aの上に点のある文字って何?その意味から出し方までを総特集
アルファベットの「a」の上に小さな点がちょこんとついた文字を、見かけたことはありませんか?
英語ではお目にかかりませんが、たとえば、スウェーデン語やドイツ語などで登場するため、「これって何?どう読むの?」と疑問に思う人は少なくないと思います。
実際、この「aの上に点のある文字」は、ただの装飾ではなく、発音や意味を区別するために大切な役割を担っているのです。
この記事では、その成り立ちや意味、実際の発音の違いをわかりやすく紹介します。
合わせて、パソコンやスマホでどうやって入力するのかという実用的な方法も総特集します。
身近な文字のようでいて、実は国や文化を映す鏡でもある「aの上に点」の世界を、一緒にのぞいてみましょう。
aの上に点のある文字
aの上に点のあるアルファベット、英語では出会うことはありませんが、他の国の言語には登場します。
これらの文字は言語によって異なりますが、たとえば、点が1つの場合は「á(アキュート・アクセント)」や「ā(マクロン)」、2つの場合は「ä(ウムラウト)」などが考えられます。
どの記号を指しているかによって、入力方法や意味が異なりますので注意が必要です。
文字の種類
「aの上に点のある文字」と一口にいっても、その種類は意外に多く存在します。
aの上に点のある文字の中でも、ウムラウト(ä)は学校教育やドイツ語の人名・地名を通じて触れる機会が多い文字です。
それ以外にも、ȧ、å、á、à、â、ã など、世界中の言語に多様な形で使われています。
ここで大切なのは、「点」と呼ばれる記号が、必ずしも同じ意味を持つわけではないということです。
狭義での文字
狭い意味で「点」といえば、ウムラウトの ä や、単純なドットを上につけた ȧ が挙げられます。
これらは発音を変化させるための記号であり、単なる装飾ではありません。
たとえば、ドイツ語の「a」と「ä」は別の母音として扱われ、単語の意味も変わることがあります。
広義での文字
一方で広義には、「点」に見えるものとして å(丸が小さく点に見える)や、アクセント記号を伴った á, à, â, ã なども含められます。
これらは見た目に違いがあるものの、いずれも「aの上に印が付加された文字」であり、外国語における発音の区別や強調を示す重要な役割を担っています。
つまり「aの上に点がある文字」とは、言語ごとに異なる発音や意味をもたらすダイアクリティカルマーク(発音区別符号)付きの「a」の総称と言えます。
次章では、それぞれの文字がどんな場面で使われ、どんな音を表すのかを具体的に見ていきましょう。
aの上に点のある文字の種類と意味
「aの上に点のある文字」といっても、実際にはいくつかのバリエーションがあります。
記号 | 名称 | 例 | |
---|---|---|---|
¨ | ウムラウト | ä | ドイツ語・北欧語で母音変化 |
˙ | ドットアバブ | ȧ | 学術・歴史的に登場 |
˚ | リングアバブ | å | ウェーデン語などで「オー」音 |
´ | アキュートアクセント | á | 強勢や長母音(スペイン語など) |
` | グレーヴアクセント | à | 母音区別(フランス語など) |
ˆ | サーカムフレックス | â | 母音の長さや消失音を示す |
̃ | チルダ | ã | 鼻母音(ポルトガル語など) |
それぞれの記号は単なる装飾ではなく、発音や意味を区別するための大切な役割を果たしています。
ここでは代表的な文字と、その意味を順に見ていきましょう。
ä(ウムラウト)
英語ではダイエレシス、スペイン語ではクレマ(Crema)、フランス語ではトレマ(Trema)と呼ばれます。
ドイツ語やスウェーデン語、フィンランド語で使われる文字です。
ドイツ語では「a」とは異なり、「ア」と「エ」の中間の音を示します。
たとえば、「Mann(男)」と「Männer(男たち)」のように、母音の違いで単語の意味そのものが変化します。
ȧ(ドット・アバブ)
aの真上に小さな点をつけた文字で、マルタ語や古いアイルランド語で使用されました。
現代の日常使用は少なく、主に歴史的資料や言語学の分野で目にする特殊な形です。
å(リング・アバブ)
一見、「点」に見える丸を上に添えた文字です。
スウェーデン語やノルウェー語、デンマーク語で使われ、発音は「オー」に近い音になります。
地名「Ångström(オングストローム)」や人名「Åsa」などでよく登場します。
