隆の旧字は存在する?その出し方をパソコン・スマホ等でご紹介
「隆」という字を目にすると、少し古風で重厚な印象を受ける人も多いかもしれません。
近年の名付けではあまり見かけなくなりましたが、昭和以前には男性名などで広く使われていた漢字です。
そんな「隆」について、「旧字があるのでは?」「昔の戸籍では別の形だった」という疑問を持つ人が少なくありません。
実際、漢字の多くには新旧の字体が存在するため、「隆」にもそうした別の形があるのか気になるところです。
この記事では、「隆」に旧字が存在するのかどうかを実際の字形資料をもとに整理し、その有無を明らかにします。
さらに、旧字・異体字が存在する場合に、それをパソコンやスマートフォンでどのように表示・入力できるのかも具体的に手順に図を用いてわかりやすく紹介します。
「隆」の旧字
「隆」に旧字は存在するのでしょうか。

「隆」の旧字は存在します。
隆
この漢字、「隆」の生の上に一が追加されたモノです。
この旧字「隆」の基本情報です。
| 部首 | 阝(こざとへん) | 
| 画数 | 11画 | 
| 音読み | リュウ | 
| 訓読み | たか・い、さか・ん | 
| 主な意味 | ①盛り上がっている ②さかんに盛り上がるさま ③力強く盛り上がる ④たかくて、すぐれたもの。 ⑤姓の一つ | 
①の意では、「隆準(盛り上がった鼻柱)」なんて言葉があります。
②では「隆盛」、③では「興隆」などという、威勢が盛んになる言葉がありますね。
その他にも、「隆隆(りゅうりゅう)」:雷や車輪がごろごろと鳴る形容や、「豊隆(ほうりゅう)」という雲や雷を司どる神の名で使われます。
隆隆と聞くと、「筋骨隆隆」のイメージがありますが、ちょっと違う意味ですなあ。
豊隆は、ツボの名前だったり、この名前の神社があることが分かりました。
「隆」と旧字「隆」の書き順を見てみましょう。




「一」が多い分、旧字「隆」の画数が一つ多いのが分かります。
Xにも目を向けてみます。
昔の銭にも旧字で出ています。
幕下の力士にも、四股名「東俊隆」に旧字を使った人が……。
「隆(隆)」の語源
隆=「降(上から下に下る)」+「生(下から上に出る)」で構成される漢字です。
隆の生の上にある「一」は「ヰ」が変わったモノです。
降は、高い所から力をかけて一気に下に下ることで、「↓の方向に下る」イメージです。
生は草の芽が地上に出ることで、「↑の方向に出る」イメージがあります。
ここから、「隆」は、↓の方向に来る力を押し返すように↑の方向に勢いよく出る状況を暗示させる図形なのです。
この意匠によって、「↑の形や∩の形に盛り上がる」イメージを表す漢字となっています。
新字体について
上述の通り、標準字体「隆」は旧字体「隆」の生の上にある一を省略した漢字です。
隆 隆
これって、前回記事にした「徳」(旧字体「德」の心の上にある一を省略した)の省略の仕方と同じですね。
徳 德
※徳の旧字体について書いた記事はこちらです。
※「カテゴリ:漢字の旧字」に収録した漢字の中で、旧字が存在する最近の5記事を紹介します。
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次の章では、旧字「隆」のパソコン・スマホ・テプラでの打ち方を紹介します。
パソコンでの「隆」の出し方
パソコンでは、文字変換とUnicodeによる出し方の2つをご紹介します。
文字変換による「隆」の出し方
それでは、文字変換による「隆」の出し方の手順を紹介します。
変換をかける文字は「りゅう」です。
日本語で「りゅう」と入力します。




「変換」キーを押して変換候補を出します。




「隆」が現れないので「単漢字」をクリックします。




「隆」が出てきたらクリックします。




旧字の「隆」が表示できました。




Unicodeによる「隆」の打ち方
Unicode(4桁)を入力して変換する打ち方です。
Unicodeを知っていれば一発です。
- 「F9DC」入力
- 日本語で「F9DC」と入力します。
 右のように「f9dc」になっても気にしないで大丈夫です。
 F5キーを押します。




- 変換候補「隆」クリック
- 変換候補が現れますので「隆」をクリックします。




- 「隆」入力完了
- 「隆」入力完了です。




日本語でUnicodeを入力してF5キーを押すだけです。
ですが、しばらくすると、Unicodeを忘れちゃうのが難点です!
スマホでの「隆」の打ち方
スマホも文字変換で「隆」を出せます。
60爺のスマホは、OPPO A3 5Gです。
変換をかける文字は、パソコンとは同じく「りゅう」です。
- 「りゅう」入力
- 日本語で「りゅう」と入力します。




- 変換候補をタップ
- 変換候補をタップしましょう。




旧字「隆」が、一番下にあるので、タップしましょう。




- 「隆」入力完了
- 「隆」が入力されました。




スマホも、変換候補の中に旧字「隆」がありました。
テプラでの「隆」の打ち方
始めに、テプラ(TEPRA PRO SR300)で「隆」が打てるか確認しました。
文字変換とJISコードを確認したんですが、残念ながら、両者とも旧字の「隆」は存在しませんでした。
上位機種(ハイスペックのSR-R980及びスタンダードのSR750)でも、取扱説明書で「隆」を検索しましたが、この漢字は登録されていません。
テプラでは、旧字「隆」を出すことは出来ません!
どうしても、テプラで「隆」を出したいなら、パソコン・スマホに接続できる機種で実施するしか方法がありません。
テプラで難しい漢字を入力する方法を紹介した記事があります。
最後に
「隆」には、「隆」という「一」のあるなしという本当にわずかな違いなですが、旧字体が存在します。
この旧字体は、もともと「降」と「生」から構成された漢字で、↓の方向に来る力を押し返すように↑の方向に勢いよく出る状況を暗示させる図形だったこともわかりました。
この旧字の出し方をパソコン・スマホ・テプラで、どのように行うかを手順付きで紹介しました。
パソコン・スマホでは文字変換で出すことができ、パソコンでは、Unicodeでも出せました。
残念ながら、テプラでは、前回記事の「徳」の旧字と同様、上位機種でも、この漢字は用意されていませんでした。
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。
参考資料
・上級漢和辞典 漢字源
・旧字源 瀬谷出版




























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