として扱われる
- ただし辞書によっては異体字とされる
- 本来の旧字体とされる別字形も存在する
このように、「蔵の旧字はこれ」と一つに決められるものではありません。
むしろ、立場によって見方が変わる漢字の典型例と言えるでしょう。
蔵の旧字が分かりにくいのは、辞書ごとに扱いが異なるうえ、Unicodeやフォントによって字形も変わるためです。
そのため、「藏=旧字」と単純に言い切れない点が、混乱の原因になっています。
参考資料
上級漢和辞典 漢字源 学研
新漢和大辞典 学研
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。








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