※このリング・アバブについては、次の記事に詳しいです。
⇒ aの上に丸と書く「Å」!読み方と意味・出し方まで総特集
á(アキュート・アクセント)
スペイン語、チェコ語、ハンガリー語、フランス語などに見られ、強勢を置く位置や母音の長さを示します。
スペイン語ではアセント(Acento)、フランス語ではアクサンテギュ (Accent Aigu) と呼ばれます。
たとえば、「papa」と「papá」では、アクセントの有無で意味が変わります。
前者は「ポテト、法王」(随分違う!)、後者は「お父さん」を表すそうです。
à(グレイヴ・アクセント)
イタリア語ではアッチェント・グラーベ (Accento Grave)、フランス語ではアクサン・グラーブ(Accent Grave)、ポルトガル語ではアセント・グラーヴィ(Acento Grave)と呼び、母音を区別するために使われます。
フランス語では「a(動詞 avoir の三人称)」と「à(前置詞のア)」のように、文法上の区別に不可欠な役割を果たします。
â(サーカムフレックス)
スペイン語ではアセント(Acento)、フランス語ではアクサンシルコンフレックス (Accent Circonflexe) と呼び、母音の長さや消失した子音の痕跡を表します。
たとえば、フランス語の「forêt(森)」は、もともと「forest」と綴られていた名残を示しています。
ã(チルダ)
ティルデやチルドとも呼ばれる波線の形をした文字で、母音を鼻にかけて発音する「鼻母音」を表します。
「pão(パン)」のãは、単純なaでは表せない独特の響きを持っています。
このように「aの上に点のある文字」とひとくちに言っても、その種類や意味は多彩です。
次の章では、これらの文字がどんな場面で使われているのか、具体的な人名や地名の例を通して紹介していきましょう。
どんな場面で使われるのか
既に述べた「aの上に点のある文字」が、どんな場面で使われているのか見ていきましょう。
人名・地名
まず、最も身近な場面は 人名や地名です。
例えば、ドイツ語圏では「Müller(ミュラー)」や「Jäger(イェーガー)」のようにウムラウト付きの文字が普通に登場します。
また、北欧の地名では「Åsa(オーサ)」や「Ålesund(オーサルスンド)」のようにリング・アバブ付きの文字が使われ、正確に表記することで意味や発音が保持されます。
「Å」という村があることは、先程のaの上に丸と書く「Å」の記事でも触れています!
外国語の文章・外来語
次に、「外国語の文章や外来語」でも活躍します。
スペイン語の「si(もし~なら)」と「sí (はい)」のように、アクセントの有無で意味が変わる単語が多数存在します。
フランス語では「à」は前置詞として「に・へ」を示すのに対し、単なる「a」は動詞の形になるなど、アクセント記号が文法上の区別にも関わる場合があります。
日本の「パン」の元になった、ポルトガル語の「pão(パォン)」のãは鼻母音を表すため、発音を正しく伝える上で欠かせません。
学術用語・ブランド名・計測単位
また、学術用語やブランド名、計測単位でも使用されます。
物理学では「Ångström(オングストローム)」(aの上に丸と書く「Å」)という長さの単位にリング付きのaが登場します。
ドイツや北欧のブランド名(ex.Ä:エィス)でもウムラウトやリング付き文字が頻出します。
これらは、正しい表記をすることでブランドの名称や学術用語としての意味が正確に伝わります。
教育・語学学習
さらに、教育や語学学習の場面でも見かけます。
外国語の教科書や辞書では、これらの文字が正確に示されることで、発音や意味を正しく学ぶことができます。
つまり、単なる装飾ではなく、コミュニケーションの正確さを保つ重要な文字なのです。
こうして見ると、aの上に点のある文字は、言語・文化・学術・教育のさまざまな場面で使われ、正しい表記が情報の正確な伝達に直結していることがわかります。
aの上に点のある文字の出し方(パソコン)
この章では、パソコンでの、aの上に点のある文字の出し方をみて参ります。
パソコン(Windows IME)では、いくつかの方法があります。
- 文字変換による出し方
- IMEパッドを使う出し方
- Unicodeによる出し方
これらの出し方を順に紹介します。
文字変換による出し方
メモ帳や、ブラウザなど、文字入力ができる環境で、日本語入力の状態で、「Shiftキー」を押しながら「A」キーを押します。

