原に旧字体はある?結論は「ない」|異体字の厡・𠩤との違いも解説
「原」に旧字体はあるのか。
結論からいうと、原に旧字体はありません。
ネット上では「原には旧字がある」「厡が旧字体だ」などの説明を見かけますが、これは旧字体と異体字を混同したものです。
実際には、「原」には旧字体はなく、関連して挙げられるのは、異体字の「厡」「𠩤」です。
この記事では、「原」に旧字体がない理由を明確にしたうえで、異体字との違いや、実務での扱いまで整理します。
原に旧字体はある?【結論】
原に旧字体はありません。
これは、「国⇔國」や「広⇔廣」のように、『戦後の字体整理で別の旧来字体から置き換えられた関係が「原」には存在しない』という意味です。
つまり、「原の旧字は何か」と聞かれた場合の答えは、「原に旧字体はない」になります。
ただし、「原」には異体字として扱われる字形があり、それが「厡」「𠩤」です。
「原に旧字がある」と言われる理由
「原に旧字がある」と誤解されやすいのは、主に3つの理由があります。
- 厡のような字を見て、古い字体だと思ってしまうため
- 旧字体と異体字の違いが、一般にはわかりにくいため
- ネット記事の中に、両者を区別せず説明しているものがあるため
特に大きいのは、「古そうな字=旧字体」という思い込みです。
しかし実際には、古く見える字であっても、旧字体ではなく異体字に分類されるケースは少なくありません。
「原」もまさにその例です。
原の異体字は「厡」と「𠩤」
「原」に関連して挙げられる字として、よく知られているのが次の2つです。
- 厡
- 𠩤
いずれも現在の標準表記ではありませんが、字形の違いとして存在が確認できるため、「原の異体字」として説明されます。
厡とはどんな字か

「厡」は、「原」と関係のある別字形として扱われる字です。
「がんだれ(厂)」の中に「泉」が入った漢字です。
見た目が古風なので、「これが原の旧字体ではないか」と思われがちですが、そうではありません。
あくまで、旧字体ではなく異体字の側に入る字として見るのが適切です。
この字はUnicodeでも U+53A1 として符号化されています。
つまり、文字情報としては確かに存在する字ですが、だからといって「原の正式な旧字体」という意味にはなりません。
ここは、重要なポイントです。
「Unicodeにある」ことと、「旧字体である」ことは別問題だからです。
𠩤とはどんな字か

「𠩤」も、「原」と関係づけられる字形の一つです。
「がんだれ(厂)」の中に「日」と「小」が入った漢字です。
Unicodeでは U+20A64 に収録されていますが、一般的な環境では表示できない場合もあります。
この字もまた、旧字体ではなく、古い字形・関連字形としての異体字と見るのが適切です。
なぜ「旧字体」ではないのか
「旧字体」とは、現在の通用字体に対応する歴史的に正式な旧来字体を指します。
一方、「厡」や「𠩤」は、そうした対応関係が明確に定まっているわけではありません。
そのため、「原には旧字体はないが、異体字は存在する」という整理が最も正確です。
※旧字がなく、異体字のある漢字には、たとえば、「子」「崎」があります。
旧字体と異体字の違い
この2つの違いを押さえると、「原」の位置づけがはっきりします。
- 旧字体
戦後の字体整理以前に使われていた、現在の通用字体に対応する旧来の字体 - 異体字
同じ漢字の中で生じる字形の違いを広く含む概念(旧字体や略字も含む)
文化庁の資料でも、「學」と「学」、「櫻」と「桜」などは異体字の関係とされています。
つまり、整理としては、異体字という大きな枠の中に旧字体も含まれると考えるのが正確です。
そのうえで、「原」の場合は、旧字体は存在せず、異体字のみがあるという位置づけになります。
名前や戸籍で「原」の異体字はどう扱われる?
「原」の異体字である「厡」「𠩤」は、見た目は似ていますが、名前や戸籍での扱いは大きく異なります。
まず、重要な点として、これら2つの字はいずれも人名用漢字ではありません。
そのため、名(下の名前)として新たに使用することはできません。
一方で、姓(苗字)については事情が異なります。
既に、戸籍に登録されている場合には、そのままの字形で使用が認められるケースがあります。
実際に、「𠩤岡(はらおか)」という苗字の存在も確認されています。
このような例は、過去の字形がそのまま姓として引き継がれているケースと考えられます。
ただし、「𠩤」はUnicode上には存在するものの、環境によっては表示できないことがあるため、日常生活では扱いにくい場面も少なくありません。
そのため、実務的には「原」を使うのが基本であり、異体字は例外的な存在として理解しておくのが適切です。
パソコンやスマホで厡・𠩤は使える?
「厡」「𠩤」は、共に、環境依存文字であるので、環境によって文字化けなどが発生する可能性も考えた方がいいです。
ともあれ、パソコン及びスマホで、この異体字を出せるか簡単に見てみました。
パソコン
Windows11(IME)上で、文字変換で「厡」「𠩤」が出せるか試してみました。
「はら」では、ダメでした。

ですが、「げん」でやったところ、「厡」が変換候補に現れました。

次に、unicode変換ですが、これで行うと、「厡」「𠩤」ともに、表示できました。
「𠩤」(20A64)を例に、手順を示します。
日本語(ローマ字変換)で、「20A64」と入力します。

ご覧のように、「20ア64」となっても気にせずに、F5キーを押しましょう。
すると、変換候補に、「𠩤」が出てきますので、クリックします。

「𠩤」が入力できました。

スマホ
スマホ(Android、iPhone)で、文字変換(「はら」「げん」)で試してみましたが、両者とも出てきませんね。
どうしても出したいときは、コピー&ペーストで対応しましょう。
テプラ
環境依存文字ですので、「厡」「𠩤」とも、上位機種から下位機種まで出すことは出来ません。
どうしても、テープに印刷したい場合は、パソコン接続できる機種で実施するしか方法がないようです。
まとめ
原に旧字体はありません。
「厡」や「𠩤」は見慣れない字なので、旧字のように見えるかもしれませんが、整理としては旧字体ではなく異体字です。
このテーマで大切なのは、旧字体と異体字を混同しないことです。
「原の旧字は?」と聞かれたら、まずは「旧字体はない」と答える。
そのうえで、「関連する異体字として厡・𠩤がある」と補足すると、最も正確でわかりやすい説明になります。
参考資料
- 文化庁「常用漢字表の字体・字形に関する指針(Q&A)」:旧字体と異体字の関係(異体字の中に旧字体が含まれる考え方)を確認できる資料
- 漢字ペディア「原」:「原」は常用漢字として掲載されており、旧字欄が付く漢字のような形では示されていません
- Unicode CJK Unified Ideographs Code Chart:「厡」(U+53A1)が符号化されていることを確認できます。
- Unicode Technical Note #43:「𠩤」(U+20A64)が「原」と関係づけられる字形として確認できます
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。











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