さんずいに寿と書いて涛!意味・読み方から苗字での使われ方まで総特集

2023年4月28日

パソコンで「どとうのごとく」と入力して変換を押下すると「怒涛の如く」「怒濤の如く」が候補として表示されます。

問題は、この「とう」の部分で変換される漢字なんですが、「涛」と「濤」の異なった漢字ですね。

60爺

これは、さんずいの漢字シリーズに格好の対象じゃないですか!

60爺の進めているシリーズは、現在「木へんに○○」「草冠に○○」「さんずいに○○」の3つです。この形で行くなら、最初の漢字が「さんずいに寿」でピッタリとフィットします。

そこで、さんずいに寿の「涛」について、いつも通りに、意味・読み方から名前での使い方まで突っ込んで調べてみたいと思います。

それでは、ご一緒に内容を見ていってください。

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さんずいに寿といえば涛!漢字の読み方や全体像をまずはチェック

最初に、涛の意味と読み方を明確にしましょう。

涛の読み方と意味

画数 :10画
音訓:トウ なみ
意味
①なみ。おおきななみ。うねり。②なみ・だつ。水が風などでうねりをおこす。

参考:上級漢和辞典 漢字源 学研

「涛」の音読みは「トウ」、訓読みは「なみ」ですね。
そして、「涛」は「」の異体字※1なんです。

そして、「JIS83制定」により、略字の「涛」ではなくて旧字の「濤」を使用することが推奨されています。

異体字※
漢字の字体のうち標準字体以外のもの。異体文字、別体字、変体字ともいう。広義の・・・通常は漢字のみをさす。異体字の分類は諸家によりかならずしも一定しないが、(1)略字(字画を省略したもの。暦・歴→厂、幅→巾など)、(2)合字(2字を合成したもの。麻+呂→麿、菩+薩→など)、(3)分字(1字を2字に分割したもの。米→八木など)、(4)古字(古文ともいう。篆(てん)書以前の古体字。礼のように常用漢字に採用されているものもある)、(5)俗字(世間に通用している正式でない字体。曜→など)、(6)譌(か)字(誤字と認められるもの)などが考えられる。

引用 コトバンク 異体字
60爺

そうなんです。「涛」は標準字体ではないんですよ。この漢字は、「濤」の略字なんですね!

意味なんですが2つ持っています。ひとつは「なみ」ですね。もうひとつが、動詞の「なみ・だつ」なんですね。

次に、涛の書き順を示しておきます。

木と寿の書き順そのままです!寿の書き方は大丈夫ですよね。不安がある方は、書き順をご確認くださいね。

ついでと言っては何ですが、標準字体の「濤」の書き順も載せておきます。こちらは難しいぞ。

さんずいの右側の「壽」の画数が多いのでのですが、上から順に書いていけば、間違える箇所はほとんどないのでは。その書き順は、士(4~6)⇒フ(7)⇒エ(8~10)⇒ー(11)⇒口(12~14)⇒寸(15~17)ですね。


もっと詳しく知ろう!涛の漢字としての由来や成り立ち

涛の由来や成り立ちを見ていきますが、これは、標準体の「濤」を見ることになります。

濤=「壽(ジュ)うねうねと長い」+「水(みず)」(形声)

引用 上級漢和辞典 漢字源 学研

類義語に、波と浪及び瀾があります。濤も含めたそれぞれの違いは次の通りです。

波は水面が傾いて生じたなみ。浪は清らかななみ。濤(トウ)は、うねうねと続くうねり。瀾(ラン)は、つぎつぎと続くなみ。

引用 上級漢和辞典 漢字源 学研

次の章では、「涛」のつく言葉を見てみましょう。

涛のつく言葉

涛のつく言葉にはどんなモノがあるでしょうか。涛は異体字であるため、代わりに標準字体である「濤」がつく言葉を一覧にします。

濤のつく言葉読み意味
狂濤キョウトウ⇒狂瀾。荒れくるう大波。
驚濤キョウトウ⇒驚波(キョウハ)。さっとわきかえる荒波。
巨濤きょとう大きな波。大浪。
鯨濤ゲイトウ⇒鯨波(ケ゛イハ・トキ)おおなみ。(トキ)おおぜいの者がいっせいにあげる声。ときの声。
洪濤こうとうおおなみ。洪波。
疾風怒濤しっぷうどとう追い風と大きな波。
松濤しょうとう松風の音を波の音にたとえていう語。
濤声トウセイうねりの音。
濤波トウハ{濤瀾(トウラン)}うねり。
濤瀾トウラン⇒濤波。
60爺

