九十九の読み方は「つくも」?由来や九十九神・苗字について解説
「九十九」は、「つくも」と読むことがあります。
数字の99なら「くじゅうく」と読みますが、なぜ「九十九」の三文字で「つくも」と読むのでしょうか。
「つくも」という読み方には、水辺に生える植物「フトイ」や、年を取った女性の白髪を表す「九十九髪(つくもがみ)」が関係しています。
この記事では、「九十九」の読み方と由来をはじめ、「九十九神」や苗字・地名での読み方、「九十九折」の読み方と意味について解説します。
九十九の読み方は「つくも」と「くじゅうく」
「九十九」には、「つくも」と「くじゅうく」という読み方があります。
「くじゅうく」は、数字の99を表す一般的な読み方です。
一方、「つくも」は、「九十九」の三文字をまとめて読む特殊な読み方です。
「つくも」は、「九十九髪(つくもがみ)」の略として使われるほか、水辺に生える植物「フトイ(太藺)」の古い呼び名でもあります。
なぜ「九十九」を「つくも」と読むのかは、次の章で詳しく見ていきましょう。
なお、「九十九」が含まれる言葉を、すべて「つくも」と読むわけではありません。
たとえば、「九十九折」は「つづらおり」と読みます。
なぜ「九十九」を「つくも」と読む?由来を解説
「九十九」を「つくも」と読む由来には、「フトイ」という植物や「九十九髪(つくもがみ)」が関係しています。
「つくも」は、もともと池などの水辺に生える「フトイ(太藺)」という植物の古い呼び名です。
フトイは高さ2メートル近くになることもあり、太くて枝葉のない茎が密集して生えます。
『難読漢字ときあかし辞典』では、フトイの茎が伸びる様子を年を取った女性の白髪にたとえて、「つくもがみ」と呼ぶようになったと説明されています。
そして、「百」から「一」を取り去ると「白」のような形になることから、年を取った女性の白髪を「九十九髪」と書き表すようになり、後に「九十九」だけでも「つくも」と読むようになったとされています。
一方、辞書によっては、「九十九髪」の由来について複数の説が紹介されています。
白髪が水草の「つくも」に似ていることに由来するという説のほか、「百」に一つ足りない「九十九」を老齢に結び付け、「百」の字に一画足りない「白」を白髪に結び付けたとする説もあります。
そのため、「九十九=つくも」の由来は一つに断定せず、「つくも」という植物名と「九十九髪」という言葉が関係していると捉えるのがよいでしょう。
九十九髪とは
「九十九髪」は「つくもがみ」と読み、年を取った女性の白髪、またはその女性を表す言葉です。
「九十九(つくも)」という読み方と深く関係する言葉ですが、古い器物が妖怪となった「九十九神(つくもがみ)」とは意味が異なります。
「九十九神」については、次の章で解説します。
無花果を『いちじく』と読む理由はこちらで解説しています。
九十九神とは?
「九十九神」は「つくもがみ」と読み、「付喪神」とも表記されます。
『日本妖怪大事典』では、室町時代に描かれた『付喪神絵巻』について、長い年月を経た器物が精霊を得て、人を惑わす存在になるという内容が紹介されています。
絵巻では、煤払いの際に捨てられた器物が妖怪となり、物を粗末に扱った人間に仕返しをする物語が描かれています。
また、古くなった器物や道具が化けるという話は、『付喪神絵巻』だけに見られるものではありません。
民俗資料にも、すりこぎやしゃもじ、枕、布団などの器物や道具が化けた話が残されています。
なお、「九十九神」と前章で紹介した「九十九髪」は、どちらも「つくもがみ」と読みますが、意味は異なります。
「九十九髪」は年を取った女性の白髪を表す言葉で、「九十九神」は古い器物が妖怪となる考えと結び付いた言葉です。
「九十九」という苗字の読み方
「九十九」は、苗字では「つくも」と読みます。
「九十九」と書いて「つくも」と読むため、初めて見ると「くじゅうく」と読んでしまうかもしれません。
日本姓氏語源辞典によると、「九十九」という苗字は全国に約800人いるとされています。
苗字の由来については、数字の「九十九」によるものや、石川県の九十九湾に由来するものなどが挙げられています。
そのため、前章までに紹介した「九十九髪」や「九十九神」が苗字の由来であると考えるのは適切ではありません。
「九十九=つくも」という言葉の由来と、苗字としての「九十九」の由来は、分けて考えた方がよいでしょう。
また、「九十九(つくも)」という読み方は、苗字だけでなく地名などにも見られます。
次の章では、「九十九」を「つくも」と読む地名の例を紹介します。
「九十九(つくも)」と読む地名もある
こやまひろ, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
南東から撮影した九十九山
「九十九」を「つくも」と読む例は、苗字だけでなく地名などにも見られます。
たとえば、群馬県前橋市富士見町原之郷に「九十九山」があります。
また、福井市には「九十九橋(つくもばし)」があります。
ただし、地名に「九十九」が含まれていても、必ず「つくも」と読むわけではありません。
千葉県の「九十九里浜」は「くじゅうくりはま」と読みます。
このように、「九十九」は地名などでも「つくも」と読む例がありますが、読み方は一つではありません。
九十九折の読み方は「つづらおり」
「九十九折」は「つづらおり」と読みます。
「九十九」を「つくも」と読むことから、「つくもおり」と読みたくなるかもしれませんが、「九十九折」は「つづらおり」です。
「九十九折り」と送り仮名を付けて表記することもあります。
九十九折とは?意味を解説
「九十九折」とは、幾重にも折れ曲がって続く坂道や山道などを表す言葉です。
「つづら」は、つる性の植物であるツヅラフジを指します。
ツヅラフジのつるが曲がりくねっていることから、何度も折れ曲がって続く坂道などを「つづらおり」と呼びます。
「つづらおり」は「葛折」と書くほか、「九十九折」とも表記します。
「九十九」という表記でも、この言葉では「つくもおり」ではなく「つづらおり」と読む点に注意しましょう。
まとめ
「九十九」は、数字の99を表す場合は「くじゅうく」、特殊な読み方では「つくも」と読みます。
「つくも」はフトイの古い呼び名で、「九十九髪(つくもがみ)」の略としても使われます。
また、「九十九神」は「つくもがみ」と読み、苗字や地名にも「九十九」を「つくも」と読む例があります。
一方、「九十九折」は「つづらおり」と読みます。
同じ「九十九」という表記でも、言葉によって読み方が異なるため、それぞれの読み方を確認することが大切です。








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