那は漢字に良くない7つの理由!その内容を厳しく見定めてみたら

名前に用いる漢字には、それぞれの成り立ちや意味、そして、人々が抱く印象が深く関わってきます。

「那(な)」という漢字もその一つです。

ネットをみていくと、「名前に向かない理由」が複数提示されております。

「意味が悪い」「字形が良くない」など、様々な理由がありますが、それらは本当に的を射ているのでしょうか。

本記事では、「那は漢字に良くない」とされる7つの理由を取り上げ、一つひとつを厳しく見定めていきます。

感覚的な意見に流されず、字義、現代における使用実態を踏まえて冷静に検証し、「那」という漢字の本当の価値を明らかにします。

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那という漢字について

最初に、「那」という漢字の意味やイメージを見ていきます。

まずは「那」の基本情報です。

画数7画
音読み
訓読みおお・い、お・いて、いか・ん
なん・ぞ、あれ、あ・の
意味①しなやかなさま
②おお・い。たっぷりとあってだぶついている
③ゆったりとしている
④お・いて。~にとって
⑤い・かん。どうだろうか
⑥なん・ぞ。どうして~か(いや~ではない)
⑦ど・れ。どの。疑問または不定の指示詞
⑧あれ。あの、遠くにある事物を示す
⑨梵語の「ナ」の音訳字

那の音読みは「ナ」で訓読みは、上記の通り、たくさんあります。

意味がたくさんあるものの、特に、悪い意味は持っていないようです。

漢字「那」のイメージ

「那」という漢字は、日本でも古くから地名や人名に広く用いられ、穏やかで柔らかな印象を与える文字です。

まず、音の響きとして「な」は丸みがあり、優しさや親しみを感じさせます。

そのため、女性名に使われることが多く、やわらかく清らかな美しさを象徴するイメージが定着しています。

一方で「那智」「那須」「大和那美」など、歴史ある地名や伝承にも登場することから、古典的で雅やかな雰囲気も持ち合わせています。

その他、意味にもあったように、梵語(古代インド語)の音訳に用いられた漢字で、「那落・支那(しな)・刹那(せつな)・旦那(だんな)」などで用いられています。

意味としては「どこ」「なに」といった指示の要素を持ち、抽象的で奥ゆかしい印象を与えますが、決して薄弱ではなく、広がりや余白を感じさせる性質が特徴です。

また、仏教用語や外来語の音写にも用いられてきた背景から、異国的で神秘的な響きを漂わせる側面もあります。

総じて「那」は、柔らかさと気品、そして深みを併せ持つ漢字として、日本人の美意識に長く寄り添ってきた文字といえるでしょう。

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那が名前に良くないという7つの理由

那という漢字の基本情報初めイメージを見ていただきましたが、特に名付けに向かないという理由はなかったと思います。

しかし、世の中には、那が名前に向かない理由を掲げている方もおり、ネットを巡って、それらの理由を集めてきました。

その数は7つ。

これらの意見に対して、厳しい目線を注ぎ、果たして正しいのかを見定めていきたいと思います。

始めに、否定的意見を7つと、60爺の寸評を一覧にします。

否定的意見60爺の寸評
漢字が縦割れで良くない漢字の多様性や美意識を理解していない個人的な発想にすぎません
疑問を表す意味がある一部の言語用法だけを切り取り「疑問だから不吉」と断じるのは短絡的で、個人の意見でしかありません
キラキラネームになる外国語の発音に寄せたような読み方や、新しい読み方を作ってしまうとキラキラネームと見なされる可能性があります
刹那が短命を予感させるネガティブな一例だけを取り上げて全否定するのは、漢字文化を理解しない浅薄な見方です
男女に共通に使えるので個性がない「共通=没個性」と決めつけるのは、名付けの本質を理解しない短絡的な意見に過ぎません
那落が地獄を連想させる偏見的な連想で価値を否定するのは、漢字文化を狭くするだけです
別漢字との組み合わせによる悪影響組み合わせが「不安定」「不自然」に見えるというのは、主観に過ぎません

