燈は名前に良くない?そんな6つの意見を抽出して内容を吟味してみた
「燈」という漢字を使った名前は、柔らかく温かなイメージを持ち、多くの人に好まれている名前のひとつだと思います。
特に、「灯り」「光」を連想させることから、優しさや希望といったポジティブな意味が込められていると考える人も多いでしょう。
しかし一方で、「燈」という漢字については、「名前に使うにはよくないのでは?」という意見や懸念の声も存在します。
そこで、今回の記事では、「燈は名前に良くない」とされる代表的な6つの意見を取り上げ、それぞれの根拠や背景について丁寧に掘り下げていきます。
名前は人生に寄り添う大切なものだからこそ、多角的に吟味することが大切です。
あなたにとっての「良い名前」のヒントになるかもしれません。
燈という漢字の意味と由来

最初に、燈という漢字の基本情報をお届けします。
画数 | 16画 |
音読み | トウ |
訓読み | ともしび、ひ、あかり |
日本語のみの訓読み | とぼし、とぼ・す、ともし、とも・す |
主な意味 | ①ともしび、ひ、あかり ②(仏教)闇を照らす灯のような、仏の教え |
「燈」は「灯」の旧字体です。
「燈」は常用漢字ではないですが、人名用漢字ですので名付けに使用できます。
この「燈」の音読みは、「トウ」で、訓読みは「ともしび、ひ、あかり」です。
日本語のみの訓読みは、ご覧の通り、たくさんあります。
意味は2つあります。
- 始めは、「ともしび」「ひ」「あかり」即ち、「あたりを明るくするための火」という意味になります。
- 二つ目は仏教用語で、「闇を照らす灯のような、仏の教え」のことです。
現在、「燈」は常用漢字外となっていますから、一般的には使われませんが、昔は、あかりのことを「燈火」、航海の目印のことを「燈台」というように使いました。
このように、「燈」という漢字を使うと「燈火(とうか)」「燈台(とうだい)」などのように「灯」に比べて、懐かしさを感じさせてくれます。
漢字の成り立ち
燈=「登(上に上がる)」+「火(ひ)」
登=「豆(たかつき)」+「廾(両手)」+「癶(開く両足)」の会意文字で、たかつきを両手で捧げて祭壇に登る情景を示しています。
ここから、「登」には、「上に上がる」というイメージがあるのです。
そのため、「燈」は、上に掲げてあたりを照らす火を示しているのです。
そんなところから、仏の教えである仏法を、迷いの暗闇を照らす灯に例える意も持っているのでしょう。
先程、「燈」は「灯」の旧字体と言いました。
ところが、灯の成り立ちをみていくと、燈とは全く違います。
灯=「丁(丄形にじっと立つ)」+「火(ひ)」
丁は釘の形で「丄形にじっと立つ」を示すイメージを示す記号です。
「灯」は1カ所にじっと立てておく火を表すのです。
これらの意味の違う二つの漢字ですが、中国では元・明以来、「灯」は「燈」の字に代用されたのです。
日本でも、紆余曲折の末、国語審議会により、「燈」は「灯」へ字体を変更し、当用漢字表に採用されました。
これにより、この意味の異なっていた二つの漢字が一つにまとめられ、燈を旧字体、灯を新字体となったのです。
燈に対する否定的な意見とは
既にみてきたとおり、燈は悪い意味はなく、むしろ、名付けに向く漢字だということが分かりました。
しかし、このような漢字に対しても否定的な意見が出されます。
そんな噂を一覧にまとめてみました。
燈に対する否定的意見 | 60爺の寸評 |
---|---|
火を含む漢字は良くない | 全く根拠のない意見です |
燈が一般的な漢字でないから | 個人の意見、感想です |
燈という字を伝えることが難しい | 個人の意見です。60爺は難しいと思いません |
宗教的な意味合いの強い字だから | 法燈という意はあるが悪い意味ではないです |
燈は硬い印象がある | 個人の意見・感想です |
燈はキラキラネームになりそうだから | キラキラネームは特定の漢字によるものではありません |
名前に良くないと否定的意見をよく見ると、一般的な意見を装って自分の意見を述べていることが多いので、それを頭に入れて冷静に判断しましょう。
今回の否定的意見ですが、ちょっと言葉が強くなってしまいますが、「うん、一理あるな」という意見は皆無でした。
どの意見も、「あなたがそう感じたんですよね」という主観的な意見が多く、あとは、根拠の全くないものだけでした。
火を含む漢字は良くない
出ました。
木へん、草冠は枯れるから良くない。
さんずいは水難に合うから良くないという手合の否定的意見です。
この手の意見は、全く根拠のない意見です。
この手の意見を聞いていると名付けが出来なくなってしまいますので、無視して良いかと思います。
燈が一般的な漢字でないから
画数が多いから小さい子供には大変とか、常用漢字でないから誤記や誤読が多くなる、他人から正しく読まれないから子どもにストレスがたまるといった意見です。
画数が多くなると必ずと言っていいほど、同じ指摘があります。
小さい子供は、確かに書くのが大変ですが、何度も書いているうちに愛着が出てきます。
誤記や誤読は常用漢字でなくとも起きます。
正しく読まれないからストレスになるとは言いますが、現代の名前でちゃんと読めるものが少ないという現実もあり、この意見も個人の感想の部類に入るのだと感じます。
これを言う人は、自分の子どもにも易しい漢字だけで名付けをするのでしょうか?
