「起」の部首は「走」!意味・由来と仲間の漢字まで総特集

2026年2月9日

「起」という漢字の部首は何か、と聞かれて、すぐに答えられるでしょうか。

「己?走」と迷ったり、辞書を引き直した経験がある人も多いかもしれません。

漢字の部首は、見た目の構造をもとに決められています。

そのため、見た目の印象だけで判断すると、誤解が生じやすい字も少なくありません。

この記事では、「起」の部首が何であるかをはっきりさせたうえで、なぜその部首になるのか、さらに同じ部首をもつ漢字にはどんなものがあるのかまで、順を追って整理していきます。

まずは結論から確認しましょう。

「起」の部首は「走」

「起」の部首は「走(はしる)」で、部首名では走(そうにょう・はしる)に分類されます。

一見すると、「起」は上の「己」と下の部分に分かれて見えるため、上部に注目してしまいがちですが、辞書(上級漢和辞典 漢字源)上では下の「走」が部首として扱われています。

部首としては、漢字の左から下側にかけて出てくる「にょう」の位置に表れるので、「そうにょう」とも呼ばれます。

漢字の部首「にょう」
漢字の部首一覧のうち、「にょう」

ただ、この響きが良くないせいか、単に「はしる」とも言われますね(部首ときあかし辞典(研究社))。

「起」が「走部」に属するのも、この字形上の構造によるものです。

次の章では、なぜ「起」が「走」と「己」から成り立っているのか、その意味と由来を詳しく見ていきます。

なお、部首の「にょう」に関しては、「えんにょう」についても記事を書いています。

「起」の基本情報と成り立ち

ここでは、起の基本情報と成り立ちについて述べます。

起の基本情報

部首走(はしる・そうにょう)
画数10画
音読み
訓読みお・きる
意味①お・きる。横になっていたものがたつ
②お・こる。やんでいたものが動き出す
③お・こす。記憶や自覚を呼びおこす
④物事のはじめ。起源

ご覧のように、「起」は、起床、起工、起用などに使用される常用漢字です。

起の成り立ち

「起」は、「走」と「己」から成り立つ漢字(形声)です。

「上級漢和辞典 漢字源(学研)」によりますと、「己」は、伏せたものが次第に起き上がって、はっきりした姿を表す様子を示す象徴的な符号と言っています。

「伏せたものが立ち上がって、目立つ印を表す」イメージです。

「走」は、足の動作ですから、この二つが組み合わさることで、「起」は、伏せたものが立ち上がって、はっきりと姿を表す状況を示します。

また、篆文において、「起の旧字」(己が巳)=「巳+走」(会意)という解釈があった(「上級漢和辞典 漢字源(学研)」)ようです。

巳は胎児の形で、「始まり」「始まる」というイメージを示します。

ここから、「起の旧字」(己が巳)は、物事のおこり始め、あるいは、動作をおこし始めることを示すそうです。

ただ、上述の考え方が優勢になったため、「起の旧字」(己が巳)の字体が、現在の「起」に変わった経緯があるとのことです。

いずれの解釈にせよ、「起」には、行動に移る・動き出すというニュアンスが込められています。

部首が「走」になるのも、この成り立ちによるものです。

「起」は意味の上でも字形の上でも、「動き」を表す「走」を中心に構成された漢字であり、そのため辞書では走部に分類されるのです。

「走」が部首になるときの意味(走部の特徴)

この部首「走」は、「足」を表す「止」に、「両手を振って走っている人」の絵を組み合わせて生まれました。

上記の古代文字を見ると、よく分かると思います。

なお、「走」は単体では「走る」を意味する漢字ですが、部首として用いられる場合は、「ある方向に移動する」ことを表します。

即ち、ある地点から別の地点へ移ることや、静止した状態から行動へ移ることを表す場合が多く、「進む」「移る」「変化する」といったニュアンスを含みます。

今回題材の「起」を見てもわかるように、「走」という部首でも、「速い」「急ぐ」といった意味合いはないのです。

そのため、物理的な移動だけでなく、状況や段階が変わることを示す語にも用いられます。

このように、「走」は部首になることで、物事が前へ進むイメージを漢字に与える役割を果たします。

走部の漢字をひとまとまりとして捉えると、個々の意味の違いだけでなく、部首が担う意味の方向性が理解しやすくなるでしょう。

「走」を部首にもつ仲間の漢字

今、述べたように、「走」を部首にもつ漢字は、移動・進行・変化といったイメージを共通して持っています。

ここでは代表的なものを、意味が分かりやすい形で整理します。

漢字音読み意味
動き出す、立ち上がる
エツ越える、境界を超える
チョウ飛び越える、基準を上回る
目的地へ向かう
スウ急いで向かう

これらの漢字に共通するのは、「その場にとどまらず、別の状態や場所へ移る」という点です。

「越」や「超」は境界を超える動きを表し、「赴」や「趨」は目的をもって進む様子を示します。

「起」は、これらの中でも動きの出発点を表す漢字といえます。

物事が始まる、行動に移るといった意味は、走部がもつ「進行」「変化」のイメージと自然につながっています。

このように、走部の漢字をまとめて見ると、個々の意味の違いだけでなく、部首によって形成された意味のまとまりが理解しやすくなります。

部首「そうにょう・はしる」に含まれる漢字「超える」「越える」の違いについて記事を書いています。

まとめ

「起」の部首は「走(走部)」です。

漢字の部首は意味ではなく、字形のまとまりによって決められるため、「起」は上の「己」ではなく、下の「走」が部首として扱われます。

「走」は部首になると、移動・進行・変化といった動きのイメージを担い、「起」もその一例として「動き出す」「物事が始まる」意味を表しています。

成り立ちと部首の役割を分けて理解すると、「起」がなぜ走部に属するのかが、自然に腑に落ちるでしょう。

参考資料
上級漢和辞典 漢字源(学研)
部首ときあかし辞典(研究社)

※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。

スポンサーリンク
この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

漢字の部首

Posted by 60爺