7つの意見を確認しましたが、単に、個人の考え方を述べているモノが多数あったように感じました。

個々の否定的意見に対し、細かく見定めた内容をご確認ください。

漢字が縦割れで良くない

「那」は左右に縦割れた構造をしており、「冷たさ」や「厳しさ」を感じさせるので良くないという意見です。
この意見は、底の浅い批判です。

そもそも、漢字の造形は縦横に分かれるものが多く、「朋」「羽」など、縦に割れた形の美しさがむしろ独自の調和を生んでいます。

「那」も同様に、左の「阝」と右の部分がバランスをとり、視覚的に安定しています。

単なる「割れている」見た目だけで価値を下げるのは、漢字の多様性や美意識を理解していない個人的な発想にすぎません。

※楓でも同じような否定的意見がありました。

疑問を表す意味がある

「那」には、「なんぞ?」という疑問を示す意味があり、名前に使うと、「問いかけ」や「反語」のニュアンスが入ってしまうので良くないという意見です。

この意見は、漢字の用法を狭く捉えすぎています。

確かに、中国語では疑問を示す助字として使われますが、それは現代日本語の人名とは無関係です。

日本では「那智」「大和那美」など古代から地名・人名に多く用いられ、清らかさや雅さを備えた響きを評価されてきました。

一部の言語用法だけを切り取り「疑問だから不吉」と断じるのは短絡的で、個人の意見でしかありません。

キラキラネームになる

那は、普通に考えれば、キラキラネームとは縁のない漢字だと思います。

しかし、例として、外国語の発音に寄せたような読み方や、新しい読み方を作ってしまうとキラキラネームと見なされる可能性があります。

下記に、キラキラネームと思われる名付けを拾ってみました。

容深那(いるみな)、宇天那(うてな)、緒比那(おぴな)、佐那(さにゃ)、輝空那(てぃあな)、貞々礼那(ててれな)、琉那(りゅなん)、我具那(ワグナー)