燈という字を伝えることが難しい
電話などで、この漢字を伝えるのが難しいからやめとけって意見ですね。
「火へんに山に登るの登」で伝わらないですかね。
この否定的意見は、ちょっと画数が多い漢字になると必ず出てくる意見です。
ただ、この「燈」は当てはまらないと60爺は思います。
皆さんは、60爺の意見と、この否定的意見のどちらを採用しますか。
宗教的な意味合いの強い字だから
確かに、意味の中に、仏教的な意味がありました。
但し、それは「闇を照らす灯のような、仏の教え」ですから、非常に良い意味ですよね。
意味の中に、信仰と関わりのある部分を見つけて、その部分を声高に言うのは否定的意見の常套手段です。
そういう意味があることを理解し、それでも、この字が良いかどうかを冷静に判断しましょう。
燈は硬い印象がある
これって、個人の意見・感想でしょう。
「燈」という漢字が、他の名前に比べて硬く感じられる場合があるという意見ですが、他の名前を具体的に出していないんです。
ですから、別の人が検証しようがないんですね。
他にも、『「燈」が周囲との調和を難しくする』、『音と意味のバランスが取れていない』などという指摘もあるんですが、「周囲との調和」、「音と意味のバランス」が何を指しているのかさっぱりわかりません。
反対のために、言葉を並べただけという印象がぬぐえないんです。
ですから、この手の意見は聞く価値がないと言ってもいいでしょう。
燈はキラキラネームになりそうだから
これ、毎回言っているんですが、キラキラネームは漢字に対する読みを無視して、新たな読み方を親が作ることで生まれます。
その意味では、「燈」に限らず、どんな漢字でも起こりえます。
燈に関していえば、「ひかり」という読みを付けたらキラキラネーム候補です。
漢字にない読みを作ってはなりません。
ですから「燈(あかり)」「燈花(ともか)」など、漢字の読みに準じれば全く問題ありません。
※「名前 良くない」で複数の記事を書いていまが、こちらは、「木へんに登」の「橙」です。
橙は名前に良くない漢字?否定的意見と60爺の見解をガッツリご紹介
燈を名前に付けよう
「燈」という漢字には、「ともしび」という意味ですが、闇を照らすやさしい明かり、特に人々の心に寄り添うような温かく穏やかな光を連想させます。
名前に使われる「燈」の印象
名前にこの字が使われると、ほのかな希望や安らぎ、そして周囲を照らす存在であってほしいという願いが込められているように感じられます。
また、「燈」にはどこか懐かしく、日本的な美意識を感じさせる風情もあるのではないでしょうか。
電気の光とは異なり、ゆらゆらと揺れる炎のぬくもりを象徴するこの字は、落ち着きや誠実さを表現すると同時に、静かに芯の強さを秘めた人物像を想起させます。
「あかり」「とも」「ひかり」などと読みがあり、男の子、女の子に限らず、名付けを出来ると思います。
柔らかな響きと意味を併せ持つため、親しみやすく、現代的な名前にもよく馴染みます。
一方で、伝統的な名前の中でも違和感なく使えるため、古風と新しさの両方を併せ持つ稀有な字とも言えるでしょう。
名前に「燈」を選ぶことは、ただの音や字面の美しさだけでなく、「人の心に小さな光を灯せるような存在でいてほしい」という深い願いを託すことでもあるのです。
名付けについて
「燈」は、上述してきたように「ともしび」という意味をもっていますが、この「周りを明るくする光」といったイメージから、次のような願いを込めることができるでしょう。
- 周りを明るく包むような優しさを持つ人になってほしい
- 人々に希望や温かさを与えられる人に
- 人の心をホッと和ませるような優しい人に成長してほしい
燈の読み方は、「とも」「ひ」「あかり」「とう」などがありますので、ここから、いろいろな名付けを考えることができるでしょう。
- 男の子:燈真(とうま)、燈明(ともあき)、友燈(ゆうひ)、燈聡(ひさと)
- 女の子:燈(あかり)、燈花(とうか)、燈美(ともみ)、燈鞠(ひまり)
名前に「燈」のある有名人
名前に「燈」のある有名人です。
有名人 | 読み | 職業 |
---|---|---|
赤澤燈 | あかざわともる | 俳優 |
草摩燈路 | そうまひろ | コミック「フルーツバスケット」 |
花間燈 | はなまとも | 作家 |
野田大燈 | のだだいとう | 曹洞宗の僧侶、教育者 |
「燈」のある有名人は、上記の4名だけでした。
打ち、2番目の「草摩燈路」はコミックのキャラクターですので、実在の人間は3名のみです。
最後に
「燈」という名前は温かく優しい印象を持つ一方で、名前に向かないという意見も存在します。
字の意味や画数、音の響き、古風すぎるイメージ、ネガティブな連想など、さまざまな視点から疑問が投げかけられています。
しかし、それぞれの否定的意見を確認したところ、主観的な意見が多く、また、根拠の全くない意見もあり、全くのいいがかりでした。
大切なのは、名前に込める思いや家族の価値観です。
つまらない意見にとらわれることなく、「燈」が持つ光のような優しさや希望を取り込みましょう。
※気づけば「この漢字は名前良くないのか」の記事も増えてきました
参考
上級漢和辞典 漢字源
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