今の旧字はあるのか?その存在と異体字の出し方も含め追いかける
「今」という漢字には旧字があるのか?……そんな素朴な疑問を持つ人は少なくありません。
日常的に使う字でありながら、「今 旧字」と検索すると、旧字の他に異体字が絡み、意外に奥深い世界が広がっているようです。
旧字を持つ漢字は、そこそこ存在しますが、「今」には存在するのでしょうか。
本記事では、まず「今」の基本情報として、読み方・意味・成り立ちをシンプルに整理し、どのように現在の字体へ落ち着いたのかを確認します。
そのうえで、旧字の存在を確認し、もし、旧字がないようでしたら異体字を調べ、パソコン・スマホ・テプラそれぞれで機器で、どう出すのか分かりやすく紹介します。
フォント依存についても併せて触れるので、是非、参考にしてください。
今の旧字はあるのか
始めに、「今」という漢字に旧字はあるのかどうかをお見せしましょう。
今に旧字はない
いつも使用している「上級漢和辞典 漢字源」を確認しましたが、「今」には旧字がありませんね。

「今」の基本情報は次の通りです。
| 部首 | 人(亻、𠆢) |
| 画数 | 4画 |
| 音読み | コン、キン |
| 訓読み | いま |
| 意味 | ①いま。現在 ②いま・に。まもなく。そのうち、きっと ③「もし~ならば」順接の仮定条件の意を示す ④姓の一つ |
「今」の部首は「人」部の冠に当たる「𠆢(ひとやね)」です。
「人」部では、偏である「亻(にんべん)」が有名ですが、「𠆢(ひとやね)」も、その仲間なのです。
音読みは、「昨今(サッコン)」などに使われる「コン」と、「今上(キンジョウ)」と読む際の「キン」ですね。
訓読み「いま」に関しては、意味にあるように、ご説明申し上げることはありません。
③の意ですが、「孟子」の中に、「今有殺人者(もし、ここに人を殺したものがいるならば)」という例が載っています。
今の成り立ち
「今」の漢字は、「𠆢(ふた、覆い)」+「一(ある物)」で構成された会意(既存の複数の漢字を組み合わせて作られた)文字です。
物に蓋をかぶせて抑え込む状況を表します。
動くものを取り押さえて瞬間的に捕まえることを暗示させ、「いま」という時間を示すのです。
※今まで、たくさんの漢字の旧字を見てきましたが、旧字のない漢字をいくつか紹介します。
よろしければ、ご覧ください。
今の異体字
「今」は旧字がない漢字ですが、異体字がひとつ存在します。

標準字体の「ラ」の部分が「テ」になっています。
画数は5画で、読み・意味は「今」と全く同じです。
但し、この漢字は環境依存文字ですので、環境(OS、フォント)により正しく表示されない場合がありますので注意が必要です。
この異体字について少し、考察をしてみましょう。
まず、厚生労働省にある「異体字検索漢字リスト」というサイトには「今」が出てきません。
西の異体字を見た際、下記のように、フォントによって文字が変わるという現象に出会いました。

今の異体字を同じフォントで確認しました。

「今」の異体字は、フォントに影響されないようです。
他にも、いくつかの記事で触れたフォントで行いましたが、問題なく出ますね。

「今」の異体字は、フォントに影響されないようですが、OSが変わった場合など、表示されない可能性は残ります。
Xで見つけた「今」の異体字です。
今の異体字「𫝆」の出し方
この章では、今の異体字「𫝆」の出し方をパソコン、スマホ、テプラで見ていきます。
環境依存文字なので、スマホやテプラでは出せない可能性が高いですが……。
パソコンで「𫝆」の出し方
パソコン(Windows)では、文字変換では「𫝆」は出せないようです。
「いま」「こん」で変換キーを押しても、変換候補に異体字は現れませんでした。
また、手書きで「今」を出しても、異体字の挿入がグレー表示となっており、この方法も使えません。
そのため、Unicodeを使って出しましょう。
- 日本語で「2B746」入力
- 日本語で「2B746」と入力します。
右図のように「2b746」でも構いません。

- F5キー押下、「𫝆」クリック
- F5キーを押すと、変換対象に「𫝆」が出るので選択します。

- 「𫝆」入力完了
- 「𫝆」が入力できました。

Unicodeでやると、簡単に、「𫝆」が出せます。
注意点は、日本語でコードを入力し、F5キーを押す点(変換キーではない)です。
もう一つのやり方は、「𫝆」をコピー&ペーストする方法です。
この方法は、「両矢印の出し方は?パソコンではunicodeによる方法が使えるよ」を参照ください。
スマホで「𫝆」の出し方
スマホでは、「今」の異体字「𫝆」が登録されていないようです。
そのため、スマホに「𫝆」を出すには、次の方法をとるしかなさそうです。
- サイトから「𫝆」をコピーして貼り付ける
- 単語リストに登録する方法
これらの方法は、次の記事を参考にしてください。
辻の点一つの出し方をスマホでどのようにやるか手順付きで解説
1.⇒ コピー&貼り付け
2.⇒ 単語リストに登録
「辻」の部分を「𫝆」に置き換えて実行してください。
テプラで「𫝆」の出し方
残念ながら、テプラでも「𫝆」が登録されていません。
最上位機種SR-R980、上位機種SR750の取扱説明書を見ても「𫝆」がありませんでした。
どうしても出したい場合は、パソコンに接続できる機器を購入するしかないです。
こちらは、上位機種SR750です。
こちらは、パソコン/スマホ接続用専用テプラです。
どんな文字も印刷出来ちゃいます。
最後に
「今」という漢字に旧字が存在するのかを確認してきました。
しかし、「今」に旧字は存在しませんでしたね。
たくさんの漢字の旧字を確認してきましたが、「西」や「柳」などと同じ、旧字のない漢字でした。
そこで、異体字を探してみた所、「𫝆」という、一風変わった板字が存在しました。
案の定、環境依存文字でありましたが、パソコンではUnicodeを使用することで表示できました。
スマホでは、コピー&ペーストするか単語登録するかの2択、テプラでは、パソコン接続が可能な機器でないと出せませんでした。
参考資料
上級漢和辞典 漢字源 学研
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。








60爺



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