刹那が短命を予感させる

「刹那」という言葉があることから、「短命」や「はかない」というイメージを連想させることがあるので良くないという意見です。

「刹那」に含まれるからといって「那=短命」というのは、あまりにこじつけが過ぎる解釈です。

刹那は仏教用語で「きわめて短い時間」を示す哲学的概念であり、不吉を意味するものではありません。

それを名前に結びつけて「早死に」と解釈するのは、漢字の意味を恣意的に歪めたに過ぎません。

そもそも「那」は地名や人名で長い歴史を持ち、清らかで柔らかな響きを評価されてきました。

ネガティブな一例だけを取り上げて全否定するのは、漢字文化を理解しない浅薄な見方と言わざるを得ません。

男女に共通に使えるので個性がない

性別にかかわらず名前に用いられるため、個別のアイデンティティが感じられにくいので良くないという意見です。

日本の伝統的な名前では、性別が分かりやすい漢字が好まれることもあります。

男女どちらにも使えるから個性がない、というのは筋違いな批判です。

むしろ、「那」は性別を限定せず、幅広い命名の可能性を開く柔軟な漢字です。

現代ではジェンダーレスな名前が好まれ、誰からも自然に受け入れられることがむしろ強みとなります。

さらに、「那美」「那智」「那由多」など、組み合わせ次第で独自性は十分に発揮可能です。

個性を決めるのは漢字単体ではなく、全体の響きや意味づけです。

「共通=没個性」と決めつけるのは、名付けの本質を理解しない短絡的な意見に過ぎません。

那落が地獄を連想させる

「那落」という仏教用語があり、イコール「地獄」を指すことから、「不幸」や「苦しみ」を連想させることがあり、縁起が悪いので良くないという意見です。

「那落」という仏教用語を持ち出して「那=地獄」と結びつけるのは、こじつけに過ぎます。

まず「那落」とはサンスクリット語の音写であり、「那」自体が地獄を意味するわけではありません。

漢字が使われる言葉を切り出して、それ故、その漢字がダメという論法を認めたら、多くの字を排除せねばならなくなります。

偏見的な連想で価値を否定するのは、漢字文化を狭くするだけです。

別漢字との組み合わせによる悪影響

他の漢字と組み合わせる場合、「不安定」や「不自然」なイメージが生じることがあるので良くないという意見です。

組み合わせが「不安定」「不自然」に見えるというのは、主観に過ぎません。

「那美」「那由多」「那智」など歴史的に定着した名前は数多く存在し、むしろ美しく響き、調和のとれた字面として愛されてきました。

違和感があるとすれば、それは漢字そのものではなく、名付ける側の感覚や知識不足によるものでしょう。

どんな漢字も相手次第で印象は変わるのに、「那」だけを特別視して欠点と断じるのは的外れです。

柔軟で多様な組み合わせを可能にするのが「那」の魅力であり、それを「不自然」と片付けるのは浅はかな決めつけです。

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名を名前に使うときのポイント

「那」を名前に用いる際の最大の魅力は、その響きの柔らかさと古典的な美しさです。

「な」という音は日本語において優しく親しみやすく、性別を問わず自然に受け入れられる音です。

そのため、女の子の名では「美」「奈」「香」などと組み合わせて清らかさや可憐さを表現し、男の子の名では「智」「大」「人」などと合わせて落ち着きや力強さを補うと調和が生まれます。

また、「那」は地名や歴史に根付いた使い方が多く、「那智」「那須」「大和那美」など伝統や自然を連想させる点も強みです。

これにより、名前に土地の豊かさや文化的な深みを込めることができます。

一方で抽象的な意味合いを持つため、他の漢字との組み合わせによって個性を際立たせやすいのも特徴です。

名付けでは、柔らかさだけで終わらず、組み合わせる漢字に方向性を与えることが大切です。

名前に込める願いと名前の例

さて、こんな那という漢字ですが、名前に込める願いとしては次のような内容が考えられます。

  • 心が豊かで穏やかな人生を歩んでほしい
  • 自分の意見をはっきり伝えられる人になってほしい
  • 自分の進むべき道をしっかり見定められる人になってほしい

これを踏まえて、名前の候補をいくつか挙げておきます。

  • 男の子:友那(ともやす)、那樹(ふゆき・ともき)、世那(せな)、那由多(なゆた)
  • 女の子:那美(なみ・ともみ)、恵里那(えりな)、麻里那(まりな)、瑠那(るな)

つまり「那」は響きの優しさに加え、文化的背景と組み合わせの自由度が高い漢字として、名付けに大きな可能性を持つのです。

なお、「那|たまひよ 赤ちゃんの名前ランキング」では、「咲那(さな)」という女の子の名前が、2024年38位、2023年59位、2022年72位、2020年90位にランク入りしています。

また、2018年以前にも、女の子の名前の菜那(なな)が 2018年76位、咲那(さな)が2017年63位、優那(ゆうな)が2013年76位にランキング入りしていました。

那が名前につく有名人

那が名前につく有名人を一覧にしました。

有名人読み職業
奥井那我人おくいながと俳優
片瀬那奈かたせなな女優
木村佳那子きむらかなこアナウンサー
佐藤梨那さとうりなアナウンサー
髙木菜那たかぎなな元スケート選手
野沢那智のざわなち声優
福崎那由他ふくざきなゆた俳優
宮本佳那子みやもとかなこ声優、女優

髙木菜那は、スピードスケートの第一人者高木美帆の姉で、2022年に引退しています。

名前に出てくる那は、読みが「な」と思って間違いないです。

上記、キラキラネームに出てきた、外国語の発音に寄せたような読み方でも「な」でしたよね。

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最後に

那が名前に良くないということで、始めに基本情報やイメージを確認しました。

「那」という漢字は、特に悪い意味もなく、否定的意見を確認しました。

本記事では「意味が悪い」「字形が良くない」ど7つの理由を検証しましたが、その多くは表面的な印象や思い込みに基づくものでした。

単なる偏見ではなく、成立ちや意味を知ることで「那」が持つ真の力を見直せるでしょう。

名付けにおいても十分に選択肢となり得る漢字です。

参考
上級漢和辞典 漢字源 学研
キラキラネームまとめ

※気づけば「この漢字は名前に良くないのか」の記事も増えてきました

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら