「澄」は名前によくない?6つの否定的意見をガッツリ見極める
「澄」という漢字は、清らかさや透明感を象徴し、古くから詩歌や文学の中でも愛されてきた一方で、現代の名付けにおいては否定的な声も存在します。
例えば「古風すぎる」「誤読されやすい」「漢字の意味が伝わりにくい」といった見解がしばしば取り上げられます。
また、風水や部首の解釈から縁起に関する懸念が示されることもあります。
ですが、これらの主張は本当に的を射ているのでしょうか。
本記事では、「澄」に対して挙げられる代表的な6つの否定的意見を一つひとつ丁寧に検証し、その真偽を冷静に見極めていきます。
文字本来の魅力や、名前に込められる普遍的な価値を再確認することで、「澄」という字がもつ意義を改めて考えてみましょう。
「澄」という漢字の意味と由来
まず、「澄」の基本情報から確認します。
画数 | 15画 |
音読み | a.チョウ b.トウ |
訓読み | す・む す・ます |
主な意味 | a.①す・む。水のよごれが下に沈み、清らかな部分が静かに上にたまる ②す・む。すみ切って清らかである。よごれが取れてすみ渡るさま ③す・ます。清らかにする ④酒つぼの中で上にたまったすんだ酒 ⑤姓の一つ b.水を静かにしてうわずみを浮かせる。 (日本語だけ)す・ます。気どってまじめそうにする |
名付け | きよ、きよし、きよみ、きよむ、すみ、すむ、すめる、とおる |
「澄」には、「清らか」「すみ渡る」等、水が清らかで澄み切った意味を持っています。
酒つぼの上のすんだ酒なんて意味もあります。
「すまし顔」の意で使うのは日本語特有の意味なんですね。
澄の成り立ち
澄の字源です。
「澄=登(トウ 上に上がる)+水(みず)」
上記の通り、「澄」は「さんずい(水)」と「登」で構成されています。
この構成から、「澄」は、濁りや汚れなどの要素を下に残して、澄んだ部分である上澄みが上に上がることを示しています。
こうして、「澄」には、上記で示した意味につながっていきます。
※澄については、次の記事で色々と紹介しております。
⇒ さんずいに登るで澄!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
「澄」という漢字のイメージ
「澄」という漢字は、水が濁りなく澄み切った様子や、空が晴れ渡る情景を思わせる清らかで美しいイメージを持っています。
そこから派生して、心の純粋さや誠実さ、物事を見通す冷静さといった内面的な価値とも結び付けられてきました。
日本の文学や芸術の中でも「澄む」という表現は、雑念を取り払った透明な境地や、静けさと調和を象徴する言葉として多用されています。
視覚的にも整った字形であり、端正さと落ち着きを感じさせる点も特徴的です。
また、自然と共鳴する美意識を反映しているため、時代を超えて普遍的な魅力を放ちます。
名前に用いる場合は、清澄な未来を願う気持ちや、人との関わりにおける誠実さを託すことができる、奥行きのある漢字だといえるでしょう。
澄が名前に良くないという理由と反論
前章で、「澄」について、基本情報及びイメージを確認してきましたが、目だった悪い内容はなかったように思います。
しかし、下記に示すような否定的意見がネットを巡ったところ出て参りました。
果たして妥当な意見なのか、ガッツリ見極めていきましょう。
否定的意見 | 60爺の寸評 |
---|---|
古風なイメージが現代に合わない | 時代を超えて受け継がれる価値や美しさこそが普遍性であり、流行に流される名よりもよほど強固な魅力を放ちます |
子どもに消極的な影響を与える | 性格形成は環境や経験が大きく作用するので、漢字一文字が子どもの気質を決定づけるというのは無理のある発想です |
画数が15画の漢字は人生に無駄な障害や困難が生じやすくなる | 画数の多寡を根拠に人生の吉凶を語るのは、単純化しすぎた考えに過ぎません |
読み方が多すぎて誤読される | 読みの多様さを短所と決めつけるのは一面的すぎます |
漢字の意が伝わりにくい | この見方は、正直かなり的外れで、澄み切った水や空を思い浮かべれば、誰でも清らかさや透明感を直感的に感じ取れます |
さんずいの漢字を名前に使うのは縁起が悪い | 伝統的な価値や自然観を軽視し、根拠の乏しい迷信で判断するのは浅はかです |
今回の否定的意見は、過去の漢字の中のどこかで見てきた意見ばかりでした。
一方的な見方が多く、冷静に考えると、正式に取り上げる価値はないというと言いすぎでしょうか。
それぞれの意見について詳細をご覧ください。
古風なイメージが現代に合わない
「澄」の漢字は、そのクリアでピュアな響きから多くの人に愛されていますが、一方で非常に古風で厳かなイメージを持つため、若い世代には受け入れにくい可能性があるという意見です。
「古風」という言葉を否定的にとらえるのは浅はかではないでしょうか。
時代を超えて受け継がれる価値や美しさこそが普遍性であり、流行に流される名よりもよほど強固な魅力を放ちます。
「澄」が持つ清らかさや透明感は、時代背景に左右されない人間の理想像であり、むしろ現代の名付けにおいても新鮮に響きます。
古風だから合わないというのは、伝統を軽視した思い込みに過ぎません。
長く愛され続ける名を選ぶ視点に立てば、「澄」の魅力は決して色褪せないのです。
※千でも古くさいという否定的意見がありました。
⇒ 千は名前に良くない!そう言う6つの意見が正しいのか内容を吟味した
子どもに消極的な影響を与える
「澄」の持つ静けさは、活動的なエネルギーを抑制してしまうとも考えられおり、子どもの性格形成において消極的な影響を与えかねないという意見です。
「澄」という字に込められた清らかさや誠実さを「消極的」と結びつけるのは短絡的すぎます。
澄み切った心や透明感は、人間関係において信頼や安心を与える大きな強みであり、むしろ主体性や自信を支える土台となるものです。
そもそも、性格形成は環境や経験が大きく作用するので、漢字一文字が子どもの気質を決定づけるというのは無理のある発想です。
安易に否定的なレッテルを貼るより、その文字が持つポジティブな象徴性を正しく理解する方が、名付けにふさわしい姿勢でしょう。
画数が15画の漢字は無駄な障害や困難が生じやすい
「澄」は15画の漢字で、その人の人生に無駄な障害や困難が生じやすくなるという意見です。
画数の多寡を根拠に人生の吉凶を語るのは、単純化しすぎた考えに過ぎません。
15画だから障害が増えるというのは統計的な裏付けもなく、むしろ迷信の域を出ません。
現実に活躍している著名人の名前にも15画の漢字は多く使われていますが、それが足かせになった例はほとんど見られません。
困難は画数ではなく環境や本人の努力によって左右されるものです。
むしろ、字画にとらわれすぎる姿勢こそ、視野を狭め成長の機会を失わせかねません。
大切なのは数字遊びではなく、その字に込める願いや意味をどう子どもに託すかという親の真心です。
読み方が多すぎて誤読される
「澄」は複数の読み方が可能であるため、名前として使用した場合、誤読されやすいリスクがあり、子ども自身が名前に対して疑問を持つ可能性があります。
読みの多様さを短所と決めつけるのは一面的すぎます。
日本の名前文化において、一字に複数の読みを持たせるのはごく一般的であり、それが個性や表現の幅を広げてきました。
「澄」も例外ではなく、多様な響きから親の思いに合った読みを選べる自由があるのは大きな利点です。
仮に誤読があったとしても、一度伝えれば印象に残りやすく、むしろ覚えてもらうきっかけとなります。
安直に不便さばかりを強調するのは、名前の文化的豊かさを理解していない態度といえるでしょう。
※陽でも同じ指摘がありました。
⇒ 陽は名前に良くない!9つの否定的意見にガッツリ抗ってみた
⇒ 「凪」は名前に良くない?否定的意見と60爺の見解を総特集!