変換キーを押していくと、候補の中に、上記で紹介したaの上に点のある文字が表示されるので、必要な文字をクリックしましょう。



IMEパッドを使う方法
今度は、IMEパッドを使う出し方です。
右下にある、この部分を右クリックします。



メニューが表示されるので、IMEパッドをクリックします。



IMEパッドが表示されるので、文字一覧をクリックします。



ラテン1補助をクリックします。



aの上に点のある文字が表示されるので、必要な文字をクリックしましょう。



Unicodeによる出し方
最後にUnicodeによる出し方を紹介します。
名称 | 記号 | Unicode |
---|---|---|
ウムラウト | ä | 00E4 |
ドットアバブ | ż | 017C |
リングアバブ | å | 00E5 |
アキュートアクセント | á | 00E1 |
グレーヴアクセント | à | 00E0 |
サーカムフレックス | â | 00E2 |
チルダ | ã | 00E3 |
Unicodeによる出し方の例(ä)を示します。
日本語入力音で、Unicodeを入力します。



上記のように「00え4」となっても気にしないでください。
F5キーを押します。



候補が現れるので、「ä」を選択します。



「ä」が入力できました。
Macでの入力
おまけとして、Macでの入力について触れておきます。
Macユーザガイドに紹介されている方法があるので参照下さい。
※パソコンで、記号や特殊な文字などの出し方をまとめた記事をアップしています。
⇒ パソコンで「記号」や「カナ」の出し方!わかってしまえばみんな簡単
aの上に点のある文字の出し方(スマホ)
ここでは、スマホでのaの上に点のある文字の出し方です。
検索窓で、英文字で「a」と入力し、変換候補をタップします。



変換候補から、必要な文字をタップしましょう。



スマホだと、上につく説明があるので選択がたやすいですね。
aの上に点のある文字の出し方(テプラ)
テプラでは、「記号」の中の「欧州」にaの上に点のある文字が収納されています。
TEPRA PRO SR300で、それらの文字の出し方の手順を紹介します。
まず、「記号・絵」ボタンを押します。



他の機種では、「記号」という名称になっているかもしれませんので、取説を確認してください。
- 「記号」を選択
- 「記号・絵」画面となるので、「記号」を選んで
ボタンを押します。



- 「欧州」を選択
- 「記号」画面となるので、「欧州」を選んで
ボタンを押します。



- 該当の記号を選択する
- 表示されるアルファベットの上に点がある文字が表れるので、該当の記号を選んで
ボタンを押します。



TEPRAでは、文字変換でなく記号>欧州の中に、アルファベットの上に点がある文字が入っています。
※テプラで「記号」や「カナ」の出し方の一覧を記事にしています。
⇒ テプラで「記号」「カナ」「特殊記号」の出し方!全部まとめて総特集
最後に
「aの上に点のある文字」は、ウムラウト(ä)やアキュート・アクセント(á)、リング付きのa(å)など、多様な種類が存在し、それぞれ発音や意味を区別する重要な役割を持っていました。
ドイツ語・北欧語・スペイン語・フランス語・ポルトガル語などで人名や地名、単語の意味や文法を正確に伝えるために使われ、学術用語やブランド名にも登場します。
正しい表記や入力方法を知ることで、国際的な文章や外国語学習において正確なコミュニケーションが可能となります。
今回の記事では、これらの「aの上に点のある文字」をパソコン・スマホなどで入力する方法に言及しましたが、その方法を用いれば、意外と簡単に、これらの文字を入力できましたね。
参考
世界大百科事典(平凡社)
Amtliches Regelwerk des Rats für deutsche Rechtschreibung(公式正書法規定)
“27/1 diacrítica – DIACRÍTICA”(言語学雑誌記事)
アキュート・アクセント|ウィキペディア
グレイヴ・アクセント|ウィキペディア
青空文庫テキストへの「アクセント分解」の適用
CyberLibrarian:文字(ラテン特殊文字)
アクセント符号・発音区別符号付き文字をコピペで入力する
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