難しいというか、難読漢字の言葉ばっかりみたいに見えてしまいます。

上から6つまでは、「大波」を示しています。が、こういう表現は知りませんでした。

聞いたことがあるようなことばは、「疾風怒濤」位ですかね。「鯨濤」の意味にある鯨波は、歴史小説の戦の場面に出てきますね。

名前に使われる際のポイントは

誠に残念ながら「涛」は、2023年現在、常用漢字・人名用漢字ではないので名前に使うことはできません。

仕方がないので、「涛」の入った苗字を見てみましょう!

最初に、そのものずばりの「涛」という苗字をみてみます。この苗字も、少ないながら存在しているんですよ!

【名字】涛
【読み】おおなみ
【全国順位】 58,762位
【全国人数】 およそ30人

参考資料 名字由来net

「おおなみ」さんですかから。この苗字も聞いたことはないですな!全国で、およそ30人しかいないんですよ。珍しい苗字なんですね。

都道府県別に見てみましょう。

都道府県人数
東京都およそ10人
千葉県およそ10人
愛知県およそ10人
石川県およそ10人

参考資料 名字由来net

4つの都県で全国の人数をオーバーしたのか!?はたまた、他の道府県に少数ながら生息しているのかは、この記録だけではわかりません!

涛に他の文字を付けた苗字です。

荒涛(あらなみ)、井涛(いなみ)、聴涛(きくなみ)、瀬涛(せとう)、田涛(たなみ)、涛崎(とさき,なみざき)、涛岡(なみおか)、涛川(なみかわ)、南涛(なんとう)、波涛(はとう)、波涛崎(はとざき)、藤涛(ふじなみ)、舟涛(ふなと)、松涛(まつなみ)

引用 「涛」を含む名前・人名・苗字(名字)

荒涛(あらなみ)、井涛(いなみ)、聴涛(きくなみ)等のように「なみ」と読ます苗字が多いですね。

瀬涛(せとう)、南涛(なんとう)、波涛(はとう)では「とう」と読ませていますね。また、涛崎(とさき,・・・)、波涛崎(はとざき)、舟涛(ふなと)では「と」と読ませています。

次の章では、異体字について過去に書いた記事を見ていきたいと思います。

ところで異体字についての記事は?

今までに異体字である漢字の記事を書いています。一覧にしましたが、異体字である記事は全部、部首が「木へん」の漢字ですね。

部首+○○漢字読み標準字体
木へんに百カシワ
木へんに会うヒノキ
木へんに戸ハゼ

木へんに百で栢

木へんに百で栢ですが、「かしわ」「かや」と読みます。

標準字体はなんですよ!

柏は、「白」+「木」で、白色を帯びた実のなる木を暗示しているんです。実際に、青白い実の写真を載せている以下の記事をご覧になってください。

木へんに会うで桧

木へんに会うで桧ですが、こちらは「ヒノキ」なんです。

標準字体はなんですよ!

やっぱり、檜は、標準字体の方が馴染みがありますね。

成り立ちなども解説していますので、この記事もご覧になってください。

木へんに戸で枦

木へんに戸で枦ですが、こちらは「ハゼ」なんです。

標準字体はなんですよ!

はぜの木は、その実からろうを採るのだそうです。

花言葉や形態・生態なども解説していますので、次の記事をご覧ください。

最後に

さんずいに寿といえば涛ですが、この漢字について述べてきました。

この漢字は濤の異体字です。濤の略字なんですね。そして、「JIS83制定」により、略字の「涛」ではなくて旧字の「濤」を使用することが推奨されているんですよ。

漢字の書き順は、異体字の方が抜群に簡単でした。標準字体の濤の書き順はよーく見ていくと、それほど難しくはないことが分かりますね!

いやー、漢字を掘り下げていくと面白くて飽きませんね。

※気づけばさんずいの記事も増えてきました

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら