「起」の部首は「走」!意味・由来と仲間の漢字まで総特集
「起」という漢字の部首は何か、と聞かれて、すぐに答えられるでしょうか。
「己?走」と迷ったり、辞書を引き直した経験がある人も多いかもしれません。
漢字の部首は、見た目の構造をもとに決められています。
そのため、見た目の印象だけで判断すると、誤解が生じやすい字も少なくありません。
この記事では、「起」の部首が何であるかをはっきりさせたうえで、なぜその部首になるのか、さらに同じ部首をもつ漢字にはどんなものがあるのかまで、順を追って整理していきます。
まずは結論から確認しましょう。
「起」の部首は「走」
「起」の部首は「走(はしる)」で、部首名では走部(そうぶ)に分類されます。
一見すると、「起」は上の「己」と下の部分に分かれて見えるため、上部に注目してしまいがちですが、辞書上では下の「走」が部首として扱われています。
部首としては、漢字の左から下側にかけて出てくる「にょう」の位置に表れるので、「そうにょう」とも呼ばれます。

ただ、この響きが良くないせいか、単に「はしる」とも言われますね。
「起」が「走部」に属するのも、この字形上の構造によるものです。
次の章では、なぜ「起」が「走」と「己」から成り立っているのか、その意味と由来を詳しく見ていきます。
※部首「にょう」に関しては、「えんにょう」についても書いています。
「起」の成り立ち
「起」は、「走」と「己」から成り立つ漢字(形声)です。
「己」は、伏せたものが次第に起き上がって、はっきりした姿を表す様子を示す象徴的な符号です。
「伏せたものが立ち上がって、目立つ印を表す」イメージです。
「走」は、足の動作ですから、この二つが組み合わさることで、「起」は、伏せたものが立ち上がって、はっきりと姿を表す状況を示します。
また、篆文において、「起の旧字」(己が巳)=「巳+走」(会意)という解釈があったようです。
巳は胎児の形で、「始まり」「始まる」というイメージを示します。
ここから、「起の旧字」(己が巳)は、物事のおこり始め、あるいは、動作をおこし始めることを示すそうです。
ただ、上述の考え方が優勢になったため、「起の旧字」(己が巳)の字体が、現在の「起」に変わった経緯があるとのことです。
いずれの解釈にせよ、「起」には、行動に移る・動き出すというニュアンスが込められています。
部首が「走」になるのも、この成り立ちによるものです。
「起」は意味の上でも字形の上でも、「動き」を表す「走」を中心に構成された漢字であり、そのため辞書では走部に分類されるのです。
「走」が部首になるときの意味(走部の特徴)
この部首「走」は、「足」を表す「止」に、「両手を振って走っている人」の絵を組み合わせて生まれました。
上記の古代文字を見ると、よく分かると思います。
なお、「走」は単体では「走る」を意味する漢字ですが、部首として用いられる場合は、「ある方向に移動する」ことを表します。
即ち、ある地点から別の地点へ移ることや、静止した状態から行動へ移ることを表す場合が多く、「進む」「移る」「変化する」といったニュアンスを含みます。
今回題材の「起」を見てもわかるように、「走」という部首でも、「速い」「急ぐ」といった意味合いはないのです。
そのため、物理的な移動だけでなく、状況や段階が変わることを示す語にも用いられます。
このように、「走」は部首になることで、物事が前へ進むイメージを漢字に与える役割を果たします。
走部の漢字をひとまとまりとして捉えると、個々の意味の違いだけでなく、部首が担う意味の方向性が理解しやすくなるでしょう。
「走」を部首にもつ仲間の漢字
今、述べたように、「走」を部首にもつ漢字は、移動・進行・変化といったイメージを共通して持っています。
ここでは代表的なものを、意味が分かりやすい形で整理します。
| 漢字 | 音読み | 意味 |
|---|---|---|
| 起 | キ | 動き出す、立ち上がる |
| 越 | エツ | 越える、境界を超える |
| 超 | チョウ | 飛び越える、基準を上回る |
| 赴 | フ | 目的地へ向かう |
| 趨 | スウ | 急いで向かう |
これらの漢字に共通するのは、「その場にとどまらず、別の状態や場所へ移る」という点です。
「越」や「超」は境界を超える動きを表し、「赴」や「趨」は目的をもって進む様子を示します。
「起」は、これらの中でも動きの出発点を表す漢字といえます。
物事が始まる、行動に移るといった意味は、走部がもつ「進行」「変化」のイメージと自然につながっています。
このように、走部の漢字をまとめて見ると、個々の意味の違いだけでなく、部首によって形成された意味のまとまりが理解しやすくなります。
※「超える」「越える」の違いについて記事を書いています。
「起」の部首でよくある勘違い
「起」の部首で最も多い勘違いは、上の「己」が部首だと思ってしまうことです。
漢字の部首は、意味ではなく字形のまとまりによって判断されます。
「起」は上下に分かれて見える構造のため、視覚的に目立つ上部の「己」に注目してしまいがちですが、辞書上では下の「走」が部首として扱われています。
これは、「起」が「走」+「己」という構造をもつ漢字であり、字全体の骨格を成しているのが「走」だからです。
部首を判断する際は、「どの部分が意味を表しているか」ではなく、どの部分が字形として中心になっているかを見ることが重要です。
まとめ
「起」の部首は「走(走部)」です。
漢字の部首は意味ではなく、字形のまとまりによって決められるため、「起」は上の「己」ではなく、下の「走」が部首として扱われます。
「走」は部首になると、移動・進行・変化といった動きのイメージを担い、「起」もその一例として「動き出す」「物事が始まる」意味を表しています。
成り立ちと部首の役割を分けて理解すると、「起」がなぜ走部に属するのかが、自然に腑に落ちるでしょう。
参考
上級漢和辞典 漢字源 学研
部首ときあかし辞典 研究社
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。












60爺



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