25時って何時?意外と知らない「24時以降」の正体を紹介
夜更かしをしていて、テレビなどで、「25時開始の番組……」なんて言葉を聞いたことはありませんか?
この25時という時間表現、よく考えると、こんな時間、時刻には存在しません。
24時間制であれば、「24時=深夜0時」で一日の終わりのはずです。
実は、この「25時」、日本独特の文化的表記だったのです。
そう、海外では全く見られない習慣で、日本でのみ、深夜番組や深夜営業の店舗、さらには、イベントスケジュールで登場します。
この記事では、そんな「存在しないのに誰もが知っている時間」……25時の正体を、由来から使われ方・注意点まで詳しく紹介します。
どうか、最後まで、ご一緒にご覧ください。
25時=午前1時?時間の数え方を整理してみよう
まず、結論から言いましょう。
25時は翌日の午前1時を指します。
つまり「10月11日の25時」は「10月12日の1時」と同じ時間を意味します。
日付としては、既に翌日ですが、感覚的には「まだ、11日の夜」という扱いになるのがポイントです。
どうやって出来た?
では、なぜ、こんなややこしい表記が存在するのでしょうか。
通常、1日は0時から24時までの「24時間制」で区切られています。
24時を超えた瞬間に日付が切り替わり、新しい1日が始まります。
従って、本来「25時」や「26時」といった時間は、時間のルール上、存在しません。
それにもかかわらず、25時という表記が生まれたのは、人間の感覚と生活リズムに由来します。
たとえば、深夜番組や夜勤などでは、「24時を過ぎても同じ日の活動が続いている」ことが多くあります。
そんなとき、「翌日1時」と書いてしまうと、感覚的に「別の日」に感じられて混乱してしまうのです。
そのため、「まだ今日の延長」として扱う目的で、24時を超えた時間を「25時・26時」と表現するようになりました。
これは、視聴者やスタッフがスケジュールを把握しやすくするための、実用的な便宜上の表記といえるでしょう。
要するに、25時は時間の法則上は存在しないけれど、生活の感覚の中では確かに存在している時間。
それが、この独特な「25時表記」が受け入れられている理由なのです。
30時間制
なお、このような時間表記を可能にしているのが「30時間制」という考え方です。
上述したように、日本の放送業界や労務管理の一部では、深夜0時以降を翌日ではなく「同じ日」の延長として扱うため、25時=午前1時、26時=午前2時というように記録します。
これは、深夜勤務や深夜番組の時間帯を一続きとして扱うために導入された仕組みで、民放局の放送データでもこの表記が一般化しています。
視聴者の感覚的にも「金曜の夜25時」は「金曜の延長」と捉えられるため、わかりやすさを重視した合理的なルールと言えるでしょう。
テレビ番組や業界で25時表記が使われる理由
「25時」という表記がもっとも頻繁に使われるのは、テレビ業界やエンタメ業界です。
たとえば、下記、テレビ神奈川の番組表(10月11日金曜日)で、「25:30」と書かれていれば、それは実際には翌日の午前1時30分のことを示します。

しかし、視聴者にとっては「金曜の夜」の延長として理解する方が自然です。
このように、放送スケジュールで25時が使われるのは、既に申し上げた通り、日付の混乱を防ぐためなだと思われます。
もし、これを「1時30分放送」と書いてしまうと、読者の多くは「金曜の深夜なのか、土曜の夜なのか」一瞬わからなくなってしまいます。
人の感覚では、夜更かししている時間帯はまだ「昨日の続き」と感じやすい。
そうした心理に合わせるために、あえて「25時」や「26時」といった表現が定着したのです。
他にも、JCOMやフジテレビの番組表にも、この表現が使われています。






また、イベント業界や深夜勤務の現場でも、25時表記はしばしば使われます。
たとえば、「勤務時間:18時~26時」といった表記は、「翌朝2時まで」という意味。
こうした書き方のほうが、同じ日付の中でスケジュールを完結でき、シフト表や打ち合わせ時の混乱を防ぐことができます。
例として、「日をまたぐ勤怠入力ルール」(終業時刻が24時を超える場合、1時を25時、2時を26時のような表記で入力する方法を案内している)があります。
さらに興味深いのは、こうした表記が「日本特有の文化」である点です。
海外では通常、24時を過ぎるとすぐに日付を切り替えて扱います。
日本だけが、「一日の終わりを少し引き延ばす」ような時間感覚を言語化しているのです。
つまり、25時という表記は、単なる便宜的なルールではなく、「まだ今日が終わっていない」という日本人の感覚を反映した文化的な慣習なのです。
但し、NHKだけは、かたくなにこの表記を避けているようです。



午前、午後、そして、24時以降は「翌午前」という表記を使っていますね。
25時表記は正式なの?
さて、ここまでで「25時」は便利な表現だと感じた方も多いでしょう。
しかし、結論から言えば、25時という表記は正式な時間表現ではありません。
国際的に定められた時間の表記ルール(ISO 8601)では、1日は「00:00」から「23:59」までの24時間で構成されています(参考JIS規格)。
つまり、24時を超える表記=25時・26時といった書き方は、公的な基準上は存在しないのです。
そのため、ビジネス文書や契約書、公式なスケジュール表などでは、「25時」は避けるのが原則です。
たとえば、「会議開始 25:00」(会議を深夜1:00に開かないでしょうが)と書くと、誤解やトラブルを招きかねません。
この場合は正しく「X月X日1:00」と記載するのが望ましい表現です。
一方で、業界内の共有文書や社内スケジュールでは、「25時表記」があえて使われるケースも少なくありません。
特に放送、音楽、イベント業界などでは、「その日の延長」として理解するのが慣例になっているため、現場レベルでは問題なく通じるのです。
要するに、25時表記は「正式ではないが、業界内では通用する便利な表現」。
ただし、使う場面を間違えると誤解を招く可能性があります。
公的書類・顧客向けメール・予約システムなどでは避け、内輪のスケジュール共有や非公式な文脈でのみ使うのが賢明でしょう。
つまり、「25時」は言語的にも感覚的にもグレーゾーンにある表現です。
だからこそ、相手との共有ルールが前提になっていることを理解して使うことが大切なのです。
25時を使う「文化的背景」
「25時」という表記は、単なる業界用語ではなく、日本人の時間感覚そのものを映した文化的な現象です。
本来なら日付が変わった瞬間に新しい一日が始まるはずですが、多くの人にとって、深夜の1時や2時は「昨日の続き」。
「まだ今日が終わっていない」という感覚が、自然に残っているのです。
この感覚の背景には、日本の生活リズムや文化があります。
たとえば、深夜番組やコンビニ、カラオケ、深夜営業の飲食店など、「夜を楽しむ文化」が発達したのは1980年代以降。
夜遅くまで働いたり、遊んだりすることが珍しくなくなり、「一日の終わりを引き延ばす」ような社会習慣が広まりました。
その結果、「24時を過ぎてもまだ今日」という意識が定着し、それを言語化したものが「25時」なのです。
また、日本語特有の曖昧さも関係しています。
英語圏では日付が変われば「tomorrow(明日)」ですが、日本語では「今夜」「昨日の夜」「明日の朝」など、文脈によって自由に使い分けられます。
この柔軟な感覚が、「25時」という曖昧ながらも便利な表現を生み出しました。
言い換えれば、「25時」とは単に時間を示す数字ではなく、「まだ今日が続いている」という心理の表れなのです。
この独特の時間意識は、忙しい社会の中でも「もう少しだけ今日を生きていたい」という日本人の感性を象徴しているのかもしれません。
※「雑談の部屋」の最新記事のため次の記事はないので、トップの記事を挙げておきます。
※「雑談の部屋」の一つ前の記事です。
最後に
「25時」とは、正式には翌日の午前1時を指す時間です。
本来、24時間制では存在しない表記ですが、放送業界や夜間勤務などでは「その日の延長」として便利に使われてきました。
視聴者や利用者にとっても、「金曜25時=金曜の夜の続き」と理解できるため、混乱を避ける役割を果たしています。
ただし、公的な文書では正式な時間表記ではないため注意が必要です。
そして何より、この「25時」には、“まだ今日が終わっていない”という日本人特有の感覚が込められています。
時間の境界を越えても、もう少し今日に留まっていたい──そんな文化的情緒が、「25時」という不思議な時間を生み出したのです。
参考
JIS X 0301:2002「情報交換のためのデータ要素及び交換形式 ― 日付及び時刻の表記」 のPDF版で、「24時間制を使用するものとする」と明記されている箇所があります。
⇒ 3.7 項「暦日」の定義で、「暦日」は 00:00 から始まり 24:00(翌日の 00:00 と一致)で終わる時間間隔
※「雑談の部屋」の記事はすごい大所帯です!
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