利の部首はどっち?「禾」か「?」かその答えをわかりやすくご紹介
漢字を学ぶときに、必ずと言っていいほど悩むのが「部首はどれか」という問題ですよね。
特に「利」という漢字は、「禾(のぎへん)」と「刂(りっとう)」のどちらが部首なのか迷う人が多いのではないでしょうか。
一見すると、両方とも重要なパーツに見えるため、正しい答えをすぐに判断するのはなかなか難しいものです。
しかし、部首は漢字の意味や成り立ちを知る上でとても重要な要素。
間違えたまま覚えてしまうと、後々漢字辞典で探すときや、深い意味を理解するときに困ってしまうかもしれません。
この記事では、「利」の部首が「禾」なのか「刂」なのか、わかりやすく丁寧に紹介していきます。
さあ、ご一緒に最後までご覧いただき、正しい知識を身につけましょう!
利の部首はどっち?
「利」という漢字は、「禾(のぎへん)」と「刂(りっとう)」で構成されていますが、部首はどっちかご存知でしょうか。
利の部首はどっち?
「利」の漢字は「刂(りっとう)」です。
そうです。
「利」の漢字は「刂(りっとう)」なんです。
漢字源で「禾(のぎへん)」で「利」を引いたのですが、「刂(りっとう)」のページへ誘われてしまいました!?
漢字辞書では、「利」は「刂(りっとう)」の5画の部分に載っているのです。
広辞苑では、部首は次のように言っています。
漢字を字画上から分類・配列する場合、その基準となる各部の共通する構成部分
広辞苑
ただ、これだけだと、「禾(のぎへん)」「刂(りっとう)」のどちらでもいいんじゃないのと思っちゃいませんか。
でも、部首って、その漢字の中で意味的に一番強い部分が出るんですよ。
「禾(のぎへん)」は、植物や穀物に関連する漢字に使われます部首なんです。
そこからいくと、たとえば「種」は「禾(のぎへん)」でいいんですが、「利」は、穀物と全く関係ないのです。
「利」には、「鋭利(えいり)」というように、「刃物が鋭い」というのが本来の用法なんです。
ですから、「利」の部首は「刂(りっとう)」になるんです。
「りっとう」は漢字で書くと「立刀」で、刃物を使う動作や刃物の性質がある漢字(剣・刈・刺など)に使われます。
部首「刀」が「旁(つくり:漢字の右側に置かれる)」て変形した形です。
「刂」は縦長になっているのを「立っている」と見て「立刀(りっとう)」になったのです。
利の読み方・意味・成り立ち
ここでは、「利」の基本情報(読み方・意味)、成り立ちを知っておきましょう。
画数 | 7画 |
音読み | リ |
訓読み | と・し (日本語のみ)き・く |
意味 | ①すらりと刃が通って鋭いさま ②すらりと運ぶさま ③都合よく運ぶさま ④もうけ ⑤もうける ⑥都合よいと考える ⑦効き目がある。役に立つ。 |
この漢字「利」は、「日常的にも良く使われる馴染み深い漢字」です。
この漢字は、小学校4年生で習う常用漢字でもありますので、読み方(音読み、訓読み)に関しては特に問題ないですね。
意味はたくさんありますが、それぞれの意味での言葉を挙げておきましょう。
① | 鋭利 |
② | 便利、利口、利尿、水利 |
③ | 不利 |
④ | 利息、利益 |
⑤の対語は「害」です。
なお、意味には「姓の一つ」がありましたので、中国には「利」という姓が存在するようです。
利の書き順をみておきましょう。

利は7画の簡単な漢字です。
述べてきたように「禾(のぎへん)」+「刂(りっとう)」です。
利の成り立ち
利の成り立ちを見てみましょう。
利=「禾(いね)」+「刀(かたな)」
刃物で稲を刈る情景を示しています。
この情景から、刃物がするすらと通っていくことを暗示しています。
これ、即ち、切れ味が良いことを示す意味、前述した「鋭利(えいり)」という意味になります。
そこから、次のそれぞれの意味に発展しました。
- 通りをよくする意味の「利尿」
- すらすらとことが運ぶ「便利」
- 心の動きがスムーズである「利発」
- 得たいものがすらすらと手に入る「利益」
※漢字に注目して部首の記事を書いたのは以下です。
⇒ 変の部首とは?合わせてその読み方から意味・熟語・苗字まで総特集
⇒ 「空」の部首は何か知ってる?実は「うかんむり」ではありませんよ
⇒ 「風」の部首は何か?「几」「虫」ではありませんが何が正解でしょう
⇒ 情の部首の意味とは?同時に情の読み方から意味・成立ちまでを総特集
利の熟語
「利」の入った熟語を集めてみました。
「変」でやった時と同様、2文字の熟語では面白くないので、4文字熟語の一覧です。
4文字熟語 | 読み | 意味 |
---|---|---|
漁夫之利 | ぎょふのり | 両者が争っているすきに、第三者が骨を折らずにその利益を横取りするたとえ。 |
現世利益 | げんぜりやく | 信仰した結果がこの世において実り、欲望が達せられるということ |
私利私欲 | しりしよく | 自分の利益や、自分の欲求を満たすことだけを考えて行動すること。 |
絶巧棄利 | ぜっこうきり | 巧みに作られた機械や道具など便利なものを捨てて、自然の生活に戻ること |
先義後利 | せんぎこうり | 道義を優先させ、利益を後回しにすること |
党利党略 | とうりとうりゃく | 自分が属する政党・党派の利益と、そのためにめぐらす策略のこと。 |
薄利多売 | はくりたばい | 一つの商品の利益を少なくして大量に売り、全体として利益が上がるようにすること。 |
利害得失 | りがいとくしつ | 自分の利益と損失のこと。得をすることと、損をすること。 |
利己主義 | りこしゅぎ | 自分の利益や楽しみを最優先に考えて行動するやり方。エゴイズム。 |
利用価値 | りようかち | 利用するだけの値打ち。用いることで得られる利益や生ずる効果。 |
他にも4文字熟語はあると思いますが、60爺が抜き出した10個を一覧にしました。
皆さんもよく知っている言葉が多いと思います。
ちょっと、内容をみておきましょう。
「漁夫之利」は、よく知られた諺ですね。発祥は中国戦国時代のたとえ話から出ています。
「現世利益」は読みが難しい熟語で、神仏を信仰し、現世で利益を得ることです。
「絶巧棄利」「先義後利」は余り聞かない熟語で、共に、利を捨てるか後回しにするモノです。
その他、「私利私欲」「党利党略」「薄利多売」「利害得失」「利己主義」「利用価値」も含めて、この一覧に出た熟語は、「儲け」という意に関わる言葉だけでした。
利のつく名字
「利」は常用漢字で、この漢字を含む名前には変わった読み方があるのです。
まずは、「利」という一文字の名字を探してみます。
【名字】利
【読み】とし,かが,とぎ,にゅう
【全国順位】 17,067位
【全国人数】 およそ290人
参考:利|名字由来net
読みが4種類あります。
「とし」「かが」「とぎ」「にゅう」とあります。
「とし」は、基本情報にも出てきましたが、それ以外の読みは基本情報にはなかったものです。
「利」には、他の漢字をつけた名字がたくさんあります。
その中で、「かが」と読ませる名字がいくつかあったので一覧にしました。
名字 | 読み | 全国順位 | 全国人数 |
---|---|---|---|
利井 | かがい,としい,りい | 49,175位 | 40人 |
利田 | かがた,としだ,りた,とした,りだ,かがだ | 8,096位 | 1,000人 |
利部 | かがぶ,としべ,かがべ | 13,591位 | 430人 |
利見 | としみ,かがみ | 23,850位 | 160人 |
勝利 | しょうり,かつかが,かつとし | 70,775位 | 10人 |
広利 | ひろかが,ひろとし | 36,058位 | 70人 |
廣利 | ひろかが | 56,154位 | 30人 |
水利 | みずかが,みずとし | 89,514位 | 10人 |
「り」「とし」と読ませる名字は先程述べたようにいっぱいあるんですよ。
気になる方は、記事の最後にある参考資料を確認してくださいね。
最後に
「利」という漢字は、「禾(のぎへん)」と「刂(りっとう)」のどちらが部首なのかを見てきました。
「利」の部首は、「刃物が鋭い」というのが本来の用法であることから「禾(のぎへん)」ではなく、「刂(りっとう)」であることがわかりました。
その他、「利」の基本情報や成り立ちも紹介しました。
四文字熟語を10挙げましたが、皆、儲けの意味をもつものでしたね。
参考
上級漢和辞典 漢字源
部首ときあかし辞典
変を含む四字熟語|goo辞書
「利」を含む名字
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。
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