漢字の意が伝わりにくい
「澄」の漢字は、意味が一見して理解しにくく、名前に込めた親の願いや意味を、子ども自身や他人がすぐに理解できないので名前にふさわしくないという意見です。
「澄」という文字の意味が伝わりにくいという見方は、正直かなり的外れです。
澄み切った水や空を思い浮かべれば、誰でも清らかさや透明感を直感的に感じ取れます。
そもそも、漢字は一文字で世界観を広げる力を持っており、「澄」はその典型といえる存在です。
意味を説明しなければ理解されないという発想自体が浅く、むしろ親が込めた願いを語る機会として機能します。
伝わりにくいどころか、見る者に自然と清浄なイメージを与える字を軽んじるのは、文字の本質を見誤っていると言えるでしょう。
さんずいは縁起が悪い
今ではかなり少なくなりましたが、水に関係する字は「流れてしまう」「水難に遭う」という連想につながるため、嫌う人もいるというのは事実です。
ただ、さんずいを含む字を「縁起が悪い」と一括りにするのは、あまりに短絡的です。
水は生命を育み、清め、潤す存在として古来より尊ばれてきました。
「澄」もまさに濁りを払い透明さをもたらす意味を持ち、縁起の悪さとは正反対です。
そもそも、水を否定してしまえば、人の暮らしや文化そのものを否定することになります。
伝統的な価値や自然観を軽視し、根拠の乏しい迷信で判断するのは浅はかでしょう。
澄んだ響きと清浄な象徴性を備えたこの字は、むしろ名にふさわしい力を宿しています。
※「この漢字は名前に良くないのか」で「さんずい」の記事は次の通りです。
- 湊は名前に良くない?そんな噂を拾い上げ内容の真偽を追いかけてみた
- 澪は名前に良くない?8つの否定的意見に対して60爺の寸評を述べてみた
- 沙は名前に良くない?否定的意見を全部出して60爺の見解をぶつけてみる
- 汐は名前に良くない?その理由を抽出して私の見解をぶつけてみたよ
- 汰は名前に良くない?否定的意見に対して60爺の見解を大特集
「澄」を名前につけるポイント
「澄」には、名付けとして使える読みがいっぱいあります!
きよ、きよし、きよみ、きよむ、すみ、すむ、すめる、とおる
こんなにも読みがあるので、否定的意見の矛先にも挙がってしまいました。
この漢字で名付けをしましょう。
どんな想いを乗せるか
「澄」を名前に付ける際のポイントは、その持つ清らかさや透明感をどう活かすかにあります。
「澄」は濁りのない水や澄んだ空を連想させ、純粋で誠実な人柄を願う意味合いが強い字です。
シンプルでありながら響きが柔らかく、男女どちらにも使えるのが魅力。
澄んだ心や視野を持ち、周囲に安心感を与える人物に育つような願いを込めるとよいでしょう。
過去にアップした記事では、「澄」に載せる願いとして、次の内容を挙げています。
さんずいに登るで澄!読み方から意味・名前での使われ方まで総特集
- 濁りのない純真な心を持った人になってほしい
- 透明感のある爽やかな人になってほしい
- さわやかで清潔感があり、誰からも好かれる人になってほしい
こんな素晴らしい想いを「澄」には込められるでしょう。
名前の例
それでは、「澄」のつく名前の例を以下に挙げておきます。
- 男の子:明澄人(あすと)、澄(きよし)、澄斗(すみと)、澄晴(すばる)、正澄(まさずみ)
- 女の子:亜澄(あすみ)、香澄(かすみ)、澄菜(すみな)、澄乃(すみの)、茉澄(ますみ)
組み合わせの漢字によって、男の子、女の子、どちらでも使えるのが、「澄」の魅力の一つですね。
いろいろな漢字を組み合わせて、名前を考えてみましょう。
名前に「澄」のある有名人
名前に「澄」のある有名人です。
有名人 | 読み | 職業 |
---|---|---|
伊藤澄也 | いとうすみや | 俳優 |
大童澄瞳 | おおわらすみと | 漫画家 |
岡田眞澄 | おかだますみ | 俳優 |
川村真澄 | かわむらますみ | 作詞家 |
桐山清澄 | きりやまきよずみ | 元将棋棋士 |
桑田真澄 | くわたますみ | 元プロ野球投手 |
相根澄 | さがねきよし | 元フットサル選手 |
塩地美澄 | しおちみすみ | フリーアナウンサー |
服部真澄 | はっとりますみ | 小説家 |
八木真澄 | やぎますみ | お笑いタレント |
フム、失礼ですが、60爺が存じ上げておる人はいらっしゃらないようです。
7名中4名が「湊」一文字の名前、「湊人」「湊都」の「みなと」さんが1名ずつで、「湊太」で「そうた」さんが1名でした。
やはり、「湊」は「みなと」が合うのでしょうか?
最後に
「澄」という漢字には、清らかさや誠実さを象徴する魅力がありますが、古風であるとか誤読されやすいなど否定的な声も存在します。
本記事ではそうした6つの意見を整理し、それぞれを丁寧に見極めました。
その結果、多くの懸念は実際には根拠が薄く、むしろ「澄」が持つ普遍的な美しさや安定感が際立つことが分かります。
伝統と現代性を併せ持つこの字は、名前として十分に価値を発揮できる選択肢といえるでしょう。
※気づけば「この漢字は名前に良くないのか」の記事も増えてきました
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