将棋フリークラスの棋士の給料大公開!ちょっと覗いてみよう
将棋の世界は典型的なピラミッド型で、名人を筆頭にA級10名、B級1組13名、B級2組、C級1組、C級2組、フリークラスに分けられています。
そして、このピラミッドに沿って給料(参加報奨金)が決められています。
当然のことながら、ピラミッドの上から順に給料(参加報奨金)が多くなっており、上に上がっていかないと取り分が多くなりません。
今回は、一番下のクラスであるフリークラスの棋士が、どの位のお金をもらっているのか見ていきます。
過酷な結果が出そうな気がしますが、怖いもの見たさでお付き合い下さい。
フリークラスの給料について
一体いくらもらえるのか
フリークラスの給料は?
月額8万円、年収にすると 96万円
ウーム、この金額だと暮らせないのではないでしょうか?
これは非常に苦しい生活というか、これでは家賃も払えないのではないかと思っちゃいます!
少なくとも、C級2組になれば、順位戦に参加できるので年10局の対局が増えて、年収300万を越えるんですが、フリークラスは順位戦がないので滅茶苦茶苦しいですね~~。
下記内容が、2010年3月末のものですから、以前からフリークラスの棋士は苦しかったことがわかりますね。
C2クラスで、降級点をたびたび取っていた四段のプロの方の対局料は年間200万円くらいでした。フリークラスになると、固定給分がなくなるので、さらに激減します。
引用 yahoo!知恵袋
全対局数で15局くらい、フリークラスだと1局数万円でしょうから、対局料収入は100万円を切るのではないでしょうか。
話が違っちゃいますが、究極の節約をすれば、月5万7千円で暮らしていけるようですが……。
月額5万7000円ということは、年額にして68万4000円。
引用 年収100万円未満で生活??究極の節約をするメリットと方法は?
家賃や食費を2万円以内に抑えて、年金・所得税・住民税がないとこんなにも収入があまりなくても十分に生活できることがわかりましたね。
さて、棋士の給料に関しては次の記事で詳細を示しました。始めに名人戦の記事も挙げますので、そのピラミッド構造も把握しておいてください。
他の収入源は?
それでは、フリークラス棋士の他の収入源は何かないのでしょうか。
ひとつ目は、本業を頑張るということです!
即ち、参加できる棋戦に勝つこと、これしかありません。決勝まで行けば賞金ももらえるんですよ。
これ、すごく大きいみたいですよ!棋戦って、トーナメントがほとんどですが、1回戦で負けるのと優勝するのでは、実入りが10倍100倍違うらしいです!(将棋の渡辺くん第一巻108P)。
竜王戦は賞金額が公開されている唯一の棋戦ですが、賞金額がものすごいです。竜王になれば4千万超のお金を手にできるんですヨ。挑戦権に手が届かなくても、ランキング戦、本戦トーナメントを勝ち進むと、凄い金額をモノにできるんです。
もう一つは、その他の副業「講演、書籍の印税・原稿料、指導料、YouTube等での収益」です。
詳細は、先程の記事に譲りますが、それなりの金額を手にすることはできます。こちらも、本業で頑張って名前を売らないと苦しいところはありますよね。
フリークラス棋士の多くは詰将棋作成、普及活動、将棋クラブ経営、観戦記執筆など、何らかの形で将棋に関わる仕事をしています。
引用 田丸昇のと金歩き
この記事を書いた田丸昇さんの対局以外の主な仕事は執筆活動をしていました。他に、「うつ病九段」を出版した先崎学九段なども執筆活動が目立ちます。
但し、田丸昇さんも、「副業で稼いだとしても、対局で活躍して得る収入のほうがはるかに多いです」と言っています。やはり、プロは本業が一番なんですね!
詳細については、次の記事の「プロ棋士のその他の収入」の項を参照してください。
フリークラス脱出条件
フリークラスの棋士は、既定の成績を収めれば順位戦C級2組に帰り咲くことが出来ます。
フリークラス脱出条件
既定の成績とは次のモノです。
1.年間対局の成績で、「参加棋戦数+8」勝以上の成績を挙げ、なおかつ勝率6割以上。(例・2005年度で、日本シリーズ・新人王戦の出場権のない棋士の場合は17勝)。
2.良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上
3.年間対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上。ただし、同じ棋戦で同一年度に2度(当期と次期)対局のある場合も1棋戦として数える。(例・2005年度で、日本シリーズ・新人王戦の出場権のない棋士の場合は30局)。
4.全棋士参加棋戦優勝、タイトル戦(朝日オープン将棋選手権含む)挑戦。
引用 名人戦・順位戦 その他のフリークラス棋士
ところで、フリークラスに属している棋士には4種類あるんですよ。
- フリークラス宣言をした棋士
- C級2組から降級点3回で降級した棋士
- 奨励会3段で次点2回を獲得した棋士
- 編入制度で編入した棋士
フリークラス宣言をした棋士は、上記の脱出条件からは除かれています。
そして、フリークラス宣言をしていない棋士達は、いつまでもフリークラスにいられる訳ではありません。上記の既定の成績を取れないと、次の規定があって引退を余儀なくされます。
- 編入後10年間(4月1日付転入・昇段の場合は満10年、10月1日付昇段の場合は10年6ヶ月)経過した場合
- 満60歳の誕生日を迎えた年度が終了した場合
何と厳しい制度ではないですか!ウムム、日本将棋連盟も台所事情が苦しいのか、こうまでしないと運営が苦しいんですな。
というより、棋士は勝たなくちゃいかんというのが根底にあるんですね。現在の宣言者以外のフリークラス棋士は次の通りです(2022年9月18日現在)。
番号 | 氏名 | フリークラス入り | 在籍残り年数 |
---|---|---|---|
177 | 石川陽生 | 2015- 4- 1 | 2 |
188 | 小倉久史 | 2016- 4- 1 | 3 |
190 | 藤原直哉 | 2017- 4- 1 | 4 |
206 | 川上猛 | 2013- 4- 1 | 0 |
209 | 岡崎洋 | 2018- 4- 1 | 5 |
219 | 中座真 | 2021- 4- 1 | 8 |
225 | 増田裕司 | 2015- 4- 1 | 2 |
228 | 伊奈祐介 | 2014- 4- 1 | 1 |
238 | 上野裕和 | 2013- 4- 1 | 0 |
242 | 村田智弘 | 2021- 4- 1 | 8 |
243 | 大平武洋 | 2021- 4- 1 | 8 |
247 | 島本亮 | 2020- 4- 1 | 7 |
273 | 渡辺正和 | 2019- 4- 1 | 6 |
321 | 折田翔吾 | 2020- 4- 1 | 7 |
ただですね。上記の返り咲きの規定ですが、かなり厳しい制度みたいです。
というのも、C級2組を陥落してから復帰した棋士は、伊藤博文七段(2001年に復帰)と島本亮五段(2015年に復帰)の2名しかいないのです。
まあ、奨励会3段で次点2回を獲得した棋士や編入制度で編入した棋士は年齢も若く、やる気満々ですので、数年後には既定の成績を挙げてC級2組に昇級していくみたいです。
折田四段はギアを挙げてフリークラスを突破したいところです。⇒2023年4月にフリークラスを脱出しました。おめでとうございます!
最後に
フリークラスの棋士の給料を見てみました。かなり、厳しい現実ですね!
しかも、しかもですよ。フリークラス脱出条件があるのは良いですが、逆に、フリークラスになったとたんに、カウントダウンが始まって、10年後は引退ですからね。
えれエ厳しい世界ですな!勝てばすべてが解決するんですが…。トップになれば1億も夢じゃありませんが、下手すると若くして引退の憂き目に。
60爺のように会社勤めをしてきた人間から見ると異世界ですねェ。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません