「大字」は書く?書かない?履歴書・郵便等でのルールを総まとめ

住所の中に、まれに交じっている、「大字」という言葉をご存知ですか。

この大字、60爺は住所の一部と思っているので、何の疑問もなく、住所に書き込んでいます。

ところが、この大字、省略しても大丈夫なんてことを、つい、最近、知りました。

また、60爺の子どもの世代では、「大字」「字」を知らないという人も多いようです。

そんなこんなで、住所に「大字」が現れた時、郵便物や契約書、公的書類などで、「大字」をどう扱えばいいのか、明確な答えを知らない方が多いと思います。

この記事では、「大字」の意味から始まり、履歴書・郵便等の各場面での扱いを丁寧に整理してお届けします。

迷ったときにすぐ判断できる、実用的なガイドとしてお役立てください。

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「大字」とは?意外と知らないその意味と由来

住所の中で時折見かける「大字(おおあざ)」という言葉。

都会に生まれ育った方は、この言葉自体を知らない方も多いと思います。

ご存知の方は、普段、あまり、意識せずに書いている方も多いですが、実は、この「大字」には明確な行政上の意味があります。

「大字○○」という表記は、明治22年(1889年)の町村制施行によって多くの小村が統合された際、旧村名を残すために設けられた区分です。

複数の村が合併して一つの村や町になったとき、旧来の村をまとめて示す単位として「大字」が設けられ、その下にさらに細かい「字(あざ)」が配置されました。

つまり、「大字」とは、旧村を示す住所の中間層にあたる行政的な呼称なのです。

この「大字」は、現在でも登記簿や住民票などの公的書類に正式住所として記載される地域が少なくありません。

たとえば、「熊本県阿蘇市大字内牧」や「滋賀県東近江市大字五個荘」といった表記がその典型です。

これらの地名は、住民票や登記上では「大字」を含む形で登録されており、行政データモデル(内閣官房CIOポータル)でも、「大字」や「字」は住所構成要素の一部として明確に定義されています(住所|行政基本情報データ連携モデル

一方で、都市部を中心に進められた「住居表示制度」によって、「大字」や「字」が住所から取り除かれた地域も増えました。

住居表示は、複雑な旧地番を分かりやすい街区符号と住居番号に置き換える制度で、東京都などでは全面的に導入されています。

明石市が公表している資料によれば、住居表示導入地域では「大字・地番」を廃止し、「町名+街区+住居番号」に整理されると説明されています(住居表示制度の概要|明石市

つまり、「大字」とは地域の歴史を受け継ぐ行政区分であり、住所の一部として残るかどうかは、その地域が住居表示制度を採用しているか否かによって異なります。

古くからの町村では今も現役ですが、都市部では徐々に姿を消しつつあります。

普段は気づかれにくい存在ながらも、「大字」は日本の地名文化を今に伝える、大切な行政用語なのです。

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「大字」は書く?書かない?

「大字」は住所の一部として残る地域も多いものの、日常生活の中では「書かない人」も増えているようです。

では、実際のところ、履歴書や郵便物などで「大字」を省略しても問題はないのでしょうか。

その結論と基本ルールを明らかにします。

結論から言うと、公的住所では「大字」を書くのが正式です。
ただし、日常利用では省略しても通用するケースが多いのも現実です。
つまり、どの書類に記すかによって対応が変わります。

まず、公的機関や法的文書においては、住民票・登記簿・マイナンバー・免許証などに記載された「正式な住所表記」に合わせることが原則です。

住民票の登録住所は自治体が管理しており、「大字」が含まれていれば、それを省略することはできません。

たとえば、稲城市では、住民登録上の住所表記について「土地表示に『大字』『小字』が含まれる場合は、その文字も含めて記載する」と明記されています(住民登録上の住所の表記について|稲城市

一方、郵便物や履歴書などの実用的な書き方では、ある程度の省略が認められています。

日本郵便の公式サイトでは、7桁の郵便番号を正確に記載した場合、「町域名に先だって『大字』『字』の文字が冠されている場合、『大字』『字』の文字までの記載を省略することができます」と明示されており(住所の記載省略に関するQ&A|日本郵便)、実際の配達にも支障はありません。

ただし、注意すべきなのは、書類の種類によって求められる精度が異なるという点です。

履歴書など個人情報を記す場面では、郵便が届くかどうかよりも、本人確認や公式書類との整合性が重視されます。

そのため、就職活動などでは住民票に記載された表記にそろえるのが無難です。

逆に、年賀状や荷物の宛先などでは「大字」を省略しても問題ありません。

このように、「大字を書くか書かないか」は、「目的によって使い分ける」のが正解です。

公的書類では正確さを、日常使用では簡潔さを重視し、混在しないよう統一しておくことが大切です。

次章では、その具体的な判断基準を「履歴書」「郵便」「不動産」などの場面別に詳しく見ていきましょう。

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場面別の使い分けルール

「大字」を書くかどうかは、使う場面によって判断が異なります。

ここでは、日常で迷いやすい代表的なケース ―― 履歴書・郵便・契約書・公的証明 ―― の4つを例に整理してみましょう。

履歴書住民票に合わせて「大字」も書く
郵便省略OK(郵便番号・町名が正確なら)
契約書省略NG、正式表記必須
公的証明省略NG

こうしたルールを踏まえておくと、どんな書類でも自信をもって住所を書けるようになります。

履歴書

履歴書に記載する住所は、原則として住民票に記載された正式な住所表記に合わせるのが安全です。

採用時の身元確認や保険・年金などの手続きに使われるため、住民票と表記が異なると後に修正を求められることがあります。

ただし、就職活動で提出する履歴書が「連絡用住所」として記されるだけであれば、省略しても問題はありません。

ポイントは、住民票と履歴書の住所表記を統一しておくことです。

郵便

既に述べていますが、郵便物では、上述したように、7桁の郵便番号を正確に記載した場合、「大字」「字」の省略が認められています。

つまり、7桁の郵便番号を正確に記載した場合、「熊本県阿蘇市大字内牧XXX」であれば、「内牧XXX」と書いても、正しく配達されます。

郵便番号と町名が正確であれば、郵便システム上は支障ありません。

ただし、「大字」が冠された町域名の後に「字」の文字が続く場合、「字」の文字は省略することはできません。

契約書

登記簿や土地契約書など、法的効力を持つ文書では「大字」を省略してはいけません。

登記情報は住民票や公図と連動しており、住所の一致が求められます。

契約書や登記関係の住所は、登記簿に記載された正式な表記を写すのが原則。

略式表現にすると法的効力を問われるおそれがあります。

公的証明

マイナンバーカードや運転免許証に記載される住所は、住民票の表記に基づいて自動反映されます。

従って、住民票に「大字」が含まれている場合、それを省略することはできません。

住所変更の際にも、自治体の住民異動届で「大字」の有無を正確に記載する必要があります。

なお、東京都の公文書取扱基準でも、住所は「住居表示地域では町名から、大字地域では大字名を含めて記載する」と定められています(公文に使用する住所等の表示方法|東京都)。

最後の最後で恐縮ですが、身も蓋もないことを言っちゃいますと……。

住所に「大字」がある場合は、面倒くさいのを我慢して全部書いちゃえば、何ら問題はないんです!

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※「雑談の部屋」の最新記事のため次の記事はないので、トップの記事を挙げておきます。

※「雑談の部屋」の一つ前の記事です。

最後に

近年、「大字」を書かない人が増えている背景には、住所制度や生活環境の変化があります。

まず、住居表示制度の普及により、「大字」を使わず町名と番地だけで表せる地域が増えました。

また、ネット通販や行政手続きなどで住所を入力する際、フォームに「大字欄」がなく、省略するのが一般的になったことも影響しています。

さらに、郵便番号と番地が合っていれば配達できる現状から、簡潔な表記が好まれるようになりました。

こうした変化が重なり、今では「大字を書かない」が、実用的で標準的な選択となりつつあります。

正確には、大字を書く必要がない状況が増えていると言った方が正確です。

参考
大字|ウィキペディア

※「雑談の部屋」の記事はすごい大所帯です!

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

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Posted